フジテレビ社長も猛省の松本人志「体を使って」発言…残された大きな課題とは

指原莉乃への「お得意の体を使って」発言が大きな波紋を呼んだ松本人志
指原莉乃への「お得意の体を使って」発言が大きな波紋を呼んだ松本人志
松本人志の「体を使って」発言に絶妙の“大人の対応”を見せた指原莉乃
松本人志の「体を使って」発言に絶妙の“大人の対応”を見せた指原莉乃

 これほど、きちんとした経過説明と反省の弁は予想していなかった。

 25日、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれたフジテレビの定例社長会見。集まった約80人の放送担当記者から必ず投げかけられるだろう質問が一つあった。

 13日放送の同局系「ワイドナショー」(日曜・前10時)で「ダウンタウン」の松本人志(55)がHKT48の指原莉乃(26)に対し、「お得意の体を使って」などと発言した。

 番組では、NGT48の山口真帆(23)が昨年12月、男性ファン2人に自宅に押しかけられる被害を受けた事件について、松本を中心にトークを展開。指原が「誰がトップなのか、誰が仕切っているのか本当に私ですら分からない状態」と同グループの現状を訴える流れの中、松本の「それはお得意の体を使って何とかするとか」という発言が飛び出したのだ。

 リアルタイムで見ていた私も心底、驚いたこの発言。松本もあくまで芸人としてのスタンスで笑いを取る目的で口にしたのだろうが、明らかに女性蔑視である以上に、そもそも松本自身が女性という存在をどう見ているのかまで疑われるような暴言。それだけに放送直後から「ひど過ぎるセクハラ発言」「芸人だから何を口にしてもいいわけではない」などなど、数多くの批判の声が上がった。

 その後、最も激怒していいはずの直接の“被害者”指原はツイッターで「松本さんが干されますように!!!」と書き込み、ギャグにまぶした大人の対応。松本自身は翌週20日の同番組で「今日をもって無口なコメンテーター。新しいジャンルで。ギャラ泥棒になっていこうかなと思ってますけど」と、まず笑わせた。

 番組が収録放送だったため集まった「問題の発言をカットして放送すべきだった」などの意見に対しても「なんでカットせぇへんねん(という声)もあったが、基本的にこの番組は、ボクの言うことをできるだけカットせずに使っていきたいという暗黙の了解というか、決めてはないですけど、そういう番組なんですよ」と説明。その上で今回の発言をカットしなかった理由を「鬼のようにスベっていたから。鬼のようにスベったら逆に恥ずかしくて言えないですよね。あんだけスベっていたら恥ずかしくて早く家に帰りたい」と明かした。

 SNS上などでの炎上についても「炎上はこの先もしていくと思うんです。それはしようがない。炎上で得られるものもあるし。なるほどなって、こんな大火事になるんや。その大火事になった時に本当に大切なものが見えてくるし。持ち出して逃げなアカンものが何なのかもわかるし」とし、最後に「(相手と)親しくても、テレビに出たら堅苦しくしゃべらなアカン世の中になってきたのかな」と疑問も投げかけた。

 この松本発言の1週間後に迎えた今年最初のフジ社長会見だったけに、業績報告などが終わり、場が温まったところで満を持した形で問題の質問が飛んだ。

 「これだけ社会問題化している松本さんの発言を社長として、どう捉えているのか?」―。

 聞かれた瞬間、眼鏡の奥の目を見開いたように見えた宮内正喜社長(74)は「放送責任は局にある。出演者同士の(親しい)関係性から来る言葉だったが、視聴者の受け止め方は多様化している。そのバランスを測ることもテレビの大切な仕事だと思うし、我々は時代の変化に敏感でなければならない。今後は今回の反響を参考にして、常に視聴者の思いに敏感でなければならない。そうした姿勢で番組制作に努めるよう、現場に指導しているところです」と反省の弁を述べ、社内改革に乗り出していることを明かした。

 重ねて、怒りを露わにした女性記者から「事前収録の番組だっただけに制作サイドが(カットするなど)編集もできたのでは?」と聞かれた編成担当の石原隆取締役は「事前収録でございます」。そう潔く答えた上で「当然、(松本の発言の是非がスタッフ間で)議論になった結果、あの放送になった。番組自体が松本さんたちの発言をそのまま生かす形を取ってきた。なるべく出演者の意見を生かす形で構成されることを原則としてきたが、今後はますます慎重に考えて放送していかないといけない。そうした話を制作現場としている最中です」と、こちらも制作の総責任者として現場の改善に乗り出していることを明かした。

 その上で「番組の編集権、放送責任はフジテレビが持っている」と、あくまでも自局の責任であることを強調。「今までのやり方は通用しないと思っていますし、今後、あらゆる角度から、こういった受け取られ方をするかも知れないということとか、これまでと違った今までは考えてこなかった角度からの検討も必要であると考えています。ウチのスタッフ間でまず方針を決め、現在、出演者の方々と話し合っております」と続けた石原氏。丁寧に言葉を重ねた真摯な受け答えに続けざまに質問した記者たちも矛先を収めた形となった。

 確かにお笑い界トップに君臨する「ボケの王様」松本にしかできない“言葉の魔術”で社会事象を語り、笑いとともに斬っていくのが「ワイドナショー」最大の魅力。松本の自由自在のフリートークを制限してしまっては「角を矯めて牛を殺す」の例えもあるように、番組自体のストロングポイントが消失してしまう危険性まではらんでいるのは確かだ。

 表現の自由は最も守らなければならない権利であり、行き過ぎた自粛の動きが“言葉狩り”につながる危険性もあるだろう。それでも、今回のケタ外れの暴言だけは許せないと考える視聴者は多い。

 だからこそ今回、反省しきりのフジテレビだが、これは同局だけの問題では決してない。この日の会見で繰り広げられた問答は日々、ネット上でいかに他社より速く記事をアップするかの競争を繰り広げている自分自身にも、そのまま跳ね返ってくる言葉でもあった。

 一つだけ確かなことがある。自分の文章、言葉が思わぬ形で人の心を傷つける可能性があることを常に心にとめながら記事を書く―。それは、記者として公に表現することを許されている日々の中、絶対に守らなければいけないこと。私は今、そう考えながら、この記事を書いている。(記者コラム・中村 健吾)

指原莉乃への「お得意の体を使って」発言が大きな波紋を呼んだ松本人志
松本人志の「体を使って」発言に絶妙の“大人の対応”を見せた指原莉乃
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