純烈の中で最も熱くて激情型だった友井雄亮…しっかり償い、新たな道を踏み出せ

純烈
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 波乱万丈の人生を生きてきた。そこにドラマがある。いいことも、悪いことも。それが魅力でもあった。茨の道を経て、たどり着いた夢のステージ。その舞台裏で、しかし、過ちを犯し、間違ったことをしていたならば、傷つけた人にちゃんと謝って、しっかり償い、新たな道を踏み出せばいい。信頼を裏切り、失望させた周りの人がそっぽを向いて、もはやだれも手を差し伸べてくれなくなったとしても、そうすることが確かな贖罪になる。

 ムード歌謡コーラスグループ・純烈のメンバー、友井雄亮が、芸能界引退を表明した。過去の交際相手の女性への耳を覆いたくなるような言動が明るみになって、謝罪会見を行った。擁護することはできない愚行。だから、余波は続き、これでもか、これでもか、と友井が会見で頭を下げた後も、なお、周りから石を投げ続ける批判の嵐が続く。それだけのことをした。弁解の余地はない。

 ただ、今回の一部の報道から発覚したことで、だれが幸せになり、笑顔になったのだろうか、と考えると、被害者だって、喜んでいるとは思えない。受けた傷をほじくり返され、だれも幸せになっていないんじゃないかと。ほくそ笑んだのは一部だけで、それがマスコミ、という指摘ならば、それを真摯に受け止めるしかない。

 昨年の夏から、純烈を取材してきた。

 それは、激しい人生ドラマを抱えたグループであり、メンバー5人それぞれに、どん底からはいあがってきた道のりがあったからこそ、見て、聞いて、知りたかった。そして、もう1つ。スーパー銭湯を舞台にファンを魅了している理由も、探りたかった。

 もう、芸能界を引退して、一般人になった友井雄亮だから、一応、友井さんと呼ぶことにする。彼にも何時間にもわたってインタビューし、彼を含めた純烈のライブも見てきた。

 友井さんは、ファンを喜ばせようと、本当に一生懸命だった。それは金儲けで仕事だからだろ、では片付けられないような「仕事」ぶりだった。純烈のターゲットと言われる、いわゆるマダムと呼ばれる女性たちだけでなく、男性に対しても。ファンは知っている。例えば、あるスーパー銭湯で、ライブ前に友井さんがひとっ風呂浴びた時、たまたま海外からの観光客と一緒になり、湯舟のなかで意気投合。その観光客が湯上り後、純烈のライブをふらりとのぞきに来た際、メンバーが観客席に降りる「ラウンド」と呼ばれるファンとの触れ合いのパフォーマンスの時に、友井さんはその観光客を見つけるなり激しくハグして、感謝と友情の気持ちを伝えていた。話せない外国語を使うことなく、スキンシップでコミュニケーション。別にスルーしてもいいのに、彼は熱く、人との触れ合いを大事にしていた。男女や、国籍、そういった壁を何とも思っていなかった。裏方さんだろうが、それは同じだった。少なくとも「仕事」では。

 熱い性格。それは、いい方向に作用すれば魅力になるが、リスクを伴う場合もある。怒りや、暴力といったものに発揮されてしまうと、人を傷つける。

 メンバー全員をインタビューした時に、だれが一番熱いのか、というテーマで話をした時も、やはり、友井さんの名前が一番最初に上がった。それを象徴するエピソードを、リーダーの酒井が明かしてくれた。

 「友井がね、世話になったおっさんが亡くなった時、いきなり『オレ、焼鳥屋やります!』って、唐突に。その世話になったおっさんが焼鳥屋をやっていたのね。友井はそこで昔、バイトしてて。で、あるディナーショーのエンディングで、友井のコメントがいきなり『オレ、焼鳥屋、継ぎます!』って。話の文脈がないなかで、いきなり言っちゃって。お客さんは、何も把握しきれないなかで、ポカーンよ。でも、友井は熱くなって言っちゃって。こっちもだから『焼鳥屋、継ごうか!継ぐよな!ありがとう!』みたいな、よう分からん終わり方になっちゃって(苦笑い)。もう、お客さんに説明もできない。歌う曲も終わっちゃっているし。そんなすごいステージがあった」

 それを聞いていた友井さんはこう答えた。

 「いや、その気持ちは自分のなかではまだありますよ。でも、一番は純烈として紅白っていうところが、このグループの目標だから。オレとしては、そのあとにやりたいことはあるけれど。オレはね、良くも悪くも喜怒哀楽はっきりしているから。自分のなかでは筋道があって、オレなりの(感情の)タンクはあるんです。タンクのバロメーターがあって、ためているんですけど、スイッチはいっちゃうとバコンってなっちゃう。あふれちゃう」

 リーダーの酒井は「だから、こいつの筋道はド・ストレートですよ。分かりやすいっちゃあ、分かりやすい」と話していた。

 確かに熱すぎて、もはや激情型。こうと思ったら猪突猛進。子供がそのまま大人になっちゃったような印象は、確かに、あった。そして、友井さん自身も分かっていた自身のタンクのバロメーターを、やはり「弱さ」からコントロールできなかったのだろう。それで人を傷つけた現実を直視し、贖罪の道を歩みながら、これからはタンクの器を大きくしなければいけない。

 滋賀・米原でメンバーと食事をした時のこと。

 目の前に酒井、その横に友井さん、後上、小田井、自分の横には、1人おいて、白川がいた時、運ばれてくる食事を、友井さんがしきりに取り分けてくれた。友井さん自身が食べる時は、もう、一気に。こぼしながら、バーッと食べる。イカのお寿司の握りをマヨネーズかけて食べていて、さすがに他メンバーから「お前ねー」と突っ込まれていた。

 マイペースで、好きなように突っ走り、自身も「自分は純烈のサル」と公言するように、思ったことをそのまま、見境なく、周りの目を気にせずに行動、暴走にしてしまう「弱さ」もあった。

 姫路まで行っての取材の時、純烈のコンサート後、楽屋にあいさつに行き、リーダーの酒井が「ここまで来たんですか。わざわざありがとうございます」との言葉と同時に、いきなり、不意に、後ろから友井さんに抱きつかれた。ああ、彼はこういうキャラなのだと。女性だったら一気に魅了されてしまうことだろう。計算された行動ではなく、彼にとってはごく自然。ただ、無意識の行動は、時に罪にはなる。

 そんな友井さんに、ひとつ、気になっていたことがあった。ふと、合間に見せる、急変する素の顔、というか、ステージのはっちゃけた元気さと対照的な、さみしげに視線を落とした表情は、取材するようになってからずっと気にはなっていた。昨年12月、東京・スカイツリーでのイベント後、ライブ先の高知に向かう前に取材した際、再び見せた素の表情は、疲れからなのだろう、と思っていたが、心の闇を抱えていたからなのだと、今なら分かる。

 友井さんを除いた4人は再出発のために15日、会見に臨む。友井さんへの厳しい言葉が出るだろう。当たり前だ。4人とも、歯を食いしばって、再びどん底から這い上がって生きていかなければならない。ファンにお詫びし、恩返しして、なお純烈を応援してくれる方たちに少しでも笑顔をあげられたら、と思っているだろう。そして、友井さんに対して、ふざけんな、バカヤロー、と思う一方で、ひそかに、少しだけ、お前も頑張れよ、と小さくエール。そんなグループが純烈。

 もう、石を投げるのは、いいんじゃないか。(記者コラム・佐々木 良機)

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