五輪開催へ水際対策徹底を 外国人の検査3段階、選手村と外部を遮断…輸入感染症の専門家・水野泰孝氏の提案 

輸入感染症の専門家・水野泰孝氏

 23日で東京五輪開幕まで半年となった。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、開催に向けて今後の課題となってくるのが水際対策だ。海外からウイルスを持ち込ませずに大会を開催するためには、どのような対策が必要なのか。輸入感染症の専門家で、羽田空港検疫所で勤務経験もあるグローバルヘルスケアクリニックの水野泰孝院長は「3段階検査」と選手の徹底的な行動制限の必要性を説いた。(高柳 哲人)

 現在、日本は全ての国・地域から外国人の新規入国を原則認めていない。このため、五輪開催には入国条件を緩和した上で、新型コロナを国内に持ち込ませないよう、選手、そして有観客の場合は観戦者にも徹底した水際対策が必須となる。

 水野氏は、新型コロナの感染拡大の抑制が難しい理由に「発症の2日前から他人に感染させる可能性がある」ことを挙げた。無症状であればウイルス保有者の自覚がないため、「いつの間にか自身が感染者となり、また他人に感染させてしまう。それが、水際対策の難しさにもつながっています」。

 日本政府は昨秋から最大時でビジネス目的に限り11か国・地域の入国を許可した。しかし、水野氏は「例外を認め過ぎた上に、行動監視も確実ではなかったこともあった」と手厳しい。五輪を見据えた場合、どのような措置を取ればいいのだろうか。

 水野氏が主張するのは、出国前と来日時に加え、来日後にも検査する「3段階検査」の実施だ。「一般的には(発症前の感染者を調べられる)出国前72時間以内の検査で陰性の確認が必要で、その後、入国時の検疫で再度の検査があります。今後はさらに、入国後72時間以降にも検査を義務付けることが必要だと思います」

 ポイントは、約1週間のうちに3度の検査を受けることだという。「新型コロナは潜伏期間が最大2週間と言われていましたが、最近はほとんどが1週間以内に発症することが分かってきた。つまり、この3段階の検査で陰性であれば感染の可能性はほぼなく、その後に不特定多数の人と接触しなければ周囲に移す可能性も減るので、拡大は最小限に抑えられることになります」

 検査だけでなく、選手の行動制限も必要となる。これには、主に米国のスポーツで感染防止のために採用された「バブル」と呼ばれる外部遮断が効果的とした。バブルとは、選手を1か所に集めて行動可能な範囲を宿泊場所と試合会場に限定し、関係者やスタッフと共に閉鎖環境に置くシステムだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、東京五輪の感染対策の一つとして、選手村に入るのは競技開始の5日前から、また競技終了後2日以内に退去するというガイドラインを示した。水野氏はこれに加え、「選手村をバブルとして、会場との行き来も専用の移動車を使って外部とは一切接触しない環境を作る。選手にはこの概念が重要になってくるでしょう」とした。

 ただ、観客にそこまでの制限をかけることは実質不可能。「必要以外の行動自粛などを呼び掛けるのはもちろん、どこまで法的措置を視野に入れるかどうかを考えていかないといけません」と指摘した。

 ■テニス全豪OPでも厳しい感染対策

 ○…2月8日に開幕するテニスの全豪オープンでは、世界各国から選手が集まる中、厳しい感染対策が行われている。入国後は選手全員が14日間隔離され、その間の練習は移動も含めて1日5時間以内、同行者は1人のみに限定。さらに、食事は基本的にホテルの自室で取り、PCR検査を毎日受けることが義務づけられている。錦織圭(31)=日清食品=は、入国時に利用したチャーター便の同乗者に感染者がいたことから更に厳しい措置が取られ、ホテルの自室から一歩も出られない状態が続いている。

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