夏木マリ、「普通の女性の暮らしぶりを演じてみたかった」主演映画「生きる街」3日公開

10年ぶりの主演映画への思いを語った夏木マリ
10年ぶりの主演映画への思いを語った夏木マリ
映画「生きる街」で夫を亡くした民泊の女主人を演じた夏木
映画「生きる街」で夫を亡くした民泊の女主人を演じた夏木

 夏木マリ(65)が3月3日公開の「生きる街」(榊英雄監督)で10年ぶりに映画に主演した。東日本大震災から5年後の宮城・石巻が舞台で「みんなが震災を忘れかけちゃうかもしれない時期に、こういう映画があってもいいと思った」と熱弁。今年はデビュー45周年を迎えるが「まだまだ発展途上。新人のつもりでやってます」と力を込めた。(土屋 孝裕)

 08年「髪がかり」(河崎実監督)以来の映画主演。震災で漁師の夫を亡くし、悲しみを抱えながら、前向きに生きようとする民泊の女主人を、繊細な表情の変化で丁寧に演じた。

 「やりたいと思った理由は2つ。1つは震災がベースだったこと。もう1つは等身大の女性だったこと。私って、イッちゃってる役とか、ぶっ飛んでる役が多くて、等身大の役って意外と少ないんです。普通の女性の暮らしぶりを演じてみたかった」

 撮影は2016年の11月、約2週間。宮城・石巻の民宿に寝泊まりしながら撮影に臨んだ。

 「震災から5年がたっているのに、まだトラックが入って砂利を敷いているんです。(復興が)ここまでしか進んでないんだと驚きましたが、同時にそれだけ大変なことが起きたんだと、改めてビックリしました。それでも現地の方々から、ものすごく励まされて。大きなことを乗り越えた人は強いし、優しくなれるんだなと。人を愛することを強く感じた2週間でした」

 セリフは全編にわたり地元の方言。普段の生活でも方言を使い、猛練習を重ねた。

 「地元の方にも見ていただきたいので、なるべく違和感がないようにやりたいと。本当にしょっちゅう方言でしゃべってました。映画を見た地元の記者の方が『大丈夫でしたよ』と言ってくれて安心しました」

 役作りの一環で、演じる人間の履歴書を作るのが習慣になっている。台本にはない部分も事前に想像し、役になりきることで、セリフに重みが生まれる。

 「高卒なのか大卒なのか、旦那さんとは見合い結婚なのか、今回だったら夫が漁師だから、魚の煮付けがうまいんじゃないだろうかとか、細かく書いて妄想するのが好きなんです。演じる人物を想像して、納得して、好きになったら役作りが終わり、みたいなところがある。今回は前向きな女性だし、早く好きになれました」

 震災前の09年に、夫でパーカッショニストの斉藤ノヴ氏(67)と途上国の子供を支援する「One of Love プロジェクト」を発足。震災の復興支援に充てたこともある。活動は今年で10年目になる。

 「始めちゃったからには、支援は死ぬまで続けないとダメだなって思ってます。そりゃ10年間続けるのは大変でしたよ。ただ、待っている人がいるから、責任もある。(途上国の)子供たちの顔を見ると、一生やらなきゃなって思う」

 今年で芸能生活も45周年の節目を迎えた。

 「早かったですね~。いったい何をやってきたのかなって思うぐらい。今も新しい作品に入る時は、新人のつもりでやってるんです。私はまだまだ発展途上。45周年ってことで騒ぐより、今年は静かに自分を見つめ直して、再出発に向けてクオリティーを高めていきたいです」

 俳優業だけでなく、歌手活動や、企画・構成・演出・出演の全てを手掛ける舞台表現「印象派」など、多岐にわたって活動してきた。

 「一つ一つのアプローチはそれぞれ違う。その中で自分を見つけてきたのかな。このサイクルはしばらく続けていくつもり。映画は意外と少ないんですけど、出演が続くと興味が出てくるんですよね。活動の振り幅はできるだけ大きな方がいいと思ってます」

 パワフルに動き回る裏で、人一倍、健康には気を使っているという。

 「デビュー後、人気が出た時に低色素性貧血で3か月間入院して、その後キャバレー回りをした苦い思い出があるので。朝はりんごしか食べなかったり、今は米ぬか酵素浴と酸素カプセルに熱狂的に通ってます。健康でいればいい仕事ができると思ってますから」

 ◆生きる街 あらすじ 

 生まれ育った海沿いの町で漁師の夫、2人の子供と幸せに過ごしていた佐藤千恵子(夏木)の暮らしは、2011年3月11日に一変した。夫はあの日から帰ってこず、千恵子は避難所生活ののち、別荘を借り受け民泊の営業に乗り出す。しかし、被災のトラウマから子供を持つことを恐れる娘、何でも震災のせいにして人生から逃げる息子と、家族の心はすれ違い始めていた―。

 ◆夏木 マリ(なつき・まり)1952年5月2日、東京・池袋生まれ。65歳。73年「絹の靴下」で歌手デビュー。舞台、映画、テレビ、音楽と多方面で活躍し、芸術選奨新人賞、紀伊國屋演劇賞、日本アカデミー賞女優助演賞など受賞。アニメ映画「千と千尋の神隠し」では魔女「湯婆婆」の声優を務めた。2011年5月に斉藤ノヴ氏と結婚。11年度後期のNHK連続テレビ小説「カーネーション」ではヒロインの晩年を演じた。

10年ぶりの主演映画への思いを語った夏木マリ
映画「生きる街」で夫を亡くした民泊の女主人を演じた夏木
すべての写真を見る 2枚

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請