金足農・吉田輝星、10連続完投!優勝旗を東北へ!

9回、完投で決勝進出を決めた金足農・吉田(右)は、菊地亮と笑顔でタッチを交わす(カメラ・石田 順平)
9回、完投で決勝進出を決めた金足農・吉田(右)は、菊地亮と笑顔でタッチを交わす(カメラ・石田 順平)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第15日 ▽準決勝 金足農2―1日大三(20日・甲子園)

 みちのくの怪腕が、ついに東北勢悲願の初Vに王手をかけた。金足農の150キロ右腕・吉田輝星(こうせい・3年)は、強打の日大三打線に9安打を浴びながら7奪三振1失点で5試合連続完投勝ち。同校初、秋田勢としても1915年の第1回大会で準優勝した秋田中(現秋田)以来、春夏通じて103年ぶり2度目となる決勝進出を決めた。21日の決勝は、史上初の2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)が相手となった。

 これまでの4試合とは違う笑顔だった。1点リードの9回2死一、二塁。最後の打者を中飛に打ち取った吉田は、ホッとした表情を見せた。「優勝することが目標。やっとここまでたどり着いたな、と」。ツーシームを中心とした低めの変化球を巧みに操り9安打1失点7奪三振。連続2ケタ奪三振は4試合で途切れたが、134球で5試合連続完投勝利を飾った。最終回にはこの日最速の148キロをマーク。秋田勢では103年ぶりの決勝進出を決めた。

 “因縁の8回”を乗り越えた。初出場した84年夏の準決勝。2―1の8回1死からPL学園のエース・桑田真澄投手に逆転2ランを浴びて敗戦した。ナインは試合前日、この試合の映像を見ていた。右腕は「一発で逆転する力はすごいと思った」。悔しさを胸に刻み込み、マウンドに上がっていた。

 2死一、三塁。日大三の4番・大塚晃平に左前適時打を浴び、34年前と同じ8月20日にスコアも同じ「2―1」。なおも2死一、二塁と一打逆転のピンチだったが、5番・中村奎太を空振り三振に斬った。当時の三塁手で、アルプスから声援を送った大山等さん(51)は「『8回だな』って、OBのみんなで話していた。8回を抑えたらいけると」。新たな歴史をつくった後輩たちを、頼もしそうに見つめた。

 “因縁の右腕”から吉田は刺激を受けていた。映像で見た桑田さんの、この試合での始球式に一塁ベンチ前から熱視線を送った。「しびれました。もっと緩いボールを投げると思ったけど、強いボールで。(桑田さんのように)ピッチングだけじゃなくて守備面、けん制も含めて、全部一流のピッチャーになりたい」と目を輝かせた。

 21日は王者・大阪桐蔭との決勝戦だ。秋田大会から全10試合完投で1385球を投げた右腕は「遠いと思っていたけど、ジャパン(高校日本代表)の候補が発表されて(大阪)桐蔭がたくさんいたので、こいつらを倒しておきたいと思った」と勝負を歓迎した。チーム全員が地元出身。3年生9人だけで秋田大会から勝ち上がってきた「リアル金農ナイン」は打倒・大阪桐蔭を胸に戦ってきた。

 「これも何かの縁だと思う。100回大会で東北勢初の優勝旗を取りたい。最後の力を振り絞って、自分がゼロで抑えたい。最後も笑って、泣きながら校歌を歌いたい」。4強入りした18日には、学校の農場で子豚が9匹生まれる奇跡も起きた。100回の記念大会にふさわしいミラクルで、“みちのくのドクターK”が日本一を手にする。(青柳 明)

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