ハードワーク、向上心、若手に“失敗のススメ”来季10年目メッセのすごみ

メッセンジャー
メッセンジャー

 ストレスのたまるシーズンだった。9月、右肩の不調から戻ってきたメッセンジャーは、日米通算100勝に王手をかけながら8度の登板機会で勝利を挙げることなく2018年を終えた。「途中からどんどん悪い方向に向かっていく部分が、自分自身思い通りにいかなくて腹が立った」と今季を振り返った。

 阪神担当はおろか、記者1年目の私ですらその雰囲気を感じとれた。通常、先発投手が登板する前日に取材が行われる。虎の看板投手であるメッセも例外なく答えてくれていた。それがチームの負けが込み始め、メッセらしからぬ投球が続くと自身へのいらだちか、次第に口数が少なくなり…足早にクラブハウスへ向かうことも多くなった。100勝への思いを聞こうと、メッセに突撃したが、力なく「ソーリー。ごめんなさい」と撃沈した。

 当たり前だが、メッセは野球に対する向上心が強い。決して若くない年齢にあらがうように体力を強化し続ける。シーズン中、投手練習が行われたハマスタでは、栗山通訳を後ろに従えて球場の内野スタンドを縦横無尽にランニング。名物の急な階段を登ったり、降りたり。汗だくで体をいじめ抜いた。約1時間、たっぷり走りきったのに「ハードワークね」と笑い飛ばす明るい性格も兼ね備える。

 メッセの後を受けて投げる桑原がうなる。「何よりすごいのは大きなけがをせず、何年も第一線で投げていること。(中継ぎと先発で)役割は違うけど、同じ投手としてそれが一番すごいし大事なこと」。来日9年目、NPBに来た外国人の中で最多となる7度目の2桁勝利。一時、開幕から守ったローテを外れたが、チーム唯一の規定投球回も8年連続で達成した。

 ある名古屋遠征の夜。1軍に合流したばかりの3選手を食事に誘った。緊張する若手に語りかけた。「若いうちにどんどん失敗したらいい。そしてその失敗した経験を、自分の年齢くらいになったらこうやって伝えてあげてほしい」。“失敗のススメ”を伝授したのも、ベテランとして自分の役割を理解してのこと。

 来季はオリックスから西が、中日からガルシアが加入。小野、望月、才木など若手投手も順調な成長曲線を描いている。国内FA権を獲得し、来季は“日本人”扱いで10年目を迎える。「外国人の記録のあらゆるところで上に立ちたい」と意気込む右腕。バッキーに並ぶNPB100勝も通過点に、うっぷん晴らすシーズンを期待したい。(記者コラム 長尾隆広)

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