巨人・菅野が危機感を抱く野球人口の減少…中学野球部員は10年間で14万人減

観客席のファンと笑顔でハイタッチをする菅野
観客席のファンと笑顔でハイタッチをする菅野
菅野
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 巨人・菅野智之投手(29)は野球人口の減少に危機感を抱いている。それは日頃の言動にも表れている。来季、背番号「19」から「18」への変更が決定。そのことに関する取材で「野球人口も減っている中で、巨人の18番といったら菅野と思ってもらえるような活躍をしていきたいなと思います」と話した。野球人口の減少について常に考えているからこそのコメントだった。

 今オフ、プロ野球選手が開催する野球教室に何度か取材に行った。どの会場でも、憧れの選手との交流に目を輝かせる子どもたちの姿が印象に残った。同時に現場の「生の声」を聞ける場でもあった。「昔はもっとたくさん少年野球チームがあったんですけどね。どんどんチーム数が減っていますよ」という指導者、協会関係者が多かった。

 全日本軟式野球連盟によると、学童の全国加盟チーム数は平成23年度に1万4221だったが、平成29年度は1万1792。6年間で2000以上減少している。小学生の野球人口低下は中学校の部活にも影響しているという。ある中学校の軟式野球部監督の先生はこんな話をしていた。

 「最近は、以前と違って野球部に生徒があまり入ってこないんです。球技だとバスケットボールが人気。卓球などの個人競技、文化部の人数も増えています。地域に子どもが野球をやる環境がない。これが一番の問題ではないでしょうか」

 日本中学校体育連盟(中体連)のデータでは、平成20年度の軟式野球部員は全国で30万5958人だったが、今年度は16万6800人。10年間で約14万人も減っている。人気と言われるバスケットボールは平成20年度が約17万人で今年度は約16万人。少子化、中学校から硬式のシニアリーグやボーイズリーグでプレーして学校の野球部に所属しない選手がいることを踏まえても、野球人口は急速に減っていると言えるだろう。

 菅野のように、野球人口減少について真剣に考えるプロ野球選手は多い。選手会総会でも議題に挙がり、12球団の代表選手が意見を出し合った。小学校だけでなく幼稚園、保育園にも選手が訪問することになり、今年12月、大阪・堺市で全国で初の現役プロ野球選手と未就学児の交流イベント「キッズ・ボールパーク」が開催された。

 このようなイベントや野球教室は、子どもたちが野球を好きになったり、野球選手に憧れを抱くには最高の機会だ。それでも、先ほどの中学校の先生の話のように、危ないとの理由で「キャッチボール禁止」という公園が増え、自宅の周りに野球をやる場所がなければ、野球をやりたくてもできない。環境だけが野球人口減少の理由ではないだろうが、野球を始めようとする子も増えないだろう。

 自治体によっては、公園の中にネットを張って球技専用のスペースをつくったり、危険性の低い柔らかいボールやグラブを貸し出したり、工夫しているところもあるという。野球人口減少という課題は、プロ野球選手が発信したり行動したりするだけではなく、環境整備など、野球選手以外でも意識を高めて行動に移すことが不可欠だろう。

 菅野は17年WBCで「野球人口が減少している。ここで世界一になれば、野球を始めてみようと思う子どもたちがたくさん出てくるかもしれない」と強い気持ちで臨んで快投した。選手会長として球団内で意識を共有し、グラウンドでは子どもたちと握手、サインを書いてあげたりしている。

 「自分たちができることは微々たるものですが、これがプロ野球選手じゃなくてもいいと思いますし、大学生でも高校生でもそういうものに興味を持ってもらえれば。(野球教室などを)小さい子にやってあげて、小さい子が何か野球界に恩返ししたい、と思って上のステージにどんどん上がってきてくれればすごくいい流れだと思う。そういうものが必要かなと思います」

 NPB各球団の収益は上がっているという。球団によっては入場者数も大きく伸びている。野球人気は根強いが、今の子どもが大人になる10年後、20年後、30年後は…。プロ野球選手だけでなく、野球人口拡大のために活動している人はたくさんいる。その輪が少しでも広がることが将来の球界発展につながっていく。(巨人担当・片岡優帆)

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