【箱根への道】東海大、悲願の初V 両角監督を持ち上げた西出コーチ

1月3日、勝利を確信し笑顔で握手を交わす両角監督(左)と西出コーチ
1月3日、勝利を確信し笑顔で握手を交わす両角監督(左)と西出コーチ

 第95回箱根駅伝で悲願の初優勝を果たした東海大。就任8年目の名将・両角速(もろずみ・はやし)監督(52)を支え続けたのが西出仁明コーチ(44)だ。

 福井・美方高の駅伝監督として、両角監督率いる長野・佐久長聖高としのぎを削ったライバルが2014年からコーチに就任。現在もウェートトレーニング法を学びながら選手に還元するなどスピード軍団の飛躍になくてはならない存在となった。初優勝の舞台裏、そして来季の箱根連覇&3冠へ向けた思いに迫った。

 〈1〉縁

 “女房役”となって5年目。ついに訪れた歓喜の瞬間に、西出コーチの胸には感慨がこみ上げた。

 「就任前ですが、12年の予選会で負けたことや卒業した選手のことが思い浮かんだ。選手たちはあくまで学生。押しつけるのではなく、認めていきながら良さを伸ばしていった結果なのかな」

 福井市出身。美方高から陸上を始め、全国高校駅伝にも出場した。指導者を志し、神戸学院大に進学。卒業後は母校の美方高で非常勤講師を務めた後、筑波大での科目等履修生を経て、小学校、中学校、特別支援学校でも教員を務めた。

 「幼稚園以外では先生をしたことになりますね(笑い)。04年から13年までは母校で再び監督になりました。教え子には早川(翼、東海大―トヨタ自動車)らがいます。北信越地区駅伝では両角監督率いる佐久長聖高とぶつかるので『一つでも区間賞を取ってやる!』と燃えていました」

 13年春、東海大での合宿に参加した際、両角監督からオファーを受けた。新たな舞台での挑戦。心は決まっていた。

 「すぐに『ぜひ、やらせていただきたい』と返事をしました。冬には山下(泰裕)副学長と両角監督が福井までいらっしゃって、校長や教育長にも頭を下げていただいて…。熱意に報いるような指導をしなければ、と改めて感じましたね」

 〈2〉自信

 5連覇&3冠を目指した絶対王者・青学大に対し、出雲駅伝と全日本大学駅伝では歯が立たなかった。しかし、焦りや不安はなかったという。

 「それまで2年は青学大をはじめ、他大学のレースを細かく分析したりして、だいぶ意識していました。ただ、今年は全くなかった。自然と自分たちのことに集中できたというか、万全なら勝負できる自信があった」

 黄金世代と呼ばれて入学した鬼塚翔太らも3年生。プレッシャーも大きく、12月下旬には区間配置で問題が起きた。6区予定の中島怜利(3年)が足を痛め、2~3日練習できない状態が続いた。

 「代役には小松(陽平、3年)も準備していました。ただ、両角監督は『中島でいこう』とすぱっと決断していましたね。駅伝デビューの小松を9区、湊谷(春紀、4年)を8区にすることも提案しましたが、両角監督は『小松の方が上りに強いから、8区でいける』と自信を持っていました」

 実際、采配はズバリ的中。中島は6区2位、小松は8区区間新記録で奪首して勝負を決めた。

 「両角監督は論理的で、緻密な一面を持っている一方、アクシデントに動じない大胆さもあります。ぐらつかない強さがあってこそ、今回の優勝は成し遂げられたと思います」

 〈3〉指導

 就任後は週1回、都内で自らウェートトレーニングを学びながら、チームに還元。毎週水、土の朝練では選手に直接指導している。

 「筋力アップによってけがの予防になり、フォームも改善されます。特に館沢(亨次、3年)は取り組む前後で体つきが変わり、結果につながっています」

 ここ3年は米国遠征に帯同し、そこでもウェートトレーニングの重要性を肌で感じたという。そしてコーチングの面でも、新たな発見があった。

 「米国の練習は選手に『ワークアウト』としか事前に伝えないんです。内容が分からないと準備にも支障が出るのではないかと思いましたが『タイムや距離を聞いて、可能か不可能か考え込んでしまうのはマイナス。余計な情報は与えない』と言われました。マネはできませんが、何事にも根拠を持たないといけない」

 箱根連覇&学生駅伝3冠を目標に掲げ、王者として追われる立場となった。それでも、東海大のスタイルは変わらない。

 「箱根から世界へ、という東海らしさは揺るぎません。スピードを磨けば駅伝に生きる。どっちかではなく両方大事なんです」

 トラックも駅伝も、頂点を目指す今季。東海時代の真価を問われるシーズンから目が離せない。(太田 涼)

 ◆西出 仁明(にしで・のりあき)1974年12月29日、福井市生まれ。44歳。中学時代はハンドボール部。美方高で本格的に陸上を始め、全国高校駅伝は1年5区26位、3年6区18位。神戸学院大に進み、卒業後は美方高で非常勤講師を2年務める。筑波大での科目等履修生を経て、福井県内で小学校、中学校、特別支援学校の教員を務め、04年から13年まで美方高陸上部監督。14年4月から現職。家族は妻と2女1男。

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