稀勢の里の“生命線”左おっつけの威力奪った大胸筋断裂

スポーツ報知
17年春場所13日目、日馬富士(左)に寄り倒しで敗れ、土俵下へ転落した稀勢の里

 日本相撲協会は16日、理事会を開き、第72代横綱・稀勢の里(32)=田子ノ浦=の現役引退と年寄「荒磯」襲名を承認した。稀勢の里は両国国技館で会見し、17年間の土俵人生に「一片の悔いもありません」と涙。19年ぶりの日本出身横綱として絶大な人気を誇ったが、左大胸筋などのけがに苦しみ在位はわずか12場所だった。

 新横綱として挑んだ17年春場所で、稀勢の里の土俵人生は全てが暗転した。13日目の横綱・日馬富士戦で負った左上腕や左大胸筋のけがを押して出場し、奇跡的な逆転優勝。だがその後は後遺症に苦しみ、復活は果たせなかった。

 その日の夜。現役時代に同様のけがを負った元幕内のある親方は「大胸筋が切れていたら復活は絶望的。腕の左右の動きが制限されて完治もしない。おっつけができなくなるから、今までの相撲は取れないだろう」と案じた。関係者によるとその後、大胸筋は部分断裂と判明した。

 悲劇から3か月後、稀勢の里は出稽古先で阿武松(おうのまつ)親方(元関脇・益荒男)に告げられた。「仮にこのまま復活できなかったとしても、努力した尊さは変わらない。胸を張ってほしい」。横綱は「本当にありがとうございます」と頭を下げ「もう一度、頑張ります」と返したが、生命線の左おっつけの威力は戻らなかった。

 患部をかばうことで腰や足首、膝も痛める悪循環。左大胸筋は微弱電流を流して機能回復を促す医療機器が、今場所前までずっと手放せなかった。右膝負傷で7場所連続全休の横綱・貴乃花は取り口の技術でけがを補って一度は復活したが、技能よりも馬力の稀勢の里は歯車が狂うと軌道修正が利かなかった。

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