斎藤工主演「麻雀放浪記2020」東京五輪中止設定で“公開危機”も「訴えが突き刺さればいい」

「麻雀放浪記2020」で主演を務める斎藤工
「麻雀放浪記2020」で主演を務める斎藤工

 映画「麻雀放浪記2020」(4月5日公開、白石和彌監督)に主演する斎藤工(37)がこのほどスポーツ報知のインタビューに応え、原案の小説「麻雀放浪記」を書いた阿佐田哲也(色川武大)さんの妻・孝子さんから“公認”を得ていることを明かした。構想10年の力作。ここへ来て“公開危機”がささやかれているが、斎藤は批判を超えた評価が観客から出てくることを楽しみにしている。

 「人生No.1映画」に名を挙げる「麻雀放浪記」(和田誠監督、1984年)とは、中学生の時に出会った。

 「(出目徳役の)高品格さんが土左衛門になって転がされるシーンが忘れられない。亡くなって麻雀を続ける感じ。ただの娯楽を超えていく、深さと鋭利さにぎょっとした。僕が好きな映画は、戦後からいかにはい上がるかという土っぽいホコリっぽいにおいがするもの。まさにそういったもので構築されているという意識があった」

 2011年、運命の出会いがあった。主演した映画「明日泣く」は、阿佐田さんが本名・色川武大名義で書いた小説の実写化だった。同作の試写会には色川さんの妻・孝子さんが訪れた。

 「色川夫人が試写を見た後に立ち上がって拍手してくれた。僕はその時怖くて立ち会えなかったけど、後日お会いできた。彼女は、亡くなった旦那さんの魂削ったものを映像化した中で、間違ってなかったと少なからず感じてくれていた」

 その流れで、「麻雀放浪記」愛を夫人にぶつけると、思わぬ提案を受けた。

 「『映画化してみてはどうでしょう?』という意見をいただいた。個人対個人だったので、そんなふうにバトンが回ってくるとは思っていなかった」

 夫人からの後押し。戸惑いを感じたが、ある決意が芽生えた。

 「僕の世代や下の世代では『麻雀―』を知らない人もいる。リメイクの最大のミッションって原作に誘(いざな)うなど観客に何かのきっかけを生み出すこと。その役割を果たせるものが生まれたら、と」

 小説、映画のエネルギーを引き継ぐために主演や監督を誰にするか熟考した。

 「当初、僕はサポーターみたいな感じで主演ではなかった。ある日の企画書に突然、僕が出てきただけ。奥さんから話を聞いて実現するにはどうしたらいいか、自分なりに考えた時(主演は)現実的ではなかった」

 それでも「いい形で着地できたら」と快諾。出来上がった台本には東京五輪中止、タイムスリップなどキテレツな展開が繰り広げられており、「ウソ」と驚がくした。

 「めちゃくちゃな世界ではあるけど、この10年の間にオリンピック招致、Jアラートがなったり、いろんな変化があった。今を軸にするのは素晴らしいし、これしかないと思った」

 キテレツな内容が思わぬ展開を招いた。1月末の国会議員向け試写会で一部の議員から五輪中止の設定に「ありえない」と異論が噴出。波紋が広がり、白石監督が先月のブルーリボン賞授賞式で「公開大丈夫かな」と不安視する場面もあった。

 「衝動、挙動で突き動かしていった自負はある。見た人の数だけ映画の訴えが突き刺さればいいな」

 批判も出る中、うれしい知らせが届いた。関係者試写会を見た色川夫人から“太鼓判”を押してもらった。

 「奥さんが大絶賛していた。がっかりさせちゃいけない人だったので、そこを頂いているのは構えすぎなくていいのかな」

 構想約10年の力作。自信を持って公開日を待つ。

 ◆「麻雀放浪記2020」 2020年。世界大戦の勃発によって東京五輪が中止になった東京に、1945年から博打(ばくち)打ちの坊や哲がタイムスリップする。哲は地下アイドル・ドテ子(もも)と出会い、最新技術に驚がく。さらに生きてきた時代とタイムスリップしてきた時代の麻雀に対する考え方の違いに困惑する。

 ◆「麻雀放浪記」 1969年から72年まで週刊大衆で掲載された阿佐田哲也(色川武大)さんの麻雀を題材とした娯楽小説。84年、和田誠監督(82)が、主演・真田広之(58)で映画化。鹿賀丈史(68)、大竹しのぶ(61)ら豪華俳優陣が出演した。和田監督はこの年の報知映画賞新人賞を、高品格さんは助演男優賞をそれぞれ受賞した。

 ◆斎藤 工(さいとう・たくみ)1981年8月22日、東京都生まれ。37歳。高校生時代からモデルとして活動し、2001年に映画「時の香り リメンバー・ミー」で俳優デビュー。主な代表作はフジテレビ系「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(14年)など。12年、ショートムービー「サクライロ」で映画監督デビュー。14年、短編映画「半分ノ世界」から監督活動での名義を本名「齊藤工」と名乗っている。

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