【佐藤優コラム】日本への核ミサイルの脅威変わらず

 金正恩・朝鮮労働党委員長が勝負に出てきた。20日、北朝鮮の首都平壌で行われた朝鮮労働党中央委員会総会で金氏は、5月末から6月初めに予定されている米朝首脳会談を念頭に置いて重要なメッセージを出した。北朝鮮政府が事実上運営するウェブサイト「ネナラ」がこんな報道を行った。

 <朝鮮労働党委員長同志は(省略)核の兵器化の完結が検証された条件の下で、今やわれわれにいかなる核実験と中・長距離、大陸間弾道ロケット試射も不用となり、それによって北部核実験場も自己の使命を果たしたと強調した。/われわれの力をわれわれが求める水準にまで到達させ、わが国家と人民の安全を頼もしく保障できるようになった基礎の上で、人類の共通の念願と志向に合致するように核兵器なき世界の建設に積極的に寄与しようとするわが党の平和愛好的立場について明らかにした>(21日「ネナラ」日本語版)。

 核実験に成功し、中距離弾道ミサイルとICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発も完成したので、もはや核実験も弾道ミサイル発射も必要ないという認識を金氏は示した。実際には、大気圏への再突入が可能なICBM技術を北朝鮮は獲得しておらず、弾道ミサイルに搭載可能な核兵器の小型化に成功しているかどうかも定かではない。

 しかし、中・長距離弾道ミサイルの試射をやめれば、米大陸に北朝鮮の核ミサイルが到達する可能性はなくなる。このことは、米国にとって、北朝鮮の脅威が除去されることを意味する。この条件で、米国のトランプ大統領が金正恩氏と妥協する可能性が出てきた。

 北朝鮮が近距離と主張する弾道ミサイルは、日本に到達する可能性が十分ある。北朝鮮は現在、12個くらいの核爆弾を持っていると想定されている。これらの核爆弾を北朝鮮が直ちに廃棄するとは思えない。米朝首脳会談の結果、日本が北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされる状態が固定化される危険がある。(作家・元外務省主任分析官)

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