芝田沙季、日本勢5番手3強崩す「一つ一つクリアできれば五輪が見えてくる」

スポーツ報知
ラケットを手にポーズを取る芝田。逆転での東京五輪出場権獲得を目指す(カメラ・石田 順平)

卓球の20年東京五輪代表争いが今月から本格化する。男女とも3枠の狭き門を目指し、女子で著しい成長を見せているのが世界ランク15位の芝田沙季(21)=ミキハウス=だ。シングルス代表は今年1年の成績をもとに決まる20年1月の世界ランク上位2人が選出。日本勢5番手の注目株が異色の強化策で同3位の石川佳純(25)=全農=、同7位の伊藤美誠(18)=スターツ=らとの競争に挑む。(取材、構成・林 直史)

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 芝田が東京五輪を現実的な目標と捉え始めたのは「ここ1~2年」だ。17年1月に53位だった世界ランクは日本勢5番手の15位まで上昇。3枠を十分に狙える位置から今年の選考レースを迎える。

 「今までも出たいと思ってやってきたけど、ランクも上がって少しずつ近付いてきたことで考え方が変わりました。必死でやってきたつもりでも、まだまだ甘かった。今は練習がすごくやりたい。足りない部分は多いけど、一つ一つクリアできれば五輪が見えてくると思います」

 中国選手に苦手意識がないことも強みだ。昨年は6月の中国オープン(OP)で当時世界2位の朱雨玲を破るなど、中国選手から伊藤の12勝、石川の4勝に次ぐ3勝をマークした。

 「以前は『あー、中国選手だ』って感じがあったけど、最近は中国選手でも関係なく勝ちにいけている。中国OPの時は朱選手の調子が悪かったり、油断していたのかなぐらいにしか感じてなかったけど、どんな形でも勝ったことは大きかったのかな」

 いとこの影響で6歳から卓球を始めた。ラリーの回数が増えていくことに夢中になり、電車で1時間半の距離にある強豪の千城クラブに通うため、小6で親元を離れる決断を下した。

 「もっと強くなりたいと思って、小4の途中からクラブを移りました。ただ家から遠いし、週4日では進歩が遅いと感じて、小6から下宿することにしました。寂しい部分もあったし、親も心配してくれたけど『悔いが残らないように』と言ってくれたので、最後は自分で決めました」

 卒業後は大阪・四天王寺高に進み、八尾市内の練習場で中高と社会人のミキハウスの選手が汗を流す国内屈指の環境で成長を目指した。当初は中学生にも負ける挫折の連続だったが、着実に地力を磨いた。16年にミキハウスに入社すると、同時期に引退した12年ロンドン五輪団体銀メダルの平野早矢香さん(33)がコーチに就任。著書を愛読するなど尊敬する先輩の指導を受ける機会にも恵まれた。

 「平野さんはどんな状況でも諦めずに最後までやり切るところが、かっこいいなと思います。引退されてからの1年間は私が気付かないような細かい技術や練習への考え方、試合の挑み方を教えてもらいました。今でも私たちのことを心配してくださっていて、本当にお世話になっています」

 所属のバックアップを受けて国際大会へ積極的に参戦した昨年は、17か国・地域で18都市を渡り歩いた。

 「一番思い出深いのはベラルーシ。(17年に国際大会で)初めて優勝した場所ですが、昨年は着いて次の日に虫にすごい刺されて、全身かゆくなった。トコジラミかもしれないです。試合の時はかゆみ止めを飲んでダブルスと2冠でしたが、1週間大変でした。今も手や足に痕が残ってます。海外は食事が合わなくてあまり好きじゃないんですが、これだけ試合に出させてもらったからこそ成長できたと思います」

 高校から指導を受ける大嶋雅盛監督の強化方針も大きかった。「平野のように言われたことに対してコツコツと頑張り、粘り強いところも似ている」。現役時代の平野さんに重ね、期待をかける指揮官が課題に指摘するのは「相手を察する能力」だ。そのため、世界ランクが上がった昨年も国際大会で格付けが低いチャレンジシリーズや21歳以下の部に積極的に派遣。10月のベルギーOPでは初めて「自分で考えてやる機会を」と、ベンチに誰も入らない状況で試合をさせた。

 「気持ちの面でもいてくれた方が心強いけど、いつも以上に相手が何をしてきているか、何が効いているかを考えた。流れが変わった時にどう対応するかとか、頭の勉強になりましたね」

 大嶋監督は代表争いが本格化する今年もチャレンジシリーズに継続参戦させ、ベンチ不在での実戦機会を設ける考えだ。優勝しても獲得できるのは850点。ワールドツアーで最も格付けの高いプラチナ大会は2回戦敗退でも900点で、過去1年間の成績上位8大会が反映される世界ランクの面で利点は少ない。格付けの高い大会に絞る多くのトップ選手に比べて移動の負担も増す異色の強化策となるが、芝田も前向きだ。

 「相手の表情やラリーの流れに目を向けることが、今の自分に一番足りないところ。点数の取り方や相手の心境でやり方は一本一本、変わってくる。とにかく試合に出て勉強や経験をすることで成長していきたい。ベンチなしでやるのも楽しみ。そこで勝てれば、少しは自信になると思います」

 五輪の目標は3番手での団体戦出場ではなく、上位2人のシングルス代表入りだ。石川、伊藤、平野美宇ら厚い壁に挑むため、自主練習も含めた練習時間は毎日9時間にも及ぶ。154センチと小柄だが、男子のように台から離れた位置で粘り強く戦う特徴的なプレースタイルに加え、打球点の高い卓球にも挑戦。戦術の幅を広げようとしている。

 「日本で1番を目指してやっていきたい。まずは世界選手権に出ることが五輪に近付くために重要。そのためにも全日本選手権は優勝を目標に頑張りたい。あと1年は本当に短いけど、最後まで諦めずに勝負をかけたいと思っています」

<芝田沙季>

 ▼生まれとサイズ 1997年8月25日、千葉・旭市。154センチ

 ▼競技歴 6歳で旭スタークラブで卓球を始め、小4から中学まで千城クラブに通う。四天王寺高から16年にミキハウスに入社

 ▼息抜き 人気グループ嵐のライブDVD観賞と読書。大野智(38)のファン。読書はアスリートの著書やビジネス書が中心

 ▼家族 両親と弟

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