「将棋で町おこし」将棋連盟と全国初の提携結んだ高槻市の取り組み

包括連携に関する協定を結んだ日本将棋連盟の佐藤康光会長(右)と高槻市の濱田剛史市長
包括連携に関する協定を結んだ日本将棋連盟の佐藤康光会長(右)と高槻市の濱田剛史市長
高槻市の名勝、摂津峡
高槻市の名勝、摂津峡
JR高槻駅前
JR高槻駅前

 今年「将棋の街づくり」を掲げた大阪府のベッドタウン高槻市が、9月に日本将棋連盟と包括連携の協定を結んだ。地方自治体が将棋連盟と提携するのは全国で初めて。将棋大会や老若男女向けの教室の開催などに取り組み「将棋文化の振興に尽力したい」と濱田剛史市長(53)が意気込む。来年1月に開催される8大タイトル戦の一つ、王将戦の誘致に成功。6月18日に発生した大阪府北部地震の被災地でもある同市が街の活性化に成果が上がれば、続いて手を挙げる自治体が出てきそうだ。

 高槻市を歩いていると、屋根にブルーシートをかぶせた家屋があちこちから目に入ってくる。震度6弱を観測した大阪府北部地震で、倒壊した女児がブロック塀の下敷きになるなどで2人が死亡。全壊10棟を含む1万5000棟の住宅が被害を受けた。

 さらに、8月28日に発生した台風21号では多数の倒木や電柱の倒壊により、道路が通行止めに。市と将棋連盟との協定は9月19日、度重なった災害からの復旧を目指す中、関西将棋会館で調印された。

 冒頭で佐藤康光会長(49)は「高槻市でも、いまだに修復がままならない場所が数多くあるとうかがっています。被災された皆さまにお見舞い申し上げます」。神妙な表情で述べ、「(将棋は)盤と駒さえあれば誰でも楽しめるゲーム。今回の締結を機に少しでも豊かな市民生活に寄与できれば、と思います」とあいさつした。

 包括連携は、今年が市制75周年を記念して、濱田市長が震災前から進めていた計画だ。同市在住約40年の現役最年長棋士・桐山清澄九段(70)をはじめ、同市ゆかりの棋士が多いことがきっかけとなった。高槻市出身の古森悠太四段(23)がプロ入りして6人となった。

 濱田市長は「市と将棋との関わりは、これまであまり表に出ていなかったが、高槻城跡からは、大量に江戸時代の将棋の駒が出土しています。日本有数の出土数。高槻藩が将棋振興に力を入れていたという歴史的な事実もある。市を通じて将棋の振興に尽力したい」と意気込みを話した。

 具体的に取り組むのは、将棋大会や教室、将棋文化継承につながる事業などを積極的に開催していくことだ。調印後には早速、8大タイトル戦のひとつ、王将戦の開催が決定。来年1月26、27日の第68期王将戦7番勝負の第2局が、同市の名勝、摂津峡にある山水館で行われることになった。

 草の根からの振興もすでに動き出している。12月には新たにアマチュアの大会「桐山清澄杯」を始めることが決まった。桐山九段は「もちろんうれしいです。高槻で将棋がもっと盛んになれば、と常々思っていました」。6月にはクラシックなどの音楽、能などの伝統芸能、演劇などのイベント会場となる高槻現代劇場の理事長にも就任。将棋との文化コラボレーション企画についても「そういうこともやっていければ、と思います」と話した。

 将棋の街といえば、駒の生産量日本一の山形県天童市や、故・大山康晴十五世名人の出身地で、女流棋士の公式戦「大山名人杯倉敷藤花戦」が開催される岡山県倉敷市、久保利明王将ら出身棋士が多いことから「棋士のまち」を掲げている兵庫県加古川市などが挙げられる。だが、行政が連盟と協定を結んだ都市はこれまでになく、より活発な振興活動が期待できそうだ。

 市民からは災害後には「気楽に楽しめる娯楽が増えることはうれしい」と歓迎する声が届いているという。「こういう形でも(他の市から)お話があれば考えさせていただきたいと思っています」と佐藤会長。高槻市が将棋による町おこしのリーディングケースとなっていくかもしれない。

包括連携に関する協定を結んだ日本将棋連盟の佐藤康光会長(右)と高槻市の濱田剛史市長
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