貴乃花親方が軟化 理事選にらみ協会との人材育成業務委託契約の誓約書提出

理事会で硬い表情の貴乃花親方(カメラ・竜田 卓)
理事会で硬い表情の貴乃花親方(カメラ・竜田 卓)

 日本相撲協会への非協力的な態度を問題視されていた理事で巡業部長の貴乃花親方(元横綱、45)が急転、態度を軟化させた。元横綱・日馬富士関(33)に暴行され負傷した弟子、幕内・貴ノ岩(27)への危機管理委員会の聴取を許可。自身も近く聞き取りに応じる構えを見せた。スポーツ報知の取材では、ただ一人締結を拒んでいた協会との人材育成業務委託契約を結ぶ誓約書を提出したことが分かった。来年初場所(1月14日初日・両国国技館)後の理事選をにらんでの行動とみられる。

 処分が先送りされた貴乃花親方は、約1時間半の理事会を終えると、報道陣の間を割って歩を進めた。午後3時過ぎに東京・江東区の部屋に戻った際も無言。相撲協会執行部から臨時理事会終了後に聴取を要請したが、所用により断ったという。ただ、水面下では徐々に歩み寄りを見せていることが分かった。19日午後、九州場所中から合計9回も拒否してきた貴ノ岩への聴取を許可し、相撲協会へ伝えた。

 態度を軟化させた背景には、初場所後の理事選への準備がある。協会関係者がスポーツ報知の取材に「このままの状態が続くと来年の選挙に響く。少しでも有利に進めるための行動」と明かした。暴行問題の被害者とはいえ、解決を長引かせて相撲界を混乱させ続ければ求心力を失う。貴乃花一門を中心とした自身の支持基盤が揺らぎ、選挙戦に悪影響を及ぼしかねない。貴乃花親方は後援者に「(八角体制に矛盾点を)突っ込まれないために、しっかり対応すべき」と助言され、これを受け入れたという。

 協会へ協力姿勢を示す証しとして、これまで全45部屋のうち唯一、保留し続けてきた人材育成業務委託契約を結ぶ誓約書を提出したことも分かった。力士の育成は協会から委託されて親方が育てる形態を取る契約で、14年の公益財団法人移行後に義務化された。角界に根付く「師弟関係を何より重んじるのが相撲部屋」とのしきたりに従い、いわば「協会―力士」という契約関係への変更を拒み続けてきた。こだわりを捨て、理解を示したのも理事選でのマイナスポイントを回避する狙いがある。

 相撲協会は貴乃花親方の処分を28日の次回理事会まで延期した。八角理事長(元横綱・北勝海)は「責任については次の理事会までに弁明を聞いて処分することを決めた」と説明。この日の理事会の席上では、危機管理委員会の高野利雄委員長との間で合意し、聴取は近日中に行われる。

 午前中の横綱審議委員会(横審)で、北村正任委員長は「非難に値する。横審全員の意見。一人の親方であり、協会員の一員でありながら、執行の責任を放棄している」と厳しく批判した。貴ノ岩を聴取した危機管理委員会は、全休した11月の九州場所の出場を希望したが、親方が許さなかったとの証言を仮に引き出せた場合、理事解任に加え、弟子の出場機会を奪ったとして「部屋閉鎖」をも視野に入れていたという。厳しい“包囲網”を察知し、貴乃花親方は「相当なプレッシャーを感じていた」(理事会メンバー)という。苦渋の選択を迫られたようだ。

 ◆公益財団法人 公益法人の新制度が08年12月に始まり、公益目的事業が全体の50%以上などの要件を満たし、行政庁から公益性が認められた団体は税制上の優遇措置を受ける。一般財団法人とは異なり、厳しい条件をクリアしなければならない。日本相撲協会は14年1月に認定。当初は12年6月の申請を予定していたが、年寄名跡を高額でやり取りしている点を問題視され、時間がかかった。

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