【ヒルマニア】2897回連続掲載の“記録の手帳”の筆者・千葉功さん悼む…コラム再録
パ・リーグの記録部長を約20年間務めた千葉功(ちば・いさお)さんが26日午後6時34分、脳出血のため東京都三鷹市で亡くなった。85歳だった。週刊ベースボールでの「記録の手帳」を病に倒れるまで1度も休まずに2897回連続して執筆した。
故人の功績に心からの敬意を表し、21年前の2000年に2月28日号で連載2000回を突破した際に掲載したコラムを再録する。
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2000年に2000回の大記録。野球雑誌「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)の名物コラム「記録の手帳」が、2月28日号(16日発売)で連載開始から2000回目を迎える。筆者は元パ・リーグ記録部長の千葉功さん(64)=ベースボール・マガジン社顧問、プロ野球アナリスト=。一度も休載せずに約40年。球場で生まれる記録にこだわり続けるうちに、気がつけば自らも長寿連載記録を打ち立てていた。
大投手、稲尾和久、金田正一がまだ現役だった。1961年、その伝説の両投手が連載第1回の主役。千葉さんの「ライフワーク」の始まりだ。「当時の編集長に『1000回ぐらいやってよ』と言われたけど絶対出来ないと思っていた。それがねぇ…」40年目、16日発売の号でついに、名球会もビックリの2000回を迎える。
山の高さや鉄道の長さを調べるなど、数字が好きだった小学校時代。興味のなかった野球の虜(とりこ)になったのは、西鉄、大洋を日本一に導いた名将・三原脩の、たったひと言だった。
「野球は数字のゲーム」
2か月後には、ラジオの前に座って、スコアブックをつけるのが日課になっていた。
高校を出た1954年、パ・リーグ事務局に就職。集計員を経て公式記録員となった。主任記録員として携わったのが約1800試合、見た試合で言えば5000とも。
EメールもFAXもなかった時代。遠征試合の出張が大変だった。各地のうまいものにも目もくれず、ホテルに資料を持ち込んだ。締め切りに合わせ、飛行機便で原稿を送った。「大変でも人に頼むより自分でやるほうが早い。(夜の)付き合いが悪いやつだと思われていたかも知れないけど」のめりこんだらとまらない性格と、責任感の強さが、千葉さんを支えた。
だが、大台を目前にした今年1月中旬、最大のピンチを迎えた。仕事をする週末に風邪で寝込んでしまったのだ。だが、「締め切りを1日延ばしてもらって」なんとか続けた。「かなりの事を犠牲にしてきたけど、とにかく、病気しなかったことが続いた要因だね」。好きなことを続けられる幸せが、元気の源だ。
パソコンを使いこなす64歳は、野茂や吉井がメジャーで活躍するようになったこともあり、世界に視野を広げている。昨年4月、タティス(カージナルス)が史上初の1イニング満塁弾2発を放ったときも、すぐさまインターネットで情報を収集して連載に書いた。パ・リーグ記録部長を退きベースボール・マガジン社の顧問となった今は、毎年大リーグ観戦にも出かける。
実は、連載はもう2050回を超えている。「記録の手帳」を始める1年前に、ベースとなった「勝負手」が始まっていたという。2000回の金字塔は通過点。千葉さんの夢はまだ続く。「野球がある限り、ネタには困らないから。次の目標は2130、いや2632かな。長生きしないとね」連載の鉄人が目指すのは、ルー・ゲーリッグとカル・リプケンJr.の連続試合出場記録を超えることだ。
今はなき東京球場で生まれたひとつの記録が、今も印象に残っている。71年5月3日、東映フライヤーズ(現日本ハム)がロッテ戦で作った5者連続本塁打。「3本続いたとき、次は張本、大杉だったから絶対打つと確信した」という。記録を追い求める者らしい、一番の記憶。長嶋でも、王でもなかった。
蛭間 豊章(ベースボールアナリスト)
◆千葉功(ちば・いさお)1935年5月22日、東京都台東区生まれ。江北(こうほく)高校から、54年にパ・リーグ事務局に入局。集計員を経て公式記録員。75年に記録部長となり、97年に退局した。
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