芸能コラム

テレ東25・1%VS日テレ4・3%…4月番組改編率に見た民放各局の「変える勇気」

フジテレビが勝負をかける夕方のニュース番組でメインキャスターを務める加藤綾子アナウンサー

 春は民放テレビ局が勝負をかける4月改編の季節。1日のテレビ東京から14日の日本テレビまで2週間に渡って民放5局の改編発表会見を“はしご取材”した。

 まずは「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」や「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」など、アイディア勝負のワンコンセプト番組で旋風を巻き起こしてきたテレ東。

 改編率は民放5局の中で突出して高い全日帯(午前6時~午前0時)25・1%。改編キャッチフレーズを「テレ東は変わらない、なんでもやる元年!」と定め、特別企画枠「火曜ゴールデン」を火曜午後6時55分からの1時間枠に編成。「池の水―」や「出川の充電」に続くヒット番組誕生を目指していく。

 前日2月28日の定例会見で同局の小孫茂社長(67)は2月に編成・制作をまたいだ新制作チームを発足させたことを発表した。縄谷太郎編成部長も「スタートさせる『火曜ゴールデン』枠で、このチームで企画した番組を始めていきます。週末であったり、もっと遅い時間でという議論もありましたが、まずはこの時間で勝負、挑戦していきます」と、この枠が“勝負枠”であることを強調した。

 旋風を巻き起こしたテレ東も、昨年の年度視聴率は結局、民放5位。このままでは行けないという縄谷部長の思いが思わずあふれた形。「多少、これまでのテレ東の番組があきられてきているのかと思います。ワンコンセプトの番組が多いが、これと決めずに新たな番組を開発していこうということ。風穴を開けていこうと思います」という危機感を露わにした言葉が、とても印象的だった。

 5日の会見で発表されたTBSの改編テーマは「御代替わり」。平成最後の改編で攻めの姿勢を崩さないことを強調。地上波では唯一となっていたレギュラーの2時間ドラマ枠「月曜名作劇場」の3月いっぱいでの終了を明かした。

 合田隆信編成局長は「ファミリーコア(13~59歳)の視聴率を強化していきたい」と、今回の改編の狙いを説明。その一環として「月曜名作劇場」を「ファミリーコアの視聴率が弱かった」という理由で終了させ、後番組として、芸能人や有名人が悩みを相談する「有田哲平と高嶋ちさ子の人生イロイロ超会議」など2つのバラエティー番組をスタートさせる。

 昨年の年間平均視聴率はゴールデン10・2%、プライム10・0%といずれも前年比で上昇。ゴールデン、プライムともに2ケタに乗せたのは7年ぶりとあって、日テレ、テレ朝の2強に大きく引き離されての3位からの脱却を誓う形となった。

 そして、6日に会見が行われたフジテレビ。「変わる、フジ 変える、テレビ」をテーマに「史上最大の改編」を断行した昨年4月の全日28・2%、ゴールデン29・8%、プライム29・5%の大幅改編から1年。今回は全日17・1%を始め、ややおとなしめに。改編テーマは平成最後の改編ということで「定着から進化する4月」となった。

 斎藤翼編成部長は「一言で言えば、定着からの進化です。昨年の4月の『変わる、変える』(の大改編)から1年がたちます。この間、かなりの改編率で構造改革に取り組みました。ゴールデンタイムだけで10番組を刷新しました」とした上で「特定の層でなく、幅広い層で楽しめるものを目指してきた。2018年1月期と今年1月期を比べると、ゴールデンで(平均視聴率が)7・5%から8・4%に上昇するなど結果が徐々に出始めています」と自信をのぞかせた。

 この日の会見には、4月1日スタートの「Live News it!」(月~金曜・後4時50分)のメインキャスターに就任する加藤綾子アナウンサー(33)と「Live News α」(後11時40分)の月~木曜メインキャスターに就任する三田友梨佳アナウンサー(31)が登場。2人の笑顔が象徴するようにフジの今回の目玉は夕方、夜のニュース番組について、新たな統一ブランド「Live News」を立ち上げたことだった。

 企画意図は「私が知りたい」をコンセプトに、あくまで視聴者目線に立ち、時事問題から身近なニュースまで生き生きと親しみやすく伝えること。斎藤部長は「改編してきた番組を自信を持って、継続していきたい。戦略的にGP(ゴールデン、プライム)帯の番組をそのまま継続しますが、改編の目玉として、入り口となる夕方のニュース番組を刷新するのです」と、その狙いを明かした。

 12日に会見したテレビ朝日。他局が「ファミリー・コア(13~59歳)」と呼ばれる層を狙って改編に乗り出している点について聞かれた西新総合編成局長は「テレビをごらんいただける方全員が大事な視聴者と思っています。全ての年齢層の方に見ていただけるソフトを作っていきたい」と淡々と話した。

 一方で赤津一彦編成部長は「(ファミリー・コアを)意識しています。裏番組を調べて、テレビ朝日が勝てるということを分析した上で勝負をしています。23時以降は若者対象とした勝負をしていきます」と率直に語った。

 視聴率2ケタ超えを果たし、絶好調の朝の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・前8時)から「相棒」などのドラマまで全般的に好調。首位・日テレに迫る2位の座を常に維持する同局らしい戦略的な会見となった。

 そして、14日に“しんがり”で会見したのが、5年連続で視聴率三冠王継続中の王者・日本テレビ。改編率は全日4・3%を始め小規模なもの。改編の理念は「生活者ファーストの徹底~ライフスタイルに寄り添うテレビ」とした。

 岡部智洋編成部長は「テーマは昨年10月に続き、『新化と深化』です。昨年10月とほぼ同じ改編率で臨んでいきたい」とした上で「新しい視聴者の開拓、今、見ている方にもっと好きになっていただくことを追求していきたい」と続けた。

 その上で「6年連続の年間(視聴率)三冠の継続をしたい。そのためには、日本テレビの特性、13~49歳のコアターゲットをしっかりつかんだ上で次世代の若い視聴者の掘り起こしを狙いたい」と気合十分に続けた。

 ついに出そろった民放5局の春の改編戦略。今や敵はライバル局だけではない。若者がスマホ片手に「いつでも、どこでも」動画配信サービスで好きな番組が視聴できるNetflix(ネットフリックス)やアマゾンプライムなどの新たなライバルも目白押し。視聴率という目に見えない“魔物”を巡る各局の戦いは、熱く激しく、そして果てしなく続いていく。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆民放各局の4月改編率と2018年の年度平均視聴率と順位

 ▽日本テレビ ▼改編率全日(午前6時~午前0時)4・3%、ゴールデン(午後7時~10時)11・9%、プライム(午後7時~11時)4・4% ▼2018年度平均視聴率()内は順位 全日7・8%(1位)、ゴールデン11・9%(1位)、プライム11・5%(1位)

 ▽テレビ朝日 ▼同全日10・5%、ゴールデン26・0%、プライム22・4% ▼同全日7・7%(2位)、ゴールデン10・5%(2位)、プライム10・6%(2位)

 ▽TBS ▼同全日5・0%、ゴールデン14・29%、プライム18・04%。 ▼同全日6・2%(3位)、ゴールデン10・1%(3位)、プライム9・9%(3位)

 ▽フジテレビ ▼同全日17・1%、ゴールデン9・0%、プライム13・9% ▼同全日5・7%(4位)、ゴールデン8・0%(4位)、プライム7・9%(4位)

 ▽テレビ東京 ▼同全日25・1%、ゴールデン29・4%、プライム29・9% ▼同全日2・7%(5位)、ゴールデン6・3%(5位)、プライム5・9%(5位)

最新一覧