倉科カナ「私自身救われた」父と25年ぶり再会の「あいあい傘」自身と似た境遇

「あいあい傘」について話す倉科カナ
「あいあい傘」について話す倉科カナ
倉科と立川談春が迫真の演技を見せる「あいあい傘」の1シーン
倉科と立川談春が迫真の演技を見せる「あいあい傘」の1シーン

 女優の倉科カナ(30)が5年ぶりに主演した映画「あいあい傘」(宅間孝行監督)が、26日に公開される。生き別れた父と娘の5日間の物語で、25年前に姿を消した父・六郎(立川談春)に会いに行こうと小さな田舎町を訪れるさつきを演じた。自身、主人公に似た境遇を経験してきたという。「演じたことによって私自身、救われたところがある」。30歳という節目で変化したライフスタイルや、家族観、結婚観についても語った。(畑中 祐司)

 5年ぶりの主演映画の公開を目前に、倉科は改めて今作と出会えた喜びをかみ締める。先日はキャンペーンで故郷・熊本を訪れた。

 「上映後はみなさん、とっても穏やかな顔をしていらしてた。個人的にも思い入れのある作品。撮影は結構、刑事(テレビ朝日系ドラマ『刑事7人』)をやりながらスケジュールも大変でしたけど。胸を張って、たくさんの人に見てもらいたいと言える作品になったと思っています」

 07年に舞台上演された今作は、25年ぶりに巡り合った父と娘の、たった5日間の物語。主人公さつきは小さい頃、父親は死んだと聞かされていた。だが、生きていた。なぜ会いにこないのか、一体どんな暮らしをしているのか。それを確かめようと、複雑な思いを抱えながら田舎町を訪れた。

 「お話をいただいた時に『この役は私がやりたい』と素直に思いました。私自身の境遇と似ていたんです。さつきちゃんのことが理解できましたし、理解だけじゃなく自分の中にある痛みだったり。そういうものがすごく共鳴し合ったというか。ピコンピコンって」

 撮影に臨む前、宅間監督に“自身の境遇”を伝えた。公に多くを語ることはないが、自身の過去とも向き合ったことで、劇中のさつき同様に自身も一歩前に踏み出すきっかけとなった。

 「さつきと父親に対する思いは違ったけど、どこか自分の中でしこりがあったのは事実。この作品に携わって、自分で見た後、それがすっと落ちていく感じがあった。私自身、この作品に救われました」

 さつきを演じることに、迷いはなかったのか。

 「私は強い方。怖いからこそ立ち向かう性格。痛みを花に変えられたら。消化させられたら、それは価値のあること。それはマイナスではなくなって自分の中で良いものになるので」

 さつきとの出会い以外にも、30歳を迎えたことで自身のさまざまな価値観が大きく変化した。生活スタイルも以前とは真逆のアウトドア派になったという。

 「このままじゃダメだと29歳ぐらいから思っていて、自然の流れで。舞台の地方公演の空き時間に山寺に行ったり、1人で食べ歩きしたり。この前は1人でラーメン食べに行って店長にバレました(笑い)。30代40代と迎えるにあたって、やっぱり与えられたものだけを経験するより、自分からいろんなものを経験してインプットして、それも画(え)に映ってきたら。セリフがあろうがなかろうが、画面に映るのは自分の人間性なので」

 境遇が似ているさつきを演じることに、迷いはなかったのか。

 それは今作でも向き合った自身の家族観、また結婚観にもつながる。

 「私が母になったとしても、1人の女性として成長していきたいし、もし旦那さんになる方でも。父だけじゃなく、その人も成長してほしい。そうなったら、すごく楽しい家庭なんじゃないかなと思っています」

 「あいあい傘」は1本の傘の下で2人寄り添い、同じ方向へと歩く。

 「最後のセリフにも出てくるけど、別々の傘だったら、行きたい方向が違えば別の道に行くことだってできる。あいあい傘は、離れたくても寄り添いながら、雨が強くなればなるほど、より一層、肩を寄せ合う。それってすごくステキ。私もそうでありたい」

 いずれ訪れるであろう自身の結婚、そして家族を築く未来に向けて―。

 「私は一生このお仕事をしていきたい。だから、迷惑はかけてしまうけど。でも、私の家族みたいな家族を築きたい。私の家族はすごく団結力があって、すごく仲がいい。妹とも週に1、2回ご飯に行ったり、母とも毎日のように電話します。家族のことを思いやりながら、だからって押しつけない。例えば父親はこう、母親はこう、娘はこうあるべきという固定概念がないような家庭、それぞれの個性がノビノビ育つような家庭がいいですね。それぞれ“あいあい傘”の下で」

 宅間孝行監督「作品の中に“縁”という話が出てくる中で、この作品と倉科さんが出会ったことが運命的。彼女も代表作になればという思いで取り組んだと思います。見た方は、倉科カナってこんなにいい女優だったんだって、いい意味で新しい発見があると思います」

 ◆倉科 カナ(くらしな・かな)1987年12月23日、熊本県生まれ。30歳。「ミスマガジン2006」グランプリ。NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(09年度後期)ヒロイン。15~17年、テレビ朝日系「刑事7人」出演。NHKドラマ10「トクサツガガガ」(来年1月18日スタート、金曜・後10時)、舞台「チャイメリカ Chimerica」(同2月6日開幕、東京・世田谷パブリックシアター)を控える。身長158センチ。血液型O。

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倉科と立川談春が迫真の演技を見せる「あいあい傘」の1シーン
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