映画「仁義なき戦い」シリーズなどで知られた俳優の名和宏(なわ・ひろし、本名・与縄章=よなわ・あきら)さんが26日、急性腎不全のため都内の病院で死去した。85歳。葬儀は近親者で執り行う。
日大芸術学部を卒業後、1954年日活に入社し、俳優デビュー。フリーとなり、こわもてを生かした悪役のバイプレーヤーとして存在感を発揮した。映画だけでなく「水戸黄門」「大岡越前」などテレビ時代劇にも出演。2000年以降は舞台の仕事が多かった。関係者によると、近年は体調を崩し、2012年に入った都内の介護施設で晩年を過ごしていたという。
女優・富司純子(72)にとっては自身を映画に導いてくれた恩人。テレビの仕事で一緒になった名和さんは、17歳の富司に「松竹でカメラテストを受けなさいよ」と助言。受けた帰りに映画プロデューサーだった父、俊藤浩滋氏がいた京都・太秦の東映撮影所へ。そして富司を東映のトップ女優(当時、藤純子)に育てたマキノ雅弘監督と運命的に出会う。
「父は私を女優にさせるつもりはなかった。名和さんの一言がなければ東映にも寄らず、その後の私もなかった。何度も共演しましたが素顔は温厚で紳士的な方。感謝の気持ちは尽きません」としのんだ。