森保一監督、入院隠すも病院に現れ「なんで言ってくれないんですか!」

森保監督(中央)と沖本静夫さん(後列右)
森保監督(中央)と沖本静夫さん(後列右)

 森保一監督が30年近く通い続け、家族ぐるみの付き合いを続けているのは理髪店「ヘアーサロンOKIMOTO」(広島市)。オーナー・沖本静夫さん(69)が明かす、人との「縁」を何よりも大事にする姿とは―。

 24年ほど前のある日のこと。「この髪形、似合いますかね?」。森保氏は、3歳だった長男・翔平さんの「お坊ちゃまカット」を指さしながら沖本さんに尋ねた。当時流行していた「前髪だけパーマ」から、長男と同じ髪形にチェンジ。現在の「森保ヘア」誕生の瞬間だ。「プレー中に髪を触る必要がない。(見栄えより)プレー優先ということでしょうね」と沖本さん。現役を退いても、日本代表監督の就任が決まっても変えることはない。

 京都へ期限付き移籍していた98年の1年間は、広島から“出張”して森保氏の自宅玄関で散髪。一緒にハワイ旅行に出かけるなど、30年近く森保氏と家族同然の付き合いを続け、「人との縁」を大切にする姿を多く見てきた。

 業界大手の多額な契約金提示を断り、知人に紹介されたサッカー界ではマイナーメーカーのスパイクを履き続けた姿。指導者転身後、心の病に苦しむ選手と全体練習前にジョギングをするため、午前6時にパンをくわえながら家を出る姿。広島の監督を事実上解任された後には、「お店で一緒に食事をしていた時に、偶然後任の方(ヨンソン氏、現・清水監督)が来店して。店内が凍り付きました」と沖本さん。周囲の心配をよそに森保氏は自ら歩み寄ってあいさつし、連絡先を交換したという。

 沖本さんは昨年、体調不良で入院生活を余儀なくされた。当時森保監督の広島は開幕ダッシュに失敗し、成績が低迷。余計な心配をかけまいと、森保氏への連絡は控えた。しかし―。「なんで言ってくれないんですか!」。事実を知った森保氏は、怒りに満ちた表情で病院へ駆け込んできた。「裏表がなくて、本当に気配りの人なんです」。立場が変わっても、固い絆が変わることはない。(岡島 智哉)=おわり=

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