創志学園・西、無四球完封16K!来年ドラ1間違いなし、巨人スカウト「すごく楽しみ」

4回2死二塁、創成館・杉原(奥右)を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる創志学園・西(カメラ・石田 順平)
4回2死二塁、創成館・杉原(奥右)を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる創志学園・西(カメラ・石田 順平)
帽子を飛ばし力投する2年生エースの西
帽子を飛ばし力投する2年生エースの西

◆第100回全国高校野球選手権記念大会 第5日第3試合 ▽1回戦 創志学園7―0創成館(9日・甲子園)

 8月9日、野球の日。球界の未来を担うスター候補が出現した。創志学園(岡山)の150キロ右腕・西純矢(2年)が、鮮烈すぎる甲子園デビューを飾った。今春センバツ8強の創成館(長崎)と対戦し、6者連続を含む毎回の16三振を奪うなど4安打無四死球で完封。2年生投手が16K以上で無四死球完封を記録するのは、1948年の学制改革以降初の快挙となった。快投にスカウト陣からは絶賛の嵐。「来秋のドラフト1位」はもちろん、「今秋のドラフトでも1位だ」との声まで聞かれた。

 雄たけびが聖地に響いた。創志学園が4点リードで迎えた4回2死二塁のピンチ。西はフルカウントからの7球目、高めの142キロ直球を投じた。空振り三振。チェンジだ。派手に帽子を飛ばし、半回転して拳を握りしめた。勢いのまま、創成館を無四死球で4安打完封。6者連続を含む毎回の16三振を奪った。衝撃の甲子園デビューに3万人のどよめきは収まらなかった。

 「野球人生で一番いい投球ができました。憧れの場所で投げて、自分のいつも以上の力が出せました」。2年生の16K以上の無四死球完封は、1948年の学制改革以降、初の快挙。16歳の剛腕が一躍、100回大会のスター候補に躍り出た。

 “消えるスライダー”で三振の山を築いた。この日の最速となる149キロの直球を見せ球に使い、16のうち11Kを落差の大きい変化球で奪った。岡山大会優勝の瞬間は、イナバウアーのように背中を大きく反らせる“西バウアー”でド派手にガッツポーズ。甲子園でも三振を奪うたび、闘志むき出しで夏空にほえた。

 岡山球児の燃える男―。DeNAの吉田スカウト部長が「仙ちゃん(星野仙一氏)みたいだね。気持ちの強さが見える」と今年1月4日に天国へ旅立った倉敷商出身の大投手とダブらせれば、広島・苑田スカウト統括部長は「来年のドラフト1位。現時点で今大会NO1投手」と大絶賛。巨人・岡崎スカウト部長は「ボールの質もいい。来年がすごく楽しみ」とうなり、中日・中田スカウトディレクターも「今年でも1位に入る。このまま体力がレベルアップしていけば、ものすごい投手になる」と将来性に太鼓判を押した。

 先輩を超えた。OBの巨人・高田萌生(20)に「154キロを出したニュースを見て、格好いいなと思った」と憧れ、入学を決意した。16年夏の甲子園で初戦敗退した高田を超え、同校夏の甲子園初勝利に導いた。長沢宏行監督(65)も「西の方が上。びっくりした。あれだけ成長したとは」と舌を巻いた。

 昨年10月、父・雅和さんが脳出血で45歳で他界。幼いころから観戦に連れて行ってもらい、野球を始めた。「甲子園に行けるように頑張れ」と背中を押してくれた。悲しみに「野球をやめて(寮から)実家に帰る」と言うほど深く落ち込んだ。しかし、ナインの励ましで立ち直った。それから母・美江さん(43)が「去年まであんなに(投球後に)ほえなかったです」と驚くほど気持ちを前面に出すスタイルになった。

 帽子のツバには「10・11」と父の命日を書いている。「空からでも見てくれたらいいなと思います。大会が終わってからあいさつしたいです」。西日本豪雨で甚大な被害が出た岡山を勇気づける歴史的快投。100回目の夏。天国の父をさらに喜ばせるためにも、その剛腕で頂点へと突き進む。(牟禮 聡志)

 ◆西 純矢(にし・じゅんや)

 ▽生まれとサイズ 2001年9月13日、広島・廿日市市生まれ。16歳。184センチ、79キロ。右投右打。球種は決め球のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ。

 ▽球歴 鈴が峰小2年から軟式の「鈴が峰レッズ」で野球を始める。阿品台中では「ヤングひろしま」でプレー。2年夏の全国大会で優勝。3年時に「NOMO JAPAN」代表。高校進学時には関東の強豪からも声がかかったが、透析治療中だった父を思い「遠くへは行けない」と地元の広島から近い創志学園に進んだ。高校では1年春の中国大会からベンチ入り。

 ▽侍ジャパン高校代表候補 2年生では西を含めて大船渡・佐々木朗希、日大三・井上広輝、横浜・及川雅貴、星稜・奥川恭伸、菰野・岡林勇希の6人が30人の候補入り。

 ▽マエケン好き 前田健太(ドジャース)の投球フォームを参考にする。「広島の試合をよく見に行ってマネすることがあった」

 ▽息抜き オフは同級生とショッピングモールに出かけ、ゲームセンターでマリオカートやメダルゲームに興じる。

 ◆巨人・岡崎スカウト部長「2年生でU―18の代表候補に選ばれるほどだから、実力のある投手なのは分かっているけど、あらためていい投手だと再確認した。ボールが指を離れてからミットに入るまでの軌道がいい。それは投げ方がよく、ボールの質もいいから。来年がすごく楽しみ」

 ◆中日・中田スカウトディレクター「来年のドラフト1位候補なのは間違いない。特に直すところはない。今年でも1位に入る。このまま体力がレベルアップしていけば、ものすごい投手になる」

 ◆ロッテ・永野チーフスカウト「腕の振りがいい。だから打者はスライダーを振ってしまう。球も強い。来年の上位候補になるでしょう。横浜・及川、大船渡・佐々木、星稜・奥川、菰野・岡林と来年は楽しみな投手が多い」

 ◆ヤクルト・伊東編成部長「これから1年かけて見ていきます。楽しみな投手。タイプは(元中日の)朝倉(健太)みたいだね」

 ◆阪神・山本スカウト「このまま順調にいけば、来年はドラフト上位候補。同じ腕の振りで、直球とスライダーを投げられるのがいい」

4回2死二塁、創成館・杉原(奥右)を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる創志学園・西(カメラ・石田 順平)
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