東洋大・西山和弥、母の言葉を胸にどん底から這い上がる…学生記者がみた箱根駅伝ランナー

第94回大会、1区をトップで駆け抜けた東洋大・西山和弥(18年1月)
第94回大会、1区をトップで駆け抜けた東洋大・西山和弥(18年1月)
18年11月の第50回全日本大学駅伝、走り終えてがっくりとする西山(C)スポーツ東洋
18年11月の第50回全日本大学駅伝、走り終えてがっくりとする西山(C)スポーツ東洋

 第95回箱根駅伝は2日、東京・読売新聞社前をスタートする。スポーツ報知では東洋大学スポーツ新聞編集部(スポトウ)の協力を得て、2014年以来の覇権奪回を目指す東洋大の3選手を紹介する。第3回は西山和弥(2年)。1年中、密着取材する担当記者が、それぞれの選手を徹底分析した。

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 前回大会往路優勝の立役者、西山が苦しんでいる。

 1区区間賞という鮮烈な箱根駅伝デビューを飾り、大会後もアジアクロカン準優勝、日本選手権1万メートル4位入賞と順調なトラックシーズンだった。駅伝シーズンに入っても昨年以上の活躍が期待されていたが、振り返ると出雲駅伝は2区区間6位、全日本大学駅伝は2区区間14位と不振が続いている。タスキを渡した後の西山の表情に笑顔はなく、駆け出す仲間の背中を茫然と見つめていた。

 「まだまだ未熟なところがたくさんあったことを教えられた」。沈みこむ西山をすくい上げたのは、母の言葉だった。全日本大学駅伝の翌日の11月5日に20歳の誕生日を迎え、母から「小さな一つ一つのことに感謝するということが大切だから、それだけは忘れずにやってください」とメッセージを贈られた。その言葉で自身が恵まれた環境にいることを再認識し、「走りたくないという甘えから抜け出せた」と、もう一度気持ちを駅伝に向けることができた。

 11月の合宿では、過去ないほどに走りこんだ。スタミナには自信があるが、距離走を積んでより長い距離への対応や苦手な単独走の克服にも努めた。その総仕上げとして出走した日体大記録会では、1万メートル28分52秒台を記録。28分35秒の持ちタイムからすると本調子とは言えないが、着実に本来の走りを取り戻しつつある。「まだ走れるんだ」とひとまずの実感を得て、箱根駅伝に照準を合わせた。

 好きな食べ物は「母の手料理」だと笑って答えていたが、将来の夢を聞くと表情は一変。「マラソン日本代表」と迷いなく言い切る。目標としている大迫傑(ナイキ)やOBの設楽悠太(現・ホンダ)、服部勇馬(現・トヨタ自動車)の背中を追う決意だ。酒井俊幸監督(42)は「気負わずのびのび走って」と西山の走りに信頼を寄せる。前回大会と同じ1区での起用となるのか、酒井監督の采配にも注目が集まる。

 西山は「走れればどこでも走りたい」と希望区間は示さない。出雲駅伝、全日本大学駅伝の悔しさを忘れず「今練習ができているからといって自己満足しないで、箱根で結果を出す」。いずれ学生ランナーのトップに立ちうる存在は今、結果に飢えている。雪辱を果たす舞台として、箱根路は最もふさわしい。(スポーツ東洋・稲村 真織)

 ◆西山 和弥(にしやま・かずや)1998年11月5日生まれ。群馬県出身。総合情報学部2年。20歳。東農大二高から5000メートル13分台の大型ルーキーとして東洋大に入学。第94回箱根駅伝で1区区間賞を獲得。1年生での獲得は大迫傑(ナイキ)以来7年ぶり。ロード、トラックともに持ち前のスタミナと安定感が光る。身長167センチ。体重53キロ。競技歴8年。子供のころの夢はプロ野球選手。

第94回大会、1区をトップで駆け抜けた東洋大・西山和弥(18年1月)
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