坂本勇人、無駄ではなかった夏のG球場での1か月「親身になって応えてあげないと失礼」若手の財産になった  

この夏、G球場でリハビリに専念した坂本勇人(カメラ・中島 傑)
この夏、G球場でリハビリに専念した坂本勇人(カメラ・中島 傑)

 今季、主将4年目を迎えた巨人の坂本勇人内野手(30)。開幕から攻守で絶大な存在感を見せていたが、7月16日の阪神戦(甲子園)で左脇腹の肉離れを負い、レギュラーに定着した高卒2年目の08年以降では初めての1か月以上の長期離脱を強いられた。

 その時のチームの順位は首位・広島に6ゲーム差の2位。逆転優勝に向けてここからという時のリーダー不在は「今」を戦うチームにとっては大きな痛手となったのは言うまでもない。結果として1軍に復帰した8月25日の阪神戦(東京D)以降も安打を重ね、自身はキャリアハイの打率3割4分5厘を記録したが、チームとしては球団ワーストタイの4年連続V逸。悔しさの残るシーズンとなった。

 ただ、1か月のリハビリ期間中に坂本勇が後輩に示した姿は、「未来」を担う若手選手にとっては大きな財産となったということも取り上げておきたい。記録的猛暑に見舞われた今夏。40度近い気温を計測したジャイアンツ球場で、主将は大粒の汗を流しながら、連日リハビリに励んでいた。

 負傷後初の屋外での全体練習は3軍に合流。高卒1年目の湯浅、育成で高卒1年目の比嘉、折下といったこれまでほとんど面識のなかった後輩たちに混じって内野ノックなどを受けていた。最初の方はチームの顔とも言える先輩に対して湯浅らは尊敬の念が強く、緊張している様子だった。

 しかし、坂本勇とドラフト同期入団の円谷3軍内野総合コーチ(当時)が「こんなチャンスないぞ! 今しかないんだから、自分から聞きに行って、何でもいいから自分のものにしなさい」と背中を押すと、目の色を変えて先輩に次々と質問をぶつけるようになった。

 すると主将も打撃、守備における自分の考え方や「この人はこういうことを言っていたよ」という経験を伝えた。さらに後輩の動きを後ろから見ては、身ぶり手ぶりで会話を重ねた。リハビリの過程ということもあり、3軍の全体練習に参加したのはわずか6日間。それでも坂本勇は「逆の立場を考えたら自分だったら聞きに行けるのかなとか考える。だから、その勇気に対しては親身になって応えてあげないと失礼」と、全身全霊で応えていた。

 翌日から2軍に合流するため、最後の3軍練習となった日のこと。打撃練習開始前に坂本勇がノックを受け始めると、後輩たちが「一緒に受けていいですか?」と後ろに並んだ。打撃練習までのわずかな空き時間を見つけての自主的な行動だった。その姿に坂本勇は「この子たちは本当に野球がうまくなりたいと思っているんだろうね。ああいう気持ちがあれば絶対に上達する。うまくなってほしいと本当に思うよね」と話していたのが印象深い。

 その後、2軍に合流してからも、大卒ルーキーの北村から質問を受けると、3軍の時と同じように助言を送る姿があった。苦しみの方が多かったはずのリハビリ期間だったが「こんなに暑い中、ひたむきに練習している姿をみたら、1軍ってどんなにいい環境でやらせてもらっているんだろうと思う。下で頑張っている人を見て、もっと頑張ってほしいと思う部分もあるし、1軍のいい部分を見せてあげたいとも思うよね」。坂本勇と近未来の巨人を担う若手が過ごした貴重な時間が、次のシーズンにつながってほしい。(巨人野手担当・後藤 亮太)

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