【鹿島】柳沢、小笠原、内田、大迫、柴崎…A代表に16人を送り込んだ敏腕スカウト・椎本氏が60歳誕生日

スポーツ報知
内田篤人は他クラブとの争奪戦の末、06年に清水東高から加入。初年度にクラブ史上初の開幕スタメンデビューを果たす

 柳沢敦、小笠原満男、中田浩二、岩政大樹、興梠慎三、内田篤人、大迫勇也、昌子源、柴崎岳、植田直通…。鹿島のスカウトを23年間務め、幾多の人材を発掘してきた椎本邦一・強化部スカウト担当部長が1日、還暦となる60歳の誕生日を迎えた。常勝・鹿島を支える敏腕スカウトの横顔に迫った。(取材・構成 岡島 智哉)

 椎本氏が鹿島ユースの監督からスカウトに転身した1994年以降、獲得に携わった選手は47人。多くがチームの主力を担った。A代表にはその3分の1以上となる16人を送り込んだ。椎本氏の“眼力”は鹿島のみならず、日本サッカー界にも多大な貢献をしている。

 内田篤人や大迫勇也、柴崎岳など他クラブとの争奪戦を制して加入した選手が多くいる一方、興梠慎三、遠藤康、昌子源、安部裕葵など、それほど注目度が高くなかった選手を“一本釣り”で獲得したケースも多い。発掘の秘訣は自らの目と足。多い年で年間300試合を視察したという。

 「映像なんて見ない。自分の目よ。ヤナギ(柳沢)の時は富山に行って、直通(植田)の時は熊本に行って。他のチームがいい選手だといっても違うことはたくさんある。自分の目を信じること。ぶれずに。裕葵(安部)についてはこの前、協会の人が『どこから見つけてきたんですか』と。見つけてきたもない。見たんだよ(笑い)」。試合の視察だけでなく、学校関係者や選手の両親への挨拶などでも、必要とあらば全国各地を飛び回る。

 就任初年度に柳沢敦、平瀬智行、池内友彦の獲得に成功した椎本氏。しかし次年度はゼロ人。「振られた。(今でも)覚えてる。落ち込んだ。もう辞めようかなと思った」。しかしその翌年に小笠原満男、中田浩二ら、後に「黄金世代」と呼ばれる有望株を次々と獲得。「今考えたら、いつもいつもうまくはいかない。縁。赤い糸。最近そう考えている。失敗したら縁がなかったということ」と振り返る。

 全ての選手が大成するわけではない。獲得に尽力した選手が結果を残せないまま鹿島を去る際は、両親や出身校の先生に連絡をするという。「『ウチじゃ試合に出られなくて厳しいので、試合に出られる所に行かないとプロ生活が終わってしまいます。成功させてやれなくてすみません』と話します」。

 今季阪南大から加入し、デビュー戦となった第8節・名古屋戦でアシストをマークした次世代の主力候補・FW山口一真は、「椎本さんに救ってもらった」と語る。「周囲から“問題児”と言われてプロから声がかからない中で、しっかり自分を見てくれた」。

 クラブハウスにある山口のロッカーには「整理整頓」と書かれた貼り紙が張られている。身辺の整理が不得意な山口を思い、椎本氏が書きなぐったものだ。今でも「(試合に)出たら、とにかく積極的にやれよ」など“恩師”からの助言は尽きないという。椎本氏は「高校3年間、大学なら4年間、だめなやつはそこで辞めてるから。強い学校=キツくて厳しい。そこで一生懸命やってる。根っから悪いやつだったらやってないよ」とサラリと語った。

 60歳を迎えた椎本氏だが、「このまま第二の青春で、一年一年頑張ろうかなと思っている。何やりたいってのもない。この仕事も嫌いじゃないから」と意欲は尽きない。

 すでに2019年シーズンの新加入として「岳(柴崎)のようなゲームメーカータイプ。俊敏性もある。もともと二列目の選手なので、ボールもさばけてゴールにも絡める」と評する順大MF名古新太郎の加入が発表されている。「ウチに来た選手には成功して欲しい。本当にそう思う。試合に出たらうれしいもん」。“椎本チルドレン”は、これからも鹿島を支え続ける。

サッカー

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請