巨人新打撃コーチ・堂上剛裕の哲学…後輩に継承「無駄に生きるな熱く死ね」

今年2月のOB戦に出場した堂上剛裕氏
今年2月のOB戦に出場した堂上剛裕氏

 巨人の来季コーチングスタッフが正式に発表され、3度目の就任となった原辰徳監督のもと新たなスタートを切ることになった。

 数多くの新任コーチが就任。2、3軍の区別をつけず「ファームコーチ」として統一されたファーム部門では、打撃コーチに堂上剛裕氏(33)が就任した。

 堂上氏は昨年限りで現役を引退。今年はスカウトとしてスーツ姿でアマチュアの試合会場に足を運び、新戦力発掘に尽力した。

 愛工大名電高では甲子園に出場。2003年ドラフト6位で地元の中日に入団した。強打の左打者で、勝負強い打撃でチームを支え、弟の堂上直倫内野手と兄弟で同じユニホームを着た。

 14年シーズン終了後に戦力外通告を受け、巨人に育成選手として入団。15年2月の沖縄・那覇キャンプ中に支配下登録され、「014」から「91」に昇格。中日球団寮「昇竜館」元館長の父・照(てらし)さんから電話で「巨人に獲っていただいたことに感謝してしっかり頑張れ」と激励されてから臨んだ会見では、涙を流して恩返しを誓った。

 原監督から勝負強さを買われ、代打での起用が多かった。15年8月12日のDeNA戦(東京D)では、代打満塁ホームラン。集中力を極限まで高めて打席に入り、三浦大輔投手の初球、外角の難しい球を逆方向のレフトスタンドに運んだ。

 打席に入る前は、ベンチ裏の人がいない場所に移動し、一人でバットをじっと見つめて精神統一。オフや練習日のG球場でも、最後まで一人で黙々とマシン打撃を打ち続けていた。

 17年限りで戦力外通告を受け現役引退。「やりたいと思ってやれる世界ではない」とスカウトとして第2の人生をスタートさせることを決めた。直後に静岡・熱海で行われた球団納会。同部屋になった重信に、一冊の本を紹介した。「無駄に生きるな熱く死ね」(直江文忠著・Sanctuary books)。紹介したというよりは、哲学を後輩に継承した、と言ったほうが適切かもしれない。

 どんな人にも1日は24時間しかない。平等に与えられた時間、一日一日を悔いを残さず、無駄にしない生き方、そのために大切な信条など、金言が多く記されている、堂上氏のバイブル本。重信は「ドニキさんから『こういう本があるよ』と教えてもらってすごく読んでいます。ドニキさんも、熱い方じゃないですか」と感銘を受けて何度も熟読。魂を受け継ぎ、キャンプでは休日も返上してバットを振りまくり、3年目の今季の飛躍につなげた。

 堂上の「ド」と兄貴の「ニキ」で「ドニキさん」と後輩から呼ばれ、人望も厚い。プロ野球の世界で挫折も経験した苦労人・堂上氏が今度はコーチとしてユニホームを着る。2018年の巨人は、左打者に関しては亀井と阿部のベテランへの依存度が高かっただけに、若手の左打者強化は課題の一つだ。打撃技術、集中力の高め方、心構えの伝授など、堂上氏の教えにかかる期待は大きい。

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