【高校サッカー】上田西、私立でも稀な土のグラウンドで鍛錬…雪にも、土にも負けず 長野県勢初4強

前半、シュートを放つ上田西・伊里隼人(左は明秀日立・田中)
前半、シュートを放つ上田西・伊里隼人(左は明秀日立・田中)

◆全国高校サッカー選手権大会準々決勝 上田西3―2明秀日立(5日、駒沢陸上競技場)

 待ちわびた長野県勢初の快挙の瞬間が訪れた。4分のロスタイムが過ぎ、主審の長い笛。上田西のDF大久保主将は両手を大きく広げてバンザイ。DF篠原、田辺と次々に抱き合い、喜びを分かち合った。「長野県はサッカーが弱いと言われている。ここまでこれたのはチームワーク。上田西は1人ひとりの個々の能力は決して高くない。ひたむきにプレーするところがここまでつながった」とFW上原は笑った。

 8強自体も首都圏開催となった初年度(1976年度)の松本県ケ丘(あがたがおか)以来41年ぶりだった。そこからずっと続いた長野の“冬の時代”。それを上田西がついに打ち破り、初の4強にコマを進めた。

 CKから前半12分に失点。だが、4分後にDF大久保のロングフィードから抜け出したFW上原がペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得。「練習とかでも自分がもらったら、自分が蹴りたいって話をしてた。でも、初戦でも決めてますし、大久保なら決めてくれると思ってた」(FW上原)と大久保にキッカーを譲り、そのPKで追いついた。同23分には左CKをMF宮下が直接決めて、逆転。後半1分にはFW田嶌のロングスローから最後はDF田辺が左足で決めて、3点目。「自分たちのやれることをはっきり徹底できているから。今はどんな相手に対しても自分たちの泥臭さが出せる」と白尾秀人監督(37)。「全員攻撃、全員守備」がモットー。この日もそれはピッチで存分に見せた。長年チームを指導してきた渡辺善和総監督が涙を流しているのを見て、白尾監督も思わず涙がこぼれた。

 その根性は土と雪の上で培ってきた。全国の名門私立高校の練習場は人工芝が主流。この日の相手の明秀日立もそう。上田西以外の4強進出校はすべて人工芝の立派なグラウンドで練習している。だからこそ大久保は「芝でやれることがうれしい。練習試合とかが人工芝でできるとうれしいんです」と話す。12月27日から関東に宿泊しているが、練習はJR田町駅の前にある東京都港区の東京工大付科学技術高の人工芝グラウンドを借りている。渡辺善和総監督の国士舘大時代の同級生が同校で指導しており、協力なバックアップを得ている。石川・星稜高が3年前に初の全国制覇を遂げた時にも使用したグラウンド。“出世グラウンド”効果も後押しした。

 例年1~3月は積雪などの影響でまともにグラウンドで練習ができない。だが、道路を雪かきして走り込んだり、近くの神社の120段近い石段を上ったりして、フィジカルトレーニングを積んできた。夏には地の利を生かして、長野・菅平高原に合宿に来る県外チームと実戦を積み、強化してきた。

 6日の準決勝で対戦する前橋育英とは練習試合で3回対戦し、2―3、0―2、0―1と3戦3敗。しかも相手はBチーム。「(Bチームに)勝ったらお願いしますと話していた」と白尾監督。Bチームの壁を突破できずに挑戦できなかったが、全国の晴れの舞台で念願の前橋育英のAチームと埼玉スタジアムで対戦することになった。「夢に見た場所。国際Aマッチとかやっている素晴らしい場所」と大久保も興奮気味に話す。もう不毛の地とは言わせない。長野を代表する上田西が、強豪・前橋育英も撃破する。

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