女子アナは会社員?それともタレント?…小川彩佳、宇垣美里アナ電撃退社への各局トップの思いとは

3月いっぱいでTBSを退社。フリーに転身する宇垣美里アナ
3月いっぱいでTBSを退社。フリーに転身する宇垣美里アナ
テレビ朝日を寿退社。今後はフリーアナとして活動する小川彩佳アナ
テレビ朝日を寿退社。今後はフリーアナとして活動する小川彩佳アナ

 女子アナとは一体、どういう存在なのか。一会社員なのか。それとも、タレント予備軍なのか。そんなことを考えさせられた1週間だった。

 放送担当記者を集めて月に一度行われる民放各局の社長会見。この3年間、日をずらして連日行われるトップたちの会見を取材してきた。しかし、人気アナの電撃退社が相次いで発覚した2月は、どこか雰囲気が異なった会見となった。

 2月27日のTBS・佐々木卓社長(59)の定例会見。2011年の入社後、「サンデージャポン」などのバラエティー番組で人気者となったものの1月末で電撃退社した吉田明世アナウンサー(30)に続いて、14年に入社、ツンデレ・キャラで人気となった宇垣美里アナ(27)も3月末で退社することが明らかに。

 吉田アナはフリーとして、大手芸能プロダクション・アミューズと契約。宇垣アナのオスカープロモーション入りも「スポーツ報知」が、すでに報じている。吉田アナは在籍8年、宇垣アナに至ってはわずか5年での早期退社。約1000倍と言われるキー局のアナウンサー試験の倍率。選びに選び抜いて入社させ育ててきた人材に、こんなにあっさり退社してはたまらないだろうな―。正直、そう思ったから、そのまま聞いた。

 「アナウンス技術、番組進行など、じっくり育成して、これからという時に退職されるのは、社長として辛くないのか」―

 私の質問に笑顔を見せた佐々木社長は「フリーになっても、ぜひ頑張って欲しいなと本当に思っています。2人とも情報番組やバラエティー番組で大変人気があるし、上手なアナウンサーだったので、TBSを辞めるのは、もちろん寂しい気持ちはあるけれども、それより仲間がアナウンサーという仕事の幅を広げて戦っていくことを応援したいと思います」と答えた。

 さすがは早大ラグビー部出身。何より「仲間」を大切にする同社長らしい、さわやかな答えだった。しかし、一線アナが退職直後に大手事務所入りし、同局時代に得た知名度を武器にタレント活動に乗り出すのを、どう思っているのだろう。

 そう思ったから、きつめにも聞こえる言葉をあえて選んで聞いた。「これでは、TBSは、タレント養成所ではないか?」―。

 今度は苦笑を浮かべた佐々木社長は「TBSがそうしたタレント養成所とは思っていないです」と、はっきり答えた上で「TBSの番組で良い放送を目指してやってきた仲間だと思っていますので、養成所を脱出して、すぐ外にいっちゃったという実感は正直、ありません」。淡々と続けた。

 その前日26日に行われたテレビ朝日の角南源五社長(62)の定例会見でも似通った一幕があった。

 09年入社後、「羽鳥慎一モーニングショー」で“朝の顔”を務めるなど、エース級の活躍をしてきた宇賀なつみアナウンサー(32)が3月末で退社。07年に入社、11年4月から昨年9月まで看板番組「報道ステーション」のサブキャスターを務めた小川彩佳アナウンサー(33)も時期こそ未定だが、退社する。

 看板アナ2人を、ほぼ同時に失うことについて聞かれた角南社長は「両アナとも今まで育んできた知見を元に今後は自らの力でキャリア・アップを図りたいという本人の希望がありました。局アナの立場を離れて、フリーアナウンサーとして活動すると言うこと。今後は新しい環境で、それぞれ頑張るのではないでしょうか」と淡々と答えた。

 生真面目な同社長らしい固い答えに満足できなかったので、思わず手を挙げて聞いた。「10年近くかけ報道番組も任せられる看板アナに育て挙げた人材が退社してしまうことに辛さは感じていないのか」―

 こちらをじっと見つめた角南社長は「それぞれ、アナウンサー独自の考えがありますので」。そう、淡々と答えた。小川アナに関しては、一部で7月からのライバル局・TBSの「NEWS23」(月~金曜・後11時10分)のキャスター就任まで報じられた。独立後1年間は出身局以外の番組出演は自粛するという“不文律”を破っての衝撃の移籍情報について聞かれた編成担当の亀山慶二専務は厳しい表情で「聞いておりません」とだけ答えた。

 一方、一度は退社した局に“出戻る”超人気アナもいる。22日のフジテレビ・宮内正喜社長(74)の定例会見。席上、16年に退局し、フリーとして大活躍中のカトパンこと加藤綾子アナウンサー(33)が4月1日からスタートの夕方のニュース番組(名称未定)で初の報道キャスターを務めることが正式発表された。

 「彼女には抜群の知名度に加えて、スタジオでの存在感がある。アナウンス能力も申し分なく、大いに期待しています」と宮内社長。08年にフジに入社。明るい笑顔と天真らんまんなキャラクターでスポーツ番組やバラエティーで活躍したスターアナに同局復活へのカギとなる新ニュース番組を任せる決断を下した理由を張りのある声で説明した。

 しかし、加藤アナの起用で現在、放送中の「プライムニュース イブニング」を担当している島田彩夏アナウンサー(44)と倉田大誠アナ(36)はどうなるのか。2人の生え抜きアナは、わずか1年で“お役ご免”なのか。

 「島田さんと倉田さんの今後は?」と聞いた私に報道担当の岸本一朗専務は「キャスティングなどについては、近々に皆さんにお知らせすると思います。ここでは控えたいと思っております」とだけ答えた。

 続けて、「2016年にいったん退局し、フリーになった加藤アナの起用で他の生え抜きアナウンサーたちのモチベーションの低下はないのか?」と聞くと、岸本専務は「加藤さんは元々、『めざましテレビ』などで大活躍された方。全く心配はしていません」とした上で「元々、一緒にやってきた先輩、後輩もいる訳で温かく迎えるのではないかと思います」と答えた。

 どうだろう。各局トップたちの女子アナへの思いを知って欲しくて、会見の模様を紹介してみた。実際、各局に共通するのは、去る者は追わず。かと言って冷たく突き放すのではなく、かつての仲間として、新たな共演者として、温かく迎え入れる姿勢だった。

 その裏側には、吉田アナや宇垣アナが所属する大手プロダクションへの大人の“忖度”もあるだろうし、硬派な報道アナでなく、アイドル的な扱いのアナの“旬の時期”は短く、いくらでも入れ替えは可能というトップとしての冷徹な計算もあるかも知れない。

 「ミス慶応」など華々しいミスコン優勝歴を武器に狭き門を突破して女子アナの座を射止めた女性たちだって、もちろん、自分たちの“旬の時期”が短いことを把握している。誰もが注目してくれる時期に、より自身がやりたい仕事、より輝ける場所を目指して、フリーとなる選択をすることも理解できる。

 いみじくもTBS・佐々木社長が去りゆく2人の女子アナへのエールの際に使ったのが、「戦い」という言葉だった。そう、安定した会社員という立場を捨て、フリーとなって、自らの魅力、力量のみで勝負する。それが女子アナたちにとっての「戦い」なのだろう。

 唐突に頭に浮かんできたのは「花の命は短くて―」という言葉。最強フリーアナ事務所「セント・フォース」まである今、女子アナたちの生き残りをかけた戦いは想像以上に厳しい。(記者コラム・中村 健吾)

3月いっぱいでTBSを退社。フリーに転身する宇垣美里アナ
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