中日の荒木雅博内野手(41)が6日、正式に引退を表明した。ナゴヤドームで会見し、「本当にやり切ったという感じ。やり切り過ぎて涙も出ないですね」とジョークを交えながら、23年間の現役生活を振り返った。
引退セレモニーは13日の阪神戦(ナゴヤドーム)で行われ、岩瀬仁紀投手(43)とともに、地元ファンに最後の雄姿を見せる。引退試合は、来年3月のオープン戦(カード未定、ナゴヤドーム)で行う予定。
中日の黄金時代を支えた背番号2に、引退を決断するに至った思いを聞いた。
「みなさん報道等でご存じのように、私、荒木雅博は13日の最終戦をもちまして、23年間の現役生活から引退します。お集まりいただいた皆様に感謝申し上げます」
―5日は甲子園でビジター最終出場。感慨はあったか。
「甲子園球場は25年前、僕が(熊本工)高2の春に初めて踏んだ土地。『そこから長かったな~』って思いながら、練習から感慨深くて、いつもより長めにグラウンドを整備してました」
―今の心境は。
「やっとスッキリできるという感じです」
―決断はいつ。
「今年までなのかな、と感じたのは、開幕が2軍スタートだったから。そこからちょっとずつ(引退を)考えるようになりました」
―ユニホームを脱ぐ決意を固めた瞬間は。
「はっきり『この日』というのはないんですが、開幕したときにそういう気持ちになり、徐々に積み重なっていった結果です」
―森監督と話は。
「今年でユニホームを脱がせていただきます、と。それだけしか伝えてません」
―やり切ったか。
「本当にやり切った感じ。やり切りすぎて涙も出ないですね(笑い)」
―すがすがしい心境というものに当てはまるか。
「当てはまります」
―肉体面を支えたものは。
「自分の力がプロ野球選手として通用すると思わなかった。その気持ちですね。まだヘタなんだ、ヘタなんだと常に思い続けて。今でもまだ自分の力を信じることができず最後まできました。これが、ここまでやってこれたひとつの要因かなと思います」
―精神面を支えたものは。
「今言いましたように、ヘタなんだという気持ちをも続けて、練習を続けられたこと。それで少しずつ精神的に強くなってきたと思います」
―自信が芽生えるきっかけをくれた人物は。
「特別この人、というのはいないんですが、23年間、たくさんの方に携わっていただいた。それぞれの方に影響をいただいています」
―荒木雅博のプレースタイルとは。
「とにかく全力を出すこと。普通にやっても自分の力では通用しなかったと思う。常に全力でいって、初めてこの世界で通用すると思ってやってきました」
―名手として守備を支えたものは。
「練習以外にないんじゃないですかね。ノックだけは、どんなときも欠かさず受け続けましたから。我慢強く練習して、体ができたということでしょう」
―どんな練習が名手となるきっかけになったのか。
「みなさん期待しているのは落合さんのノックでしょう。書きたかったら、そう書いてください(笑い)。まあ、何をやるにしても、走塁、バントと、全ての練習ですね。自分の中で普通にやればキツくない練習を、どう自分なりにキツくやるかと思いながらやってきた。全ての練習がつながっていると思います」