羽生結弦、古傷の右足首負傷で年内欠場へ…GP初連勝&10勝も「厳しいかな」

◆フィギュアスケート GPシリーズ第5戦ロシア杯 最終日(17日)

 【17日=高木恵】男子はショートプログラム(SP)で世界最高得点を記録した羽生結弦(23)=ANA=がフリーも1位の167・89点、合計278・42点で、第3戦フィンランド大会に続く自身初のGP2連勝。日本男子単独最多の通算10勝目を飾った。朝の練習中に右足首の靱帯(じんたい)を損傷しながらの強行出場。診断は「3週間の安静」で、12月のGPファイナル(6~9日・バンクーバー)、全日本選手権(20~24日、大阪)は欠場が濃厚となった。

 覚悟の4分間だった。感覚がない右足首で、羽生は7本のジャンプを跳んだ。演技後は天を仰ぎ、滑りきった自分に向かって叫んだ。「頑張った!」。笑顔が涙になったのは、ロシアスケート界の重鎮タチアナ・タラソワ氏に声をかけられた時だった。「アイム・ソー・ソーリー」と泣いた。「本当は『よく頑張ったね』じゃなくて、『素晴らしかったよ』って言ってもらえるような演技をしなきゃいけなかった」。大会に懸けてきた思いが、一気にあふれた。

 朝の公式練習の曲かけ中、冒頭の4回転ループで転倒した際に古傷を抱える右足首をひねった。「もう、いっちゃったな」。靱帯を痛めたことは、すぐに分かった。昨年11月のNHK杯の前日練習で痛めて以降「弱かったものが、さらに緩くなってしまっている」という。羽生は立ち上がった。ゆっくりと氷上を行き来しながら、難度を落とした構成をすぐに頭の中でプランニングした。右足首に負担がかかるループは抜き、4回転はサルコーとトウループの2種類3本。練習でも滑ったことがない構成に、大幅に変更して臨んだ。

 痛み止めを飲みながらの、強行出場だった。公式練習後、医師の診断は「靱帯の損傷」で「3週間の安静」だった。18日のエキシビションは欠場の見込み。さらに「ファイナルと全日本は厳しいかなと思います」。年内欠場の意向を口にした。調整期間を考慮すると、3週後のファイナルはもちろん、5週後に控える全日本選手権も間に合わない。「今日みたいな構成で勝てるとはまったく思っていないし、かなり悪化させるような演技をした。考えないといけない」。会見場には松葉づえ姿で現れた。

 ロシアは羽生の「原点」でもある。幼い頃からロシアの美しいスケートに憧れ、腕を磨いてきた。「何をしたくて、何を削るかっていうことを考えたうえで、今日しかないと思った。ここで諦めたくなかった」。エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)の「ニジンスキーに捧ぐ」をアレンジした「Origin(原点)」は完成形に近づきつつあっただけに悔しさは募る。「弱いっていうか、もろいというか。それも羽生結弦です。すみません」。何度も逆境を乗り越えてきた王者は、また強くなってリンクに帰ってくる。

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