浦和学院・渡辺、10K5安打高校初完封!「ワガママを聞いていただきました」

5安打10奪三振完封で32年ぶりの8強入りに貢献した浦和学院・渡辺は、初回からガッツポーズでほえる(カメラ・泉 貫太)
5安打10奪三振完封で32年ぶりの8強入りに貢献した浦和学院・渡辺は、初回からガッツポーズでほえる(カメラ・泉 貫太)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第12日 ▽3回戦 浦和学院6―0二松学舎大付(16日・甲子園)

 遅れてきた逸材が、硬軟自在の快投を見せた。浦和学院(南埼玉)は、今秋ドラフト候補ながら右肘痛の影響などで背番号11の190センチ右腕・渡辺勇太朗(3年)が、5安打10奪三振で高校初完投初完封。自己最速タイの149キロを計測した直球と、6月に覚えたばかりのツーシームを駆使し、二松学舎大付(東東京)打線を圧倒。初出場で4強入りした86年以来、32年ぶりとなる8強入りを決めた。準々決勝では、史上初の2度目の春夏連覇を狙うV候補筆頭・大阪桐蔭(北大阪)と激突する。

 初めて見る景色は格別だった。最後の打者を二ゴロで打ち取ると、渡辺はグラブを軽くたたき、駆け寄るナインと歓喜を分かち合った。「先発なら誰もが夢見るもの。それを甲子園でできたのは、すごくうれしい。気持ち良かった」。エンゼルス・大谷の投球フォームを参考にしている190センチ、90キロの未完の大器は、練習試合を含めても高校初となる完投を、5安打10奪三振の完封勝利で飾った。

 109球の省エネ投球。剛腕は、クレバーな投球術を習得していた。この日、投球の軸にしたのは、6月末にたった1日で覚えたツーシーム。「打たせて取ることをテーマにしていた」。一時的な大雨に見舞われる悪天候の中、140キロ台の新球で凡打を量産。一方で「欲しい場面では狙いにいこうと」と、初回と2点を先制した直後の4回のピンチでは、自己最速に並ぶ149キロの直球などで、いずれも連続三振に斬った。

 完投を直訴していた。7回を終えてベンチに戻ると、森士(おさむ)監督(54)に、こう伝えられた。「左バッターに回ったら代える。9回2死でも代える」。残り2イニングで走者を1人でも出せば、左打ちの6番・野村昇大郎まで回る。「きょうは(完投を)いけると思ったので『いかせてください』と言った。ワガママを聞いていただきました」。3三振を奪い、完璧に試合を締めた。これで2試合15イニング0封。チームも2戦で15得点、無失点と投打に圧倒し、32年ぶりの8強入りを決めた。

 こだわりのルーチンも奏功した。好投した日に着用していたアンダーシャツとスライディングパンツを、続けて身に着けている。「すごいこだわります。次の日の着替えを置く場所も、着替える順番も。前日には、枕元に置いて寝ています。ちゃんと洗っているので、臭くはないですよ」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 背番号11の剛腕。昨秋は右肩を痛め、今年3月には右肘じん帯を損傷し、5月までノースロー。一度もエースナンバーを背負うことなく、最後の夏に照準を合わせてきた。「投げられない間に、連投に備えて(走り込みなどで)準備してきた」。2ケタ背番号投手が2ケタ奪三振完封を記録するのは、くしくも86年の浦和学院の背番号11・谷口英功(現英規=上武大監督)以来、32年ぶりとなった。

 18日の準々決勝は西の横綱・大阪桐蔭と激突。根尾昂内野手、藤原恭大外野手(ともに3年)らドラフト1位候補を封じれば、注目度が急上昇することは確実だ。「チームが勝てる投球がしたい」と渡辺。大化けの予感を漂わせる右腕が、王者斬りに挑む。

(青柳 明)

 ◇ブランク8強入り 浦和学院が初出場で4強入りした86年以来、32年ぶりの8強進出。最長は慶応の88年ぶり(1920年準優勝→08年8強)。

 ◇埼玉勢が夏70勝 浦和学院が勝ち大会通算70勝目(61敗)。20都道府県目。

 ◇埼玉勢の2ケタ奪三振完封 86年2回戦の浦和学院・谷口英功(宇都宮工戦で11奪三振完封)以来、2人目。また、2ケタ背番号投手の2ケタ奪三振完封も、この時の谷口(背番号11)以来。

 ◇埼玉勢の初戦から2試合連続完封 51年の熊谷(3試合連続)、60年の大宮に次いで58年ぶり3度目。

 ◆1986年夏の浦和学院 4番・鈴木健(元西武)と左腕・谷口英功と投打に2年生がけん引する中、甲子園に初出場。開会式の夜、前監督だった野本喜一郎氏が入院先の病院で死去、ナインは弔い合戦に奮起。泉州との初戦を2ケタ得点で打ち勝つと、谷口は2回戦の宇都宮工戦で11K完封。準々決勝の高知商戦では鈴木に待望の一発が出て、谷口が2度目の完封。しかし、準決勝は松山商に3―14で大敗した。

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