町田啓太、高校恩師が導いた運命

「西郷どん」への思いを語った町田啓太
「西郷どん」への思いを語った町田啓太
運命の糸について明かした町田啓太
運命の糸について明かした町田啓太
「西郷どん」に薩摩藩の家老・小松帯刀役で出演
「西郷どん」に薩摩藩の家老・小松帯刀役で出演

 劇団EXILEに所属する俳優の町田啓太(27)が来月からNHK大河ドラマ「西郷どん」(日曜・後8時)に薩摩藩の家老・小松帯刀(たてわき)役で出演する。「初めての時代劇が大河ドラマ。めちゃくちゃうれしい」と目を輝かせた。来月1日には映画「オーバードライブ」、7月からはテレビ東京「ラストチャンス」(月曜・後10時)と出演作が続くが、元々はダンサーに憧れて上京。劇団に入団しながらGENERATIONSの候補生になるもののダンサーを断念し、俳優の道へ。学生時代の恩師との出会いやアキレス腱(けん)断裂の重傷を負った初舞台の思い出など聞いた。(ペン・国分 敦、カメラ・小泉 洋樹)

 念願かなった。これまで出番のなかった時代劇を熱望していたが、初めての作品はこちらも初出演となる時代物の王道・大河ドラマだ。

 「前からずっと『時代劇をやりたい』と言っていたし、それが大河ドラマですからね…。NHKさんの中でも朝ドラと並んで大河は特別で、世界にも発信できる作品だと思っているのでめちゃくちゃうれしかったです。セットも豪華で衣装も素晴らしい。その空間に居られること自体が刺激的です。近いところでは『軍師官兵衛』(2014年)は好きでした。子供の頃、祖父の部屋ではずっと時代劇が流れていて『水戸黄門』とか一緒に見てました。小学生から剣道(2段の腕前)をしていたので、逆に憧れも強かったですね」

 町田が演じる小松帯刀は薩摩藩の家老職で、西郷隆盛や大久保利通を支える一方、坂本龍馬とも気脈を通じていた維新の功労者。明治3年で他界するが存命なら総理大臣級の英傑で、剣も相当な腕前だったという。

 「帯刀はゼロから勉強でした。残っている資料が少ないのですが、読んだらもうたたえることしか書いていない。本当に能力もあって高潔な方で、読めば読むほどプレッシャーというか生半可な気持ちじゃダメだなとは思いました。全国に帯刀ファンがかなりいらっしゃると思うので、その声にも応えるように頑張りたいです。剣も達者のようでしたが、今回は藩の上司での出番が主なので立ち回りはないかな~。ちょっとやりたい気持ちはありますけどね」

 乗り物とメカに興味があった少年はパイロットを目指した。視力に問題があり夢は断念したものの、日本航空石川高へ進学したことが町田の運命を決定づけることになった。

 「高校には世界各国からの留学生もいて、いろんな人と交流が持てて楽しかったです。パイロットコースは在学中に1年間の留学があり、自家用のセスナやグライダーの免許は取れますが、僕はコースが分かれる2年時にメカニックコースへ進みました。視力が悪くて断念したというのは言い訳ですね(笑い)。頭もあんまり追いついてないしお金もすごくかかる。そこまでそこ(パイロット免許)に精神をつぎ込めるかという疑問もあって諦めてしまいました。もうその頃にはダンスにはまっていましたし…。必修の部活を選ぶ時にやっていた剣道や野球じゃなくて新しいことしたかったんですね。友人とダンス部の見学に行ったらヒップホップを踊っている先輩たちが楽しそうで『自分にもできそう』と思ったのが始めるきっかけでした」

 高校卒業後の進路―。専門学校が頭に浮かんでいた時、教師の助言で日体大への進学を決心した。

 「ダンスを続けたいから漠然と専門学校かなと思っていたら、恩師が『どうせ野望とか持って東京に行くなら4年制の大学行って、いろんな人と出会って交流した方が絶対に身になる。日体大いいと思うよ』と。当時25、26歳で畠山(現姓・佐道)先生という女性なんですが、ハツラツとしていて人として尊敬できる方でした。悪いことをやっても『その気持ちは分かるよ』と、僕らと同じ目線に下りてくれるんですね。先生の言った通り日体大に進学したら不思議なもので、LDHとつながりができるんですよ」

 日体大では後に仲間となるGENERATIONSの関口メンディーと出会うが、強い運命の糸はそれだけでは終わらなかった。

 「学校で目立つやついるな~と思ったらメンディーでした。すぐに仲良くなって『ダンス同好会』に入ってチームを組んだり、一緒にショーに出たりとかしていました。そうこうしているといろんなプロのダンサーと知り合うじゃないですか。これもたまたまなんですが、畠山先生が夏休みの時に東京からプロの方を講師として呼んでくれていたんです。その時来ていただいた方と偶然再会。『お久しぶりです』って。その方の知人が『EXPG(養成所)というダンス教室があるけど興味ある?』とLDHを紹介してくれました。先生の助言から始まった偶然が全部つながりました。大学2年の夏です。その後にメンディーが養成所に入ってきたからビックリ。何も聞いていなかったから『あれっ』っていう感じでした」

 ―素に戻れる時は。

 「いつもだいたい素ですけどね(笑い)。やっぱり僕は田舎出身なので地元に帰った時ですかね。家族もそうですが、物心つく前からずっと一緒に育ってきた親友らと毎年1回は絶対に会うんです。一緒に温泉に行ったり、小学校の先生の家でジンギスカン食べたりとか。年1ですがリフレッシュできていると思います。(実家の)最寄り駅は(吾妻線の)市城駅という無人の駅か中之条という『名探偵コナン』にも出てくる町なんですが、全然メジャーじゃない。電車も1時間に1本ぐらいですから。でも帰省すると当時の感じに戻れるというか初心に帰れます」

 ダンサーを目指していたが、所属したのは劇団EXILE。役者業への魅力もあり“二刀流”を目指し、10年に「ろくでなしBLUES」で初舞台を踏んだ。だが、アキレス腱断裂の重傷を負うことに…。

 「劇団への抵抗もありましたが、よくよく考えたら『ダンスができて興味のある役者もできる』と気付いて入団しました。初舞台はヤンキーもので、急に金属バットでピンポイントを殴られたような衝撃を左足に受けました。舞台上に鉄バット持った人がいっぱいいたから、転げてソデにいった時『後ろの誰かに殴られた』って。スタッフは『お前、何言ってんだ』…。左足は足首から先がないみたいに力入らない。たまたま舞台のある建物に病院が入っていて、担当の先生から『全部いってるね』と言われて(断裂を)認識できました。とりあえず患部をグルグル巻きにテーピングし、痛み止めも打たずに舞台に戻りました。痛みよりも周りの方に迷惑かけた方が気がかりでした。アドレナリン出ていたんでしょうね」

 ―最後まで演じ切った。

 「はい。どうしたらけがをしたのをお客さんに知られずにできるのか。主演の青柳(翔)さんが『バイクが突っ込む登場シーンで、けがしたことにしよう』とおっしゃってくれてアドリブでやり切りましたが、もう人生終わったと思いましたね。普通なら初舞台でけがして『何やってんだよ』となるじゃないですか。それが全くなくてHIROさんが『とにかく将来あるから治して頑張ろう』って。まあ泣きました。普通はあり得ないし、今自分が頑張れているのもそういうことがあったからでしょうね」

 劇団にいながらダンサーとしてGENERATIONSに所属するチャンスが巡ってきた。描いた青写真通りの展開だったが…。

 「けがが治りかけた時期にHIROさんが『新しいグループがあるから候補生をやってみないか』と。また調子に乗ってジェネに行くんですよ、ダンスも役者業もできますからね。でも、やっていると左足をかばうことで逆足も悪くなって…。足の具合を考えると30歳ぐらいまで踊れたらいいかなという感じでした。となるとグループにも迷惑はかけられないと考えるワケです。ダンスは好きだけどセンスはあまりなかったですし…」

 ―センスがないからダンサーを諦めた。

 「好きなのと仕事は違います。人を魅了することがダンサーの仕事と考えたら僕には(センスが)足りないし、周りとのレベルの違いも感じていました。それも込みでジェネのデビュー前に会社の方に『ダンスを諦めて役者業をやらせていただきたい』と相談しました。初舞台での悔しさも残っていて、それも含めメンバーに告げました。(佐野)玲於とか(白濱)亜嵐くんとかまだ10代でしたが僕のわがままを尊重してくれました。感謝しています」

 今年は念願の時代劇に加え、テレ東「ラストチャンス」(7月スタート)では社会派ドラマにも出演する。演技の幅も広げているが、将来に向けてどんな役者像を描いているのか。

 「もちろん出会ったことがない作風や役柄は挑戦したいですが、まずは任せていただいた役を一生懸命やるのは基本です。俳優業は自分の人生でありながら役柄の人生も歩まなきゃいけない。壁もたくさんあるでしょうが役に寄り添い、どんどん深く掘っていかなくちゃと思っています。この手の作業は発見がたくさんあるので楽しいし好きですね。何も考えないでできる方もいるでしょうが僕はそのタイプではないし、いろいろ調べて役に近づけたい。今はその時々でいろんなやり方を試している最中です。20、30年後にどうなっているんでしょうか。自分でも分かりません(笑い)」

 売れっ子になっても地元の友人を愛し、恩師への感謝を忘れない。素朴な青年は20、30年先も絆を重んじながら歩を運んでいるだろう。

 ◆町田 啓太(まちだ・けいた)1990年7月4日、群馬県生まれ。27歳。日本航空石川高でダンスを始め、日体大に進学。2010年「第3回劇団EXILEオーディション」で合格。同年、舞台『ろくでなしBLUES』で俳優デビューするが、公演中に左アキレス腱断裂。11年にGENERATIONSの候補メンバーに選ばれ劇団EXILEを脱退するが、12年に俳優業に専念するためグループを脱退し、劇団に再加入。14年NHK「花子とアン」で注目され、その後「ペテロの葬列」「流星ワゴン」「美女と男子」と話題作に出演。特技は野球、剣道などスポーツ全般。身長181センチ、血液型O。

 ◆HIROの巻き込む力「すごい。尊敬です」

 映画「HiGH&LOW」ではHIROの指名で主役級のノボルを演じた。

 「HIROさんから『町田ならこの役が合いそうだよね』とか考えていただけたのがうれしかったですね。ハイローはエンターテインメント性が強い新しい挑戦だと思います。HIROさんが先陣を切ってやらないと誰もできないし、どんどん挑戦していくという姿勢がすごいなと思います。やっぱり映画界って昔からある世界ですから、ビビっちゃってなかなかできないものもありますよね。そこをエンターテインメント人として切り開いていく。それも土足でいくんじゃなくて『すみません。映画は何にも分からないですけど、こういうのは楽しいと思うんで一緒にやりませんか』と。巻き込む力がすごい。尊敬です」

 ◆瑛太にちゃかされた 鈴木亮平は人柄すてき

 大河ドラマ「篤姫」(08年)では小松帯刀を演じた瑛太(35)が大久保利通役、朝ドラ「花子とアン」(14年)で兄弟役だった鈴木亮平(35)が西郷隆盛役で登場している。

 「現場で瑛太さんに『こういう帯刀もいいね』って言っていただきました。『篤姫』の時と描き方の違いもありますが『俺もこういうふうに役作りすればよかったな』ってちゃかされました。『何でも聞いてね』とは言ってはいませんが、そんなたたずまいでいてくれるのでありがたいです。亮平さんは『花子とアン』の時よりも体が大きくなっていました(笑い)。この間も『朝ドラの時が懐かしいね』と話しかけていただきました。すてきな人柄は前から変わってない。すごく包容力があって、いい雰囲気の現場を作っていただいてます」

「西郷どん」への思いを語った町田啓太
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