中原誠十六世名人、のめり込んだ囲碁の魅力「白黒ハッキリさせないのが難しさ」

将棋駒ではなく碁石を盤上に打つ中原誠十六世名人。後列左から清水市代女流六段、森内俊之九段、佐藤康光九段。4人の合計将棋タイトル獲得数は132期!
将棋駒ではなく碁石を盤上に打つ中原誠十六世名人。後列左から清水市代女流六段、森内俊之九段、佐藤康光九段。4人の合計将棋タイトル獲得数は132期!

 隣の囲碁界は、今年4月に史上最年少の10歳0か月で棋士になる仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)の話題で騒然となっているが、実は将棋棋士にも囲碁愛好家は多い。歴代3位のタイトル通算64期を誇る中原誠十六世名人(71)=永世5冠=は1日、日本棋院からアマ六段免状の贈呈が発表された実力者だ。伝説の棋士は「囲碁は白黒ハッキリさせちゃいけないのが難しいです」と謎めいたことを言う。

 将棋会館の一室。中原十六世名人は日本棋院副理事長の小林覚九段から六段免状を受け取ると、思わず頬をほころばせた。「免状を受け取るのは不思議な感覚がします。渡すことはたくさんしてきましたけれど」。名人として日本将棋連盟会長として、数え切れないほど臨んだ贈呈式で受け取る側に回り、照れ笑いを浮かべた。

 昭和の大名人が本格的に囲碁を始めたのは、2009年の現役引退後。「奨励会時代の中学2年くらいの時にルールは覚えていたんですけど、さすがになかなか…。大山先生(康晴十五世名人)、升田先生(幸三実力制第四代名人)も囲碁を打っていたので自分も、とは思っていたのですが…50歳くらいの時は2級か3級でした」

 ところが、挑み始めると、やはり同じ勝負の世界。のめり込んだ。「今は月3、4回は碁会所で打ちますし、月1回の将棋連盟囲碁部の集まりも参加します。毎週のNHK杯は録画して3回くらい見直します」。着実に力をつけ、六段に達した。

 現役時代、奇をてらわずに自然な指し手を続けて勝利をさらう棋風が「自然流」と称されたが、囲碁の棋風は―。「なかなか自然流とはいきません(笑い)。やはり将棋と囲碁では思考の種類が違って、私などついつい将棋的な考え方ですぐ決着をつけてしまおうと考えてしまうのですが、囲碁には放っておこう、という思考もあって、なかなか難しい」。囲碁と言えば、白黒の石だが…。「囲碁は『白黒ハッキリさせよう』とは少し違うんです。私はハッキリさせたくなっちゃいますけど。でも、思考が違うからこそ趣味として続けられるのかもしれません」

 将棋にはない魅力もある。「単純に盤が広い(19マス×19マス、将棋は9×9)ですから。あまりに茫漠(ぼうばく)として、三段くらいまではどこに打っていいか分からなかったです。今は打ちたいところがいっぱいあって面白いです」

 囲碁との二刀流は、将棋に好影響を与えると読む。「将棋の棋士も囲碁は打った方がいいと思います。私も現役の時、もうちょっと早く打ってたら良かったなあと思いますよ。藤沢秀行さん(囲碁名誉棋聖。将棋でもアマ五段の実力者だった)みたいに60代でもタイトルを取っていたかもしれませんねえ」。ジョークか否か判断しかねる言葉を発し、十六世名人は再び笑った。(北野 新太)

 ◆中原 誠(なかはら・まこと)1947年9月2日、宮城県塩釜市出身。71歳。65年、18歳で四段昇段。20歳で初タイトル獲得。大山康晴、米長邦雄、加藤一二三らと時代を築き、72年から名人9連覇。歴代3位の通算タイトル64期、歴代4位の通算1308勝。十六世名人、永世十段、永世棋聖、永世王位、名誉王座の5つの永世称号を持つ。2003~05年には将棋連盟会長を務めた。異名は「棋界の太陽」。桂馬使いの名手としても知られた。

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