勝負師のママ・上田初美女流四段「将棋を頑張ったと言える30代に」リーグ中に第2子出産

上田初美女流四段。普段は子煩悩なママも、盤に向かえば鋭い表情になる
上田初美女流四段。普段は子煩悩なママも、盤に向かえば鋭い表情になる

 報知新聞社などが主催する第45期岡田美術館杯女流名人戦の女流名人リーグ最終一斉対局が13日、東京都渋谷区の将棋会館で行われる。来年1月に開幕する5番勝負での里見香奈女流名人(26)=女流王座、女流王将、倉敷藤花=への挑戦権を獲得するのは誰か。リーグ期間中に第2子の出産に臨みながら、6勝2敗の好成績を残している上田初美女流四段(29)に直前の思いを聞いた。

 女流棋界にとって、大きな意義のあるチャレンジとなった。出産を挟みながらリーグ戦を全局戦う上田は「できる限り指したいと思ったので、わがままを聞いていただいて感謝しています」と語りながら「これからの人にも、指したい、休みたいというそれぞれの思いが通りやすい環境になったら」と願う。

 第2子の妊娠が明らかになってからリーグ開幕を迎え、6月まで4戦全勝。他棋戦も合わせて今期7勝1敗と好調を維持したまま産休に入り、8月7日に第2子となる次女を出産した。「2人目の慣れはありますけど、長女もまだ2歳なので前回より大変な毎日です(笑い)」

 わずか2か月後、10月17日の甲斐戦で復帰。17日間で4局を指すハードスケジュールで2勝した。研究時間を確保できない中で盤上に挑む現状だが「対局の日は将棋に打ち込める貴重な時間。精神的なバランスが安定します」と負担よりも好影響を感じている。

 一緒に育児に励んでいる夫の及川拓馬六段(31)は今期16勝3敗と大活躍。藤井聡太七段(16)を抑えて全棋士最高勝率(・843)を挙げている。「夫がなぜ勝っているのかは謎ではあるんですけど…。本人も『謎』と言ってます」と笑いながら「忙しいのは自分たちが選んだ道ですから」と二人三脚を誓い合っている。

 2012年度、16年度と里見に挑み、2勝3敗とフルセットの激闘を演じた。ともに最終局は将棋大賞の名局賞特別賞を受賞。9連覇中の王者を最も追い込んだ挑戦者と言える。「一斉対局の3日後に30歳になります。私、30代は『将棋を頑張った』と言える10年間にしたいんです。いちばん頑張れる時期。40歳、50歳になって振り返った時、後悔だけはしないように」

 香川との最終戦は挑戦権獲得に向けたプレーオフ進出の可能性も残す一局になる。「現状のできる限りを出せたら」と謙虚に語りながらも「プライドも大切なので。自分を信じられないと将棋は指せない」と力強い言葉も放つ。

 20代最後の一局。盤の前に座る時、上田はママではない。勝つために生きる勝負師になる。(北野 新太)

 ◆上田 初美(うえだ・はつみ)1988年11月16日、東京都小平市生まれ。29歳。伊藤果八段門下。5歳で将棋を始め、12歳で女流棋士に。11年からマイナビ女子オープンを連覇。タイトル獲得は女王2期。13年に同門の及川拓馬六段と結婚。15年12月に長女、18年8月に次女を出産。居飛車も指しこなす振り飛車党。

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第45期女流名人リーグ
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