【特別企画】震災で遅れた開幕戦でマルチ安打…坂本勇人2000安打への道 あと8本

2011年4月12日ヤクルト戦、2安打2打点の活躍で開幕戦勝利に貢献した坂本勇人

 巨人の坂本勇人内野手(31)の通算2000安打達成へカウントダウンの日々が続いている。スポーツ報知では「坂本勇人2000安打への道」と題して、これまでの勇人の活躍を当時の記事で振り返る特別企画を実施。歴代の「坂本番」記者が選んだ思い出の記事を全34回で紹介する。

 12回目は2011年担当・片岡優帆記者の「特別な1勝、復興へ勇人の思い」。

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 プロ野球は東日本大震災の影響で当初より18日遅れて開幕した。「がんばろう! 日本」のスローガンのもと、公式戦が開催される各球場で募金活動を行うなど、12球団で復興を支援する。平日のデーゲームが2試合があったが、約15万人の観衆を集めた。巨人は坂本が開幕戦初安打を含む2安打2打点の活躍で勝利に貢献した。

◆巨人9-2ヤクルト(2011年4月12日・ユーピーアールスタジアム)[勝]東野 1試合1勝 [敗]石川 1試合1敗▼[本]=長野1号3ラン(押本・7回)▼[二]=坂本2、バレンティン

 全員でつかんだ、特別な1勝だった。試合後の記者会見の最後に、原監督は自らこう切り出した。「特別な感情の中でいいスタートが切れた。今日の一戦というのは、どういう結果が出たチーム、個人でも、忘れることのできない開幕戦だった。私も生涯忘れることのない一戦になりました」。勝っても、決して表情を崩すことはなかった。

 試合前ミーティングでは全員が手をつなぎ、大きな輪を作った。指揮官は「今日からが本番。技術、体力、そして強い精神力を出す見せ場が始まる。気持ちを一つにして目標に向かって戦っていこう」とゲキを飛ばした。セレモニーでは「1年間、死力を尽くして戦うことを誓います。被災地の支援も続けていく覚悟です」とあいさつ。プロとして野球で支援していく決意を明かした。

 いつもと違う開幕戦で、勝利を引き寄せたのは、坂本のバットだった。1点リードの4回2死一、二塁。初球の低めのシンカーを左手一本で左翼線に運んだ。開幕戦通算15打席目で放った初安打は適時二塁打。「素直にうれしい。開幕戦でのヒット自体、初めてなので」。

 6回にも1死二塁から左中間へ点差を3に広げる中押しの二塁打。09年には全力疾走を怠り途中交代するなど、苦い思い出の多い開幕戦で2安打2打点。ともに積極的に初球をたたき、ジンクスを打ち破った。

 震災では、光星学院高時代を過ごした青森・八戸も津波の大きな被害を受けた。「テレビで(被災地の)映像を見ると心が痛む」とショックを受けた。「こういう状況なのに野球をやらせてもらえる。自分にも何かできることがあるんじゃないか」。ガソリンの在庫不足に陥った3月下旬には、少しでも力になろうと、球場まで同級生の田中大と車を乗り合った。できることから実践している。

 日本赤十字社の「活動支援リーダー」として、チャリティートートバッグの制作を関係者に提案。自分でデザインし、4日から1個2100円で販売を始めた。今年は、昨年販売したチャリティーTシャツの収益金で「坂本勇人シート」を作り、主催試合全試合に闘病中の子どもたちを招待(1試合4人)していた。しかし、来年予定していた「坂本勇人シート」は廃止を決定。「今年のバッグの収益金は全額、被災地に送ってほしい」と希望するからだ。

 リードオフマンの活躍を含め、打線は2リーグ制後の開幕戦チーム最多タイとなる14安打で快勝した。坂本はお立ち台で声を張り上げた。「今、日本が頑張る時だと思う。山口の皆さんも一緒に頑張っていきましょう」。

 監督通算555勝目を挙げた指揮官は「明日もしっかり、いい戦いをしたい」と締めた。さまざまな思いを乗せた11年シーズン、原巨人が最高のスタートを切った。(片岡優帆)

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