井上大仁、男子マラソン32年ぶり金メダル 給水に工夫「持ったり、かけたり、飲んだり…」

アジア大会の男子マラソンで、2時間18分22秒で優勝した井上大仁(左)(カメラ・相川 和寛)
アジア大会の男子マラソンで、2時間18分22秒で優勝した井上大仁(左)(カメラ・相川 和寛)

◆ジャカルタ・アジア大会 第8日 (25日)

 陸上競技がスタートし、男子マラソンで17年ロンドン世陸代表の井上大仁(ひろと、25)=MHPS=が2時間18分22秒で金メダルに輝いた。日本勢の優勝は86年ソウル大会を制した中山竹通以来32年ぶり。工夫を凝らした給水などで暑熱下でのレースへの適性も示し、20年東京五輪に向けて弾みをつけた。エルアバシ(バーレーン)が井上と同タイムで2位。園田隼(29)=黒崎播磨=は2時間19分4秒で4位だった。

 鳥が飛ぶように差しきった。井上は残り数十メートルでエルアバシをかわし、両手を大きく広げてゴールに舞い込んだ。「泥仕合ですね。最後は(力が)ないところから引きずり出すしかなかった」。発着のブンカルノ競技場まで、42・195キロを戦い抜いた。最後の競り合いで相手と接触しても、こらえた。前回大会は、所属の先輩の松村康平(31)が1秒差で銀。「4年前の悔しさですかね。最後、振り絞れた」。2位とは同タイムで、参考として表示される詳細な差は0秒302の大接戦。思いを乗せた分、強かった。

 スタート時(午前6時)の気温は約26度、ゴールでは30度に上昇した。「後半はじわじわ暑さがきて(体に)ずっしりきた」。序盤10キロは先頭が33分46秒で通過と、冬場の女子とほぼ同じスローペース。ペースメーカーがおらず、けん制し合うなか、所属の黒木純監督(47)は「ウォームアップの動きを見たら良すぎるくらいだったから、行きすぎないように伝えた。37キロの上りを過ぎた後の下りで行け、と」。「強さ」を磨くため、あえて出場した東京と同じ高温多湿の気候で行われる今大会で、指示通りに足をためて結果を出した。

 5キロごとの給水に工夫を凝らした。オーエスワン(経口補水液)を基にしたスペシャルドリンクと、冷却用の水を別々に準備し「持ったり、かけたり、飲んだり、全てに使った」と井上。さらに10キロ以降、全てのポイントに保冷剤を準備し、手で握って体温上昇を防止。日差しが強くなる30キロ以降には帽子も置き、暑さに応じていつでもかぶれるようにした。ユニホームの前後にひし形の穴をたくさん開けて、風通しを良くする細工もした。「(30キロでかぶった)帽子は暑くて脱いだし、手を冷やしすぎてふくらはぎがつりそうになった。その辺は改善の余地はある」と今後も試行錯誤を続ける考えだ。

 暑さへの適性は示した。次は、五輪代表選考のMGC(19年9月)で結果が求められる。今回は暑熱下とはいえ、タイムは自己記録より約11分半も遅い。スピード自慢のアフリカ勢、後半に強い欧米勢も不在だった。「準備から、何もかも(が収穫)」。日本記録保持者の設楽悠太(ホンダ)や、大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)に並ぶ第3の実力者として台頭した25歳。日本男子32年ぶりアジア王者の称号は、五輪への足がかりだ。(細野 友司)

 ◆井上 大仁(いのうえ・ひろと)1993年1月6日、長崎・諫早市生まれ。25歳。鎮西学院高(長崎)から山梨学院大に進み、箱根駅伝に4年連続出場。4年時は主将として3区3位の好成績でシード獲得(総合9位)に貢献。15年4月、三菱日立パワーシステムズ(MHPS、長崎)入社。17年ロンドン世界陸上代表。165センチ、51キロ。

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