藤波辰爾、45周年記念イヤー「刺激になった一年」…ベイダー失神のハプニングに「気が動転した」 

藤波辰爾
藤波辰爾

 プロレス界のレジェンド、藤波辰爾(63)が31日、スポーツ報知のインタビューに応じ、デビュー45周年記念イヤーを振り返った。今年は主宰する「ドラディション」にベイダー(62)、ミル・マスカラス(75)を招聘。海外のレジェンドレスラーの参戦で昭和のプロレスファンを会場に呼び戻した。「進むべきテーマが明確になった1年」というドラゴンが2017年を総括した。

 4月にベイダー。10月にマスカラスが参戦した「ドラディション」。藤波の狙いは、昭和の新日本プロレス黄金時代に熱狂したファンへ再び夢を与えることだった。

 「あの時代にプロレスを熱く見てくれたファンにもう1回刺激を与えたかった。今、あの当時のファンが行き場がなくて会場から遠ざかっていた。なんとか、その世代を会場に足を運ばせたい。どっかに場所を作れば戻ってくるファンがいると思っていました」

 テレビ朝日が毎週金曜夜8時に中継していたあの時代。果たして藤波の思いは伝わった。「金曜8時」のファンが会場に詰めかけ、4月と10月のツアーは成功した。

 「ボクがやるべき大会という形ができた1年だった。ファンに対しても藤波がやる興行はこういうものを見せてくれるっていうテーマをハッキリ見せることができたと思います。確かに試合数は少ないんですけど、回数よりも大会のテーマをハッキリさせることの方が大切だと考えました。ドラディションでも最初は、いろんな選手を呼んで大会の数をこなすことを考えていた。同時に古き良き時代のプロレスをファンが描いていたし、そういう形でみなさんが自分を見ている。だったら、オレだけじゃなくてもっとレジェンドという同じ世代の選手を集めた方がテーマに合っていると考えたんです。これは、誰もができることではなくて自分だからできるプロレスを掘り起こすことだと思っています」

 4月にはベイダーと6人タッグで対戦。10月はマスカラスとトリオを結成した。ベイダーとは新日本時代に幾多の名勝負を展開。マスカラスは、1979年8月26日に日本武道館で行われた「夢のオールスター戦」でジャンボ鶴田と共に夢のトリオを結成した。

 「自分がリングに立つ以上は、相手側のコーナー、あるいはタッグを組む選手にはボクと何らかのドラマがある選手と考えました」

 ベイダーは、4月20日の後楽園、22日に博多、23日に大阪でのツアーに参戦した。後楽園では試合後のセレモニー中に失神するハプニングがあった。

 「倒れた時は気が動転しましたよ。リングドクターを呼んでいたんだけど、あの時は急患が入って帰っていたんですね。ウチの興行はリングドクターがマストですね」

 思わぬハプニングがあったが、ベイダーは試合ごとに調子を上げていった。

 「ベイダーはだんだん調子が上がっていてね。特に大阪はすごかった。一人で走りまわっていましたよ。帰る時に空港まで見送りに行った時は、彼は涙ぐんでハグされてね。また呼んでくれって言われましたよ。彼も米国では地味なイベントでリングに上がっているらしいんだけど、日本のファンは特別なんですね。温かいしリスペクトしてくれる。これはレスラー冥利に尽きるんです」

 レジェンドたちの入場テーマ曲がかかると各会場でファンは歓声をあげた。マスカラスの入場シーンは忘れられないという。

 「リングに上がった時、お客さんの表情を見るとみんなものすごくいい表情をしていたんですね。当時のファンは、もちろん年を重ねているんですけど、あの生き生きとした顔はプロレス少年だったあのころのままだった。マスカラスの入場曲スカイハイがかかると泣いていたお客さんもいました」

 海外のレジェンドだけでない。長州力(66)、武藤敬司(55)ら国内のレジェンドも輝きを放った。

 「長州は、今また新たな輝きを放っている時期になっている。いろんなメディアにも出ているしね。それもリングに上がるきっかけがなかったら、変な話“あの人は今”みたいになったと思いますよ」

 1982年10月、長州の反逆でライバルとしてリングで激しくぶつかり合った2人。今の関係をこう明かした。

 「長州とはお互いに元気の与え合いですね。彼がいるからボクもやれる。不思議ですね、昔は顔を見るのも嫌だったのに、こんな関係になるなんてね。長州は、リングに上がる時にすごくテンションを意識して大事にするんです。それがないとリングに上がっていけない。だから、彼が上がる時は同じボクなり武藤なりがいないともっていけない。反対にボクも長州がいると、スッと上がっていける」

 今年のツアーで嬉しい言葉があった。

 「試合終わった後、たくさんのお客さんから“藤波さんありがとう”って言って頂いたんです。ボクが進むべき道はそこなんですね。やりがいがありました。選手はお客さんによって元気を取り戻せるんです」

 ファンからの感謝の言葉は、デビュー45周年を迎えた63歳の藤波自身の何よりの糧になった。

 「自分自身のためにも大きな刺激になった。ここ数年は、年を重ねるごとにだんだん消極的になっていた部分はありました。改めてリングに上がらないといけないんだなって感じました。今、リング外でも様々な活動もしていますが、それもリングに上がっているからこそアイデアが出てくるんです」

 45周年を終えた今。63歳の藤波が掲げる次の目標は50周年だ。

 「50周年を目指してみたいですね。全盛期のころは還暦までリングに上がらないと思っていた。馬場さんが還暦を迎えた時、無理しなくていいのにと思ったけど、今はあの時の馬場さんの使命が分かる。この年齢の今だからやれることがあることが分かった」

 今年、掲げたレジェンドたちとの遭遇というテーマをこれからも進めていく。

 「みんなレスラーは、プロレスが好きなんです。誰しもが嫌になって引退した選手はいないと思っています。みんな、どっか心残りでリングを後にした。チャンスがあれば上がりたいっていうのはみんな思っている。そんな選手を呼びたいですね。みんなプロレスに夢を持って入ってきた。特に自分は好きなだけで入っている。プロレスラーになってなかったら何になってたのかなと思う。だから、生涯、プロレスを大事にしたい」

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