高木美帆、菜那と姉妹初の金!女子初のメダル全色制覇

スポーツ報知
女子団体追い抜きで優勝した(左から)菊池彩、高木菜、佐藤、高木美は応援メッセージが書かれた日の丸を手に喜ぶ(カメラ・酒井 悠一)

◆平昌五輪第13日 ▽スピードスケート女子団体追い抜き決勝(21日、江陵オーバル)

 女子団体追い抜きで日本が金メダルに輝いた。カナダとの準決勝は高木美帆(23)=日体大助手=、高木菜那(25)=日本電産サンキョー=、菊池彩花(30)=富士急=で臨み、決勝は菊池に代えて佐藤綾乃(21)=高崎健康福祉大=を起用。2分53秒89の五輪新記録で前回覇者のオランダを下した。高木美は日本勢で冬季&女子初の1大会「金銀銅」メダル、姉の菜那と夏冬通じて初のきょうだい金メダルを獲得。日本のメダル数は1998年長野大会を上回り、冬季最多の11となった。

 日本が「世界一美しい」滑りで頂点に立った。先行したものの中盤にオランダに逆転され、最大で0秒47差をつけられた。残り2周を切り、佐藤、姉の菜那とつないだ先頭のバトンを受け取った美帆は力を振り絞った。一気に逆転した。ラスト1周。デビット・コーチが勝利を確信したように両手を突き上げる姿が目に入り、さらにギアを上げた。「足を止めることなく、前へ前へと強い気持ちで滑ることができた」。最後は1秒59もの大差をつけ、五輪記録で金メダル。こん身のガッツポーズで喜びを爆発させた。

 4人のメンバー全員で抱き合い、歓喜のウィニングランへ滑り出した。表彰台の真ん中に手をつないで上がった。「チーム全員の力がないと成し遂げることができなかった」と感謝した。1500メートル銀、1000メートル銅に続き、1大会での「金銀銅」制覇を達成。登録はサブだが、24日のマススタートで上積みする可能性もあるエースと、最後尾で食らいついた菜那。全3戦にフル出場した高木姉妹が金メダルの原動力となった。

 「天才」の妹・美帆と、「反骨」の姉・菜那は性格も歩んできた道も異なる。父・愛徳(よしのり)さん(60)は「姉は電柱登りなどやんちゃだった。妹はマイペースだけど頑固でまじめ」と振り返る。

 菜那は妹と比較されることを嫌がった。身長も164センチの美帆に対し155センチ。2人で食堂に行った時、店員に「美帆ちゃん、来てくれたんだ。この人は小さいから妹さん?」と話しかけられた。「姉です」と美帆が紹介すると「お姉ちゃんいたんだね。美帆ちゃんのお姉ちゃんなの?」と聞かれ、ムスッとした表情で「菜那です」と言い返した。“高木美帆の姉”じゃないという自己主張だった。

 高校1年時、世界ジュニア選手権出場で先を越され、スケートをやめようと思った。母・美佐子さん(55)に電話するうちに「負けたままやめられない」と闘志に火がついた。妹が15歳で出場した10年バンクーバー五輪は現地で観戦。声援を送る一方で「転べばいいのに」と嫉妬心を抱いたのも正直な気持ちだった。ただ「私もこういう中で戦いたい」と五輪を志すきっかけにもなった。

 高校を卒業後、日本電産サンキョーに入社した。長島圭一郎や加藤条治の練習姿勢を見習った。400段の石段ダッシュを10度繰り返す猛練習に音を上げず、女子の世界記録を上回るペースにも食らいついた。4年後のソチ五輪には自身が出場し、美帆は落選した。

 今度は妹が刺激を受けた。「姉は五輪に行きたいと、ずっと言っていた。自分は『そんなにガツガツしなくても』と思っていたけど、ソチの選考会が終わって、それまでの気持ちの差は結果に表れると強く思った」。ナショナルチームで寝食をともにする今は、姉が妹に「教えてください」と素直にアドバイスを求められる関係だ。美帆は「家族にやっといいところを見せることできたのかな。感謝の気持ちを伝えたい」と語り、菜那は「親が楽しんで見られるレースになったかな。終わったらメダルをかけてあげたい」と感謝した。すれ違い続けた姉妹の運命が、五輪の大舞台で初めて交わった。(林 直史)

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