江夏豊氏、3連覇達成の後輩に「生涯、カープを愛したサチへ日本一で最高の供養を」

80年の日本シリーズで2連覇を達成し喜ぶ(右から)衣笠、江夏、水沼
80年の日本シリーズで2連覇を達成し喜ぶ(右から)衣笠、江夏、水沼

 広島が球団初のリーグ3連覇を成し遂げた。1979、80年の前回連覇時は、今年4月に亡くなった衣笠祥雄さんと山本浩二氏(71)らが主軸を張った第1次黄金期。78年から3年間在籍し、日本シリーズ連覇にも貢献した江夏豊氏(70)が祝福の言葉を寄せた。

 カープのリーグ3連覇をOBのひとりとして祝福したい。生え抜きで固めたチームは、ファンの心をつかんでいる。緒方監督の手腕も素晴らしい。

 私が広島に在籍したのは短い期間(78~80年)だが、嫌な思い出はひとつもない。79年は初めて優勝というものを味わえて、日本シリーズでは「江夏の21球」という野球人生でまたとない経験をした。80年も連続日本一を勝ち取れた。

 だからこそ、3年間お世話になって、出て行くとき(日本ハムにトレード)には寂しかった。そのとき、今の松田元オーナー(当時は東洋工業に在籍)、失礼ながら当時と同じ呼び方で呼ばせてもらうとハジメ君にかけてもらった言葉を、38年たっても覚えている。「江夏さん、ゴメンね。オヤジ(当時オーナーの故・松田耕平氏)に力がないからね」と。そう言いながら、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」をプレゼントしてくれた。

 2週間ほど前、球場で話をする機会があったが、やはりチームへのまなざしが温かい。これは広島の伝統と言える。私が在籍していたときは月に1回、オーナー食事会というのがあった。いつも焼き肉で、一番はしゃいでるのがオーナー。横で奥さんがケラケラ笑っている。あの家族的な雰囲気は他球団ではまずない。主力であろうが控えであろうが、自分の孫のように接していた。

 豊富な練習量で培った強さも、我々の時代と変わらない共通点だ。決してスマートでもなければ、うまくもない。だが、納得するまで練習する。私がいた頃は高橋慶彦が一番練習していた。キャンプでは毎日、上から下までユニホームが真っ黒。今で言えば、新井も妥協のない練習ではい上がった一人だ。その姿を見てきた後輩たちも練習に打ち込む。プロ野球選手はみんな野球が好きだけど、カープは特に野球の好きな人間が集まっている。そういうチームカラーが脈々と続いている。

 ぜひ34年ぶりの日本一を勝ち取ってほしい。頂点に立てば、さらにチームは強くなる。サチ(故・衣笠さん)にも、神様がもうちょっと時間をくれれば、後輩たちの雄姿を見られたのに…。だが、それは言うまい。よく頑張った。病気が分かったときは余命1か月だったのが、3年半も頑張ったのだから。まさに鉄人だ。日本シリーズを制し、生涯、カープを愛した親友への最高の供養としてほしい。(談)

 ◆坂の上の雲 伊予松山出身の青年3人を中心に、明治維新から日露戦争まで近代日本の誕生にかけた人々の姿を描く長編小説。司馬遼太郎の代表作の一つで、テレビでドラマ化もされた。

 ◆江夏 豊(えなつ・ゆたか)1948年5月15日、兵庫県尼崎市出身。70歳。大阪学院高から66年ドラフト1位で阪神入団。68年にプロ野球記録のシーズン401奪三振。71年の球宴で9者連続奪三振。76年に南海に移籍し、その後、広島、日本ハム、西武を渡り歩いた。85年に米大リーグ・ブルワーズの春季キャンプに参加したが、契約に至らず現役引退。通算829試合、206勝158敗193セーブ、防御率2.49。

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