【二宮寿朗の週刊文蹴】負けを引きずらない心

悲願の初優勝を決め喜ぶ川崎イレブン
悲願の初優勝を決め喜ぶ川崎イレブン

 負けた後が大切。

 あらためてそれを教えてくれたのがリーグ初制覇を成し遂げた今季の川崎だった。

 ACL準々決勝では浦和にホーム(8月23日)で3―1と先勝したにもかかわらず、アウェー(9月13日)で大敗を喫して敗退。11月のルヴァン杯決勝ではC大阪に勝てず、またも「シルバーコレクター」の名を返上できなかった。

 だが興味深いのは、ACL、ルヴァン杯での敗戦後、一発目のリーグ戦ではしっかりと勝利を挙げている点だ。ビッグマッチの敗戦を引きずらなかったといえる。

 「リバウンドメンタリティーを大事にした」と語る鬼木達監督(43)は、いかにして気持ちを切り替えさせたのか。クラブOBでもある就任1年目の青年指揮官は、そのマネジメントをこう教えてくれた。

 「僕が現役時代、負けた直後に誰か笑っていたら納得がいかなかった。試合翌日でもそうでした。『どうして笑えるの? 俺たち負けてんだぜ』と引きずっていた。でも監督の立場になると、逆にしなきゃいけないと思いました。試合直後に笑っていたら、そりゃあ納得いかないですよ。でも今、そういう選手はいない。まず自分自身が切り替えている姿勢を見せることが何より重要でした」。手綱を“締める”だけではなく“緩める”ことも大切だと悟った。「無理に」ではなく、自然と出る笑顔を意識した。切り替わったと判断できたら次の試合のミッションを伝えるようにした。

 失敗から切り替えて成功を目指すリバウンドメンタリティーは、短期決戦となるロシアW杯でも大切なキーワードになってくる。2006年ドイツW杯、14年ブラジル杯は初戦の敗戦を引きずってしまった感がある。たとえ負けたとしても「3分の1」の結果にすぎない。

 締めるのか、緩めるのか。常にチームの状態に注意深く気を配り、アンテナを張っているからこそできる芸当である。(スポーツライター)

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