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木村拓哉、ワチャワチャやっていた平成は「短かったけど、濃かった」

 

 2019年の連載「J」の第1弾を飾るのは、俳優の木村拓哉(46)。18日に主演映画「マスカレード・ホテル」(鈴木雅之監督)が公開される。東野圭吾氏の同名小説を原作に、ホテルで潜入捜査を行う初の刑事役に挑んだ。17年「無限の住人」(三池崇史監督)、18年「検察側の罪人」(原田眞人監督)に続き、3年連続で主演映画が公開されるのは自身初。間もなく終わりを迎えようとしている「平成」という時代についても語った。(畑中 祐司)

 昨年末に行われた完成披露試写会には、木村を始め、初共演となった長澤まさみ(31)ら17人が豪華に壇上を彩った。代表シリーズ「HERO」の鈴木監督や松たか子(41)、小日向文世(64)らの姿もあった。

 「一本の映画に、あれだけたくさんの方が出てくださっている作品というのは、自分の中でもあまりない。鈴木監督も『ロングバケーション』(1996年)から、ずっといろいろな作品で時間を共有した方。会った、その瞬間から腹を割って何でも言えるような。現場もそういう現場でしたね」

 自身も愛読していた原作は、東野氏が執筆途中から木村をイメージして書いたという小説だった。

 「全て撮り終わった後、打ち上げで、東野さんご本人の口から、それを伺った。このタイミング?って思ったんですけど、まあでも、すごくうれしかったです」

 原作はシリーズ累計310万部を誇るベストセラー小説だ。

 「読んで面白いものを具現化させるって、ハードルが割と高めになるというか。原作で完成しているので。それをもう一度、要は自分たちの体を使って、ゼロからやり直すということ自体、勇気がいることでした」

 演じるのは、フロントクラークとしてホテルに潜入し、連続殺人事件の真相へと迫る警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介。刑事でありながら、ホテルマンでもある。

 「長澤さん始め(映画の舞台)コルテシア東京のスタッフ役の方たちはしっかり研修を受けられた上での撮影。自分は一切(研修の)声がかかっていない状態でクランクインしたから、それこそ一歩ずつ近付いていくという。新田としては全然それで大正解なんですけど、監督からは『今のだと、ちょっとホテルマン過ぎるかな』とか、そういうのは何度かありましたね」

 これまで映画だけでなく、ドラマだけでも総理大臣、外科医など20種を超える職業を演じてきた。自身にとって一番「難役」と感じたものは何だったのか。

 「難しさというより、できるできないが関係してくる。(04年フジ系『プライド』の)アイスホッケーだったりとか。企画を言ってきた人、おかしいんじゃないかと思って。『拓哉だったら1週間ぐらい練習すりゃ、パンってできちゃうんだよ』って…バカなんじゃねえかなって。でも、何とか形にはしましたね」

 今作では原作の完成度の高さというハードルと向き合い、それを形にした。

 「やっぱり、それは長澤さん始め、たくさんの共演者の方が参加してくださっている事実があって。本当に推進力になっていたし、跳躍力にもつながっていたと思う」

 新年が明けた。自身初の3年連続の主演映画公開という一方、一昨年末から18年の年明けにかけてジャニーズ事務所の所属タレントで初めてLINEの公式スタンプになったほか、無料動画配信サービス「GYAO!」でWEB動画に初参戦。「検察側―」で嵐・二宮和也(35)との初共演もあった。昨年は新たな試みが目立つ1年でもあった。

 「僕が思うに、今までが古かったんじゃないかなと。今が普通になった。僕の感覚ですけど。今までのものをやり続けていたというか、何ですかね、こう目に見えない壁で仕切られていたようなものがあって、それがなくなった感じかな」

 二宮は、平成が終わるニュースを聞いたときに「平成を代表するスター」の先輩・木村との共演を思い浮かべ、期せずして実現した。自身、ジャニーズ事務所に入所したのは昭和62年(87年)で翌年からSMAPとして活動してきた。平成の30年間は、どういう時代だったのか。

 「平成の間は、ずっとワチャワチャやっていた。いろんな経験もしたし、でも、思っていたより短えなっていう、平成って短いよねっていう感覚が一番かな。短いでしょ。昭和は60年以上続いているわけだから。でも、短かったけど、濃かったですね」

 間もなく、新たな元号になろうとしている。時代が移り変わる。

 「それは、大きいことではないかな。元号が変わるっていう事実は受け止めているし、どんな元号になるのかという楽しみもあるけど、その平成が終わるってことは、それほど。変わらず『一緒にやろうよ』って言ってくれる人たちはいてくれている。そういう人がいる限り、そこに赴いて、そのとき自分ができることをちゃんと全力でやりたいなっていうのは、新年になっても、新しい元号になっても、それは変わらない」

 映画のタイトルにある「マスカレード」は「仮面」を意味する。劇中で演じた新田は、連続殺人事件の捜査対象となる全宿泊者の仮面を剥がそうと奔走する。自身は俳優として役柄という、いくつもの「仮面」をかぶってきた。

 「僕らは多分、そんな特別な仮面じゃない。もっとサービス業に徹しられている銀行員の受付窓口とか、ファストフードの店員の方が、きっと分厚い“マスカレード”をお召しになっていると思う。僕らは作品を通じて、役を通じて、いろんな感情を持っていられるけど、サービス業の方たちは、どんな相手に対しても同じホスピタリティーを提供しないといけない。皆さんの方が大変」

 今後、かぶってみたい仮面=役柄はあるのか。

 「僕自身の中で選びたいっていうのはない。でも、共演者の方たちが『こんな木村くん見てみたい』って口をそろえて言ってくださるのが、本当に卑劣な許し難いヤツとか。要は今まであまりやってこなかったもの。でも、自分で選ぶものじゃないですから」

 劇中、父親から言われた言葉として「刑事ほど割に合わない職業はない」とある。自身、アイドルとして俳優として長いキャリアを歩んできた。

 「それは、割に合うどころじゃないぐらい合ってますよ。以前、違う作品でご一緒した方と、全く違う関係性で、また共同作業ができるというのは、この仕事以外ではできないと思う。でも、割に合う合わないという自体が当てはめるものではないとは思うかな」

 平成を代表するスターも、40代後半に差しかかった。50代60代になったときの木村拓哉は、一体どんな姿を見せてくれるのか。

 「実年齢が増すとともに、きっと責任感だったりというものも自然と増しているんじゃないかなという気はしますけど。できる役柄も増えてもいるし、減ってもいる。もういいかげん、制服は無理ですからね。(今後の姿に)興味をいただいてもらえるような存在ではいたいとは思うけど、自分でこうなっていたい、ああなっていたいという思いはない」

 未来を見据えた質問に、木村はかたくなに「今」にこだわる。

 「先のことは考えてもしょうがない。本当に今日をダメに過ごすのか、そうじゃなくするのか、という方が僕にとって大きい」

 そして、今は目前に主演作の公開を控える。

 「まだ皆さんの中に、ちょっとお正月気分が残っているかもしれないですけど、映画館でもう一度、おせち気分を味わっていただければと思いますね。みんな、エンドロールに(友情出演で)『明石家さんま』という名前を見て『どこにいたの?』って、すごく聞かれるんですけど、ちゃんといるので。分かる感じで。でも、犯人より難しいとは思います」

 ◆木村 拓哉(きむら・たくや)1972年11月13日、東京都生まれ。46歳。91年にSMAPのメンバーとしてCDデビューし、国民的アイドルに。俳優として「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「HERO」など主演ドラマが立て続けに大ヒット。映画も「武士の一分」など。2000年11月、歌手の工藤静香と結婚。2女の父。次女はモデルのKoki,(15)。

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