菅田将暉ロングインタビュー…現役教師から学び初の教壇へ 一番のライバルとの出会いも振り返る

スポーツ報知
インタビューにこたえた菅田将暉(カメラ・矢口 亨)

 俳優の菅田将暉(25)が日本テレビ系ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日曜・午後10時半)で教師役に初挑戦した。学生時代の将来の夢は教師。劇中で初めて教壇に立ち、「濃厚な日々」と充実している様子。年の近い教え子30人とともに奮闘中だ。今年で俳優生活10周年。俳優志望の若者たちに目標とされる一方で、一番のライバルとの出会いを振り返り、目指す姿を語った。

 何色にも染まれるカメレオン俳優・菅田は高校時代、数学教師になりたかった。親友が教師を目指していた影響と、数学を教えた親友がテストで95点を獲得し、教える楽しさを見いだしたからだ。俳優になって諦めた夢を今回、ドラマ内でかなえた。

 「いやぁ~生徒を見ていると早くも涙が止まらないです。教壇からの景色は広く感じます。生徒たちが必死にお芝居をやっているさまを見ているだけでジーンときちゃう」。少しおどけた後、引き締まった表情でこう語った。「1対29みたいな現場は普通ない。一日にすごくエネルギーを使います。全部拾うぞって思っても取りこぼす時があるので気が抜けない」

 菅田が演じるのは、3年A組の担任・柊一颯(ひいらぎ・いぶき)。眼鏡をかけ、冷たい視線が印象的な若手教師だ。卒業まで残り10日、柊は教壇で、永野芽郁(19)ら生徒たちに「今から皆さんは…僕の人質です」と宣言し、物語が動き出す。

 永野とは映画「帝一の國」(2017年)以来の共演。「台本では埋まらない部分を彼女は役や普段でも能動的に発信してくれる。緊張感のあるところは他の生徒に刺激になっていると思う」

 そう話した後に「ちょっと先生ぽかった?」と照れ笑い。撮影の合間は生徒と一緒にいないようにするが、生徒同士の空気感を静かに見守っている。「たま~に俺も遊びたい時があって、抑えきれず出ちゃう時は片寄(涼太)君がつっこんでくれるからうれしい」と、おちゃめな一面ものぞかせた。

 同作は菅田が演じることを想定してつくられた、いわゆる「当て書き」。柊の過激な行動の動機は謎に包まれている。ほぼ教室内で展開される難しさもあり、確かな演技力がある菅田だからこそできる学園ドラマだ。

 未体験の教師を演じるにあたり、現役の教師たちから学んだ。クランクイン前に千葉県内の20代の先生と会った。

 「はたから見ると生徒との距離が近くて、ドラマでよく見る、生徒から『先生!』って呼ばれながら(肘でつつかれる)ボディーアクションされるタイプ。若さがあって生徒たちの等身大の悩みにちゃんと寄り添える方。その方が『みんなの親にはなれないけど、お兄さんにはなれる』と表現していた。教師はすごい考えているんだなって知りました」

 小学校の先生になる高校時代の親友からは、教師の実情を聞いた。

 「『先生は気にしなくちゃいけないことが多い。公務員だから、時間をかけて生徒と向き合えば向き合うほど給料が上がるわけではない』とか。ここでは話せないようなリアルなことを聞いて、そっかぁ…って」

 深掘りすることで、葛藤や苦労など新たな面に気づいた。親友から聞いた話で一つ実践したことがある。

 「親友が『担任をする上で何が一番大事ですか?』って先輩に聞いたら、『始業式からの初めの3日間で語れ。そこで自分がやりたいこと、どんなクラスにしたいか、どんなふうに育ってほしいかを話す。その3日間で1年が決まる』と」

 その話を聞いた時、既に撮影1日目が終わっていた。2日目の朝、撮影直前に緊急の“ホームルーム”を行った。

 「もうちょっと締まっていきたいと語ったら、グッと締まりました。現場が違って見えて、相談しておいてよかったと思いました」

 いい意味で視聴者の期待を裏切る菅田だから、第2話を終えた今の段階で、役の根底はまだ見えてこないが、生徒たちに寄り添う優しさと頼れる強みをどう投影するか楽しみだ。

 ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをきっかけに2008年に芸能界入り。同時期の高校1年生の頃、恩師と出会った。今でも連絡を取り合う担任の女性教師だ。

 「中学まで、そういうことをやるタイプじゃなかったけど、友達が学級委員になったので、副学級委員になりました。『文化祭でこれやろうぜ!』って思っていても恥ずかしいし、怖いし、言えない。でも、その時は素直に出せたんですよね。きっと、そういう空気を先生がつくってくれたんでしょうね」

 個性を出すことを恐れない雰囲気をつくり出す彼女との出会いが、俳優への道を目指した遠因なのかもしれない。

 今年で俳優デビュー10周年を迎えた。17年には4本の映画で主演を務め、報知映画賞など国内映画賞を総なめにし、若い世代の目標になっていた。

 「今年地元に帰った時に弟の同級生から、俳優をやりたいと相談を受けることがたくさんあった。俺もジュノンの時に感じた、なにか分からないけど、今はこっちの道に行きたいっていう衝動を彼らから垣間見た。うれしいし、エネルギーや刺激を受けた。でも、俳優は確実に勧められない仕事ですけどね」

 その中に家族ぐるみの付き合いをしていた青年がいた。

 「トイレ掃除でもなんでもやりますっていう勢いで、俺の付き人になりたいのかなって?って思うほどその子は真剣だった。だから、『俺を頼っているようじゃダメ。俺を頼るのは一番楽な方法だから、それを選んでいる判断能力じゃダメだよ』。これで終わりました。彼はハッとしていました」

 むげにしない。誠心誠意答える姿に優しさを感じた。

 多くの俳優志望の若者の憧れの的が、この10年で一番嫉妬した相手は俳優・太賀(25)。同い年で誕生日は14日違い。出会いは12年放送のTBS系「ブラックボード~時代と戦った教師たち~」。2人とも少年兵の役で軍歌を歌うシーンだった。

 「俺たちの世代は戦争を体験していないから、どう演じればいいのか必死でした。自分は私生活から猫背で、衣装を着てピシッと力を込めて苦戦していた時、パッと見たら一人完璧な少年兵がいた。資料で見たやつだ!って興奮した。しかも撮影が終わって私服に着替えたら、古着野郎だった(笑い)。ここまで衣装と私服が違うんだって初めて知った」

 本物のような少年兵を前に笑うことしかできないほど完敗だった。

 「今でもお互いの作品は見に行きます。作品が良かったら連絡しない、かわいいとがり方をしたこともありましたが、常に刺激的な人です」

 それから7年。経験と年を重ねて新境地を開いた。もうすぐ26歳。今掲げる理想の俳優像は30代半ばの先輩たちだった。

 「小栗旬さん(36)が最近ハリウッドに行った。瑛太さん(36)、山田孝之さん(35)もこぞって面白かった現場の話をして、あの世代の人たちみんなが新しいことにガンガン挑戦して張り合っている。俺は音楽もやっているので、また別の道になると思うけど、コンスタントに作品の規模は関係なく全部やっていけたら」(ペン・水野 佑紀)

 ◆「3年A組―今から皆さんは、人質です―」 数か月前、学校のスター生徒・景山澪奈(上白石萌歌)が自ら命を絶った。担任の柊(菅田)は卒業10日前に29人の生徒を監禁した。景山が自殺した理由を午後8時までに導きだし、不正解の場合は誰か1人に死んでもらうと宣言。回答役に指名された学級委員の茅野さくら(永野)は自分の罪を告白し、真相を追求していく。

 ◆菅田 将暉(すだ・まさき)1993年2月21日、大阪府生まれ。25歳。2009年、テレビ朝日系「仮面ライダーW」でダブル主演を務め、俳優デビュー。13年は映画「共喰い」で日本アカデミー賞新人俳優賞を、18年は「あゝ、荒野」など4作品で報知映画賞主演男優賞を受賞した。17年、シングル「見たこともない景色」で歌手デビュー。主演映画「アルキメデスの大戦」が7月26日に公開される。

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