117試合で47回あった「リクエスト」判定覆ったのは38%、一塁ベンチ有利説も

4月4日、中日対巨人戦の4回にガルシアの一塁アウトの判定がリクエストで覆り、セーフとなった
4月4日、中日対巨人戦の4回にガルシアの一塁アウトの判定がリクエストで覆り、セーフとなった
判定種別リクエスト
判定種別リクエスト

 今季からプロ野球ではリプレー検証制度の「リクエスト」が導入された。スポーツ報知の調べでは、開幕から117試合を終えた中、計47度、約2・5試合に1度、権利が使われている。そのうち判定が覆ったのは38%にあたる18度。要求が成功したチームの勝敗、試合時間に及ぼす影響はどうなっているのか。また新たな問題点はないのか。さまざまなデータや声を集めた。

 〈1〉成功率問題点

 開幕戦が行われた3月30日の6試合で早くも5度のリクエストが要求されるなど、各チームは積極的に権利を行使している。22日までの計117試合で47度。そのうち、判定が覆った成功が、18度と38%を占める。

 NPBの友寄審判長は「個人的には意外と(成功が)あると感じています。もうちょっと少ないと予想していました。今は出だしで監督も『使ってみよう』ということでリクエストの回数が多くなっていることも考えられます。これからは(成功確率が)増えていく可能性があるかもしれませんね」と分析する。

 ソフトバンク・工藤監督は40%近くに及んだ成功率を聞き「そんなに高いの?」と驚きの声を上げた。ただ、訴える側としての問題点も的確に指摘する。「今はテレビの映像でやっているし、テレビ、ビデオの精度にもよるんだよね。テレビの映像がすべての塁で正確に見えるようになってきたら、より(成功の)割合が上がると思う」と説明した。

 判定の成否は、中継局の映像によって行われる。例えば甲子園球場であれば、バックネット席上部にある銀傘に固定カメラが設置されているが、中継で用いていないため、確認作業には使えない。ある球団の首脳陣の一人は「疑わしきは変更しないし、後で見返したらやっぱりおかしいとなる。もっとしっかり見てほしい」と要望する。

 現時点では映像をチェックする制限時間が5分と決められている。これでも判別がつかない場合は、もともとの判定が優先される傾向が強い。

 大リーグでは球場ごとに独自カメラが設置され、ニューヨーク本部で判定が下される。オリックス・福良監督は「第三者に見てもらった方がいいし、スムーズに進む部分もある」と改善の必要性を訴えた。

 〈2〉勝敗への影響

 リクエストによって判定が覆った成功例は、ここまで18に上る。では、そのチームの勝敗はどうなっているのか。結果は9勝8敗(同一試合で2度成功が1試合)のほぼ五分だった。

 ただ、ビハインドのチームがリクエストに成功した6件のうち、勝利したのは4月1日の巨人(対阪神)の1度のみ。「判定の逆転」が「ゲームの逆転」を呼ぶまでの影響は出ていない。

 そんな中、ホームの楽天生命で三塁ベンチに座る楽天・梨田監督は「一塁ベンチが有利」の説を唱える。

 リクエストが一番起こりやすいのは一塁の駆け抜け判定だけに「一塁側ベンチの方が見やすい」と主張する。

 実際、一塁のアウト・セーフ判定のリクエストは19度要求されており、9度、判定が覆っている。成功率47%は全体の平均(38%)よりも高いだけに、梨田監督の主張通りのデータが出ている。

 主催試合で三塁にベンチを構えるのは楽天の他に日本ハムの札幌Dと西武のメットライフ。この3球団は、不利な状況に立たされているのかもしれない。

 〈3〉長時間化傾向

 NPBが近年、スピードアップを掲げる中、映像を検証するリクエスト制度は、その方針に逆行する流れとも言える。実際、試合時間はどうなっているのか。

 今季の平均試合時間(延長、コールドを除く)は3時間10分。昨年の3時間8分よりは平均2分、長くなっている。また、リクエストが実施された27試合の平均時間は3時間18分と長時間化の傾向が出ている。

 リクエストによって出たすべての判定に対し、監督は異議を唱えることは許されていない。抗議時間が減るという見解もあったが、実際には時間短縮にはつながっていない。

 今年1月の監督会議では、「1試合に2度までの権利が残っているからと言って、無駄に使うのはやめよう」と申し合わせが行われた。権利だからと、むやみに消化することはモラル上、できないかもしれない。ただ、12球団最多の10度、要求を行ったロッテ・井口監督は「流れを変えたり、いろんな意味で使える」と効果を説く。ペナント争いが佳境に入るシーズン終盤には、さらに試合時間延長の影響が出るかもしれない。

 〈4〉トラブルは!?

 ★4月5日 オリックス―ロッテ戦(京セラD)

 5回2死一、二塁でオリックス・大城がフルカウントからの9球目を左手首に受けた。ボールは捕手の後方に転がったが、ファウルチップを捕球したと勘違いした球審が三振アウトの判定。福良監督が抗議した結果、審判団は「死球と主張するならリクエストできますよ」と逆要求し、死球に覆った。指揮官は回数が制限されていることもあり「リクエストしたかったわけではない」とあきれ顔だった。

 ★4月7日 ヤクルト―巨人戦(神宮)

 ヤクルトが4―1とリードしていた3回の巨人の攻撃中。吉川尚の三塁線を破る二塁打の判定を巡り、小川監督が審判団に抗議。「塁審より本塁寄りの打球は対象外」と説明を受け、リクエストの行使ができなかった。その後、投手の石川が崩れ、この回6失点。4―7とひっくり返された。

 審判団はリクエストが導入された今季から、技術向上に向け、努力を重ねている。判定が覆った場面は検証用のビデオを審判員で確認し、話し合いの場を持っている。友寄審判長は「なぜ覆るジャッジになったのか。見る位置、角度が悪かったなどの原因をはっきりさせています。絶対に技術向上につながると思います」とトラブルやミスジャッジの撲滅に全力を注いでいる。

 巨人はリクエストを5度使用して1度の成功。1日の阪神戦の守備で、セーフ判定を覆した。高橋監督は「現場としてはあって良かったとは思う。無理にやるものでもないけど、(判定が)違うんじゃないかと思えば行く」。ただ、ベンチ内からでは行使の判断が難しいのも事実のようで「正直、(ベンチ内の)僕たちからじゃ見えない所もある。選手の反応、近くで見ているベースコーチのアピールに頼るところもある」と話した。

 ◆リクエストとは

 今季から採用され、審判の判定に異議がある場合に、監督が映像によるリプレー検証を求めることができる制度。これまで外野フェンスやポール際の打球や本塁でのクロスプレー、併殺崩しの危険なスライディングを禁止するルールの適用などに限定して実施されてきたリプレー検証が、アウト、セーフやフェア、ファウルなどの判定にまで拡大された。ストライク、ボールやハーフスイング、ボークなどの判定は除外する。1試合2度までで、判定が覆った場合はカウントされない。リクエスト回数は9回終了時にリセットされ、延長では新たに1度可能。監督から「リクエスト」の合図を受けた審判が、球場の審判控室でテレビ中継用の映像で判定する。今春のオープン戦で本拠地球場限定で試験運用し、公式戦開幕から地方球場を含む全試合で導入される。

4月4日、中日対巨人戦の4回にガルシアの一塁アウトの判定がリクエストで覆り、セーフとなった
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