珠城りょうが思いを届ける踊る洋と和の融合「世界を明るく!」…5か月ぶり開幕「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」

13年目の“再出発”に笑顔で臨む宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょう

 「タカラヅカ新世紀」の6か月ぶりのスターインタビューは、宝塚歌劇月組トップ・珠城りょう。「WELCOME TO TAKARAZUKA―雪と月と花と―」「ピガール狂騒曲」がこのほど、当初の予定より約5か月遅れて、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。来年8月に退団する13年目の若きトップは「全世界が闘い、まだまだ先は見えないですが、絶対どこかに希望がある。舞台を通じて、お客様にも希望を持っていただけたら」。卒業に向けた“再出発”へ、補充したパワーを惜しみなく注いでいる。(筒井 政也)

 歌劇はようやく5組すべてが公演を再開させた。月組は2月末で外部劇場作が打ち切られた後、4月24日開幕予定だった本公演に向けて稽古をしていたが、それもやむなく中断された。

 「自粛中は組子同士もリモートでしか会話できなかった。お稽古が再開して、目を見て、呼吸や体温を感じながら過ごせることがどれだけ幸せかと実感しました。お客様も、それぞれがいろんな状況下で闘っていらっしゃると思う。少しでも元気や明るさ、エネルギーを伝えられたらいいな」

 その意気込みにふさわしい華やかな舞台だ。「WELCOME―」は「これこそ宝塚にしかない」と自信を込める日本物のショー。暗闇から一斉に照明が放たれる、目に鮮やかな「チョンパ」で始まり、クラシック音楽に乗せた日本舞踊が展開される。「もともとが東京オリンピックで世界各国からお客様が来られることをもとに考えられた作品。洋と和の融合。世界中に思いが届くぐらい踊りたい」。100周年時の「宝塚をどり」(2014年)以来6年ぶりの和物に、グローバルを意識して挑んでいる。

 併演する「ピガール―」はシェークスピアの「十二夜」をパリを舞台に置き換えた喜劇。珠城は初の2役で「見た目が似ていることでおかしくなる展開。宝塚だから成立すること。面白い」と笑顔。また、本作で第106期生がやっとデビューした。「私も12年前に月組で初舞台。今、この立場(トップ)で新入生を迎えることが感慨深い。卒業を決めていることもあり、当時の自分を思い出す。純粋でキラキラして、舞台に立てるうれしさがパフォーマンスからダイレクトに伝わる」と目を細める。

 コロナ禍で生じた稽古再開までの約4か月間は、そんな駆け出し時代に回帰した時間でもあった。入団3年目で新人公演に初主演。重圧と闘い「ずっと走り続けてきた」この10年間だったが「一度、歩みを緩めることができた」と表現した。

 「『このまま再開できないのかな』という不安はありましたが、私一人の力でどうなることではなく『なるようになる』。時の流れに身を任せようと」。料理、映画・音楽鑑賞、普段はしない出演作のチェック…。「次の日のことを考えず、ぐっすり寝たり。『力強くあらねば』ではなく、下級生の頃の本来の自分に戻れた気がして。不思議だなと思いました。今はすごく呼吸がしやすくなりました。私にとっては、いいリセットでしたし、トップになってからの映像を見て『頑張ってきたな』と自分を認めることができた。少し心がほぐれたところで、新しい挑戦。『楽しい』の気持ちを大切にしたい」

 退団日も当初の予定から半年延期に。今月5日に就任丸4年を迎えた現役最長トップがリフレッシュして、残り11か月を軽やかに駆け抜ける。

 ◆日程 兵庫・宝塚大劇場で11月1日まで。東京宝塚劇場で11月20日~来年1月3日

 ◆スタッフ 「WELCOME―」作&演出・植田紳爾、監修・坂東玉三郎、「ピガール―」作&演出・原田諒

 ◆珠城 りょう(たまき・りょう)10月4日生まれ。愛知県蒲郡市出身。2008年3月「ME AND MY GIRL」で初舞台。第94期生。16年9月、月組トップスターに。入団9年目のトップ就任は近年では月組・天海祐希の7年目に次ぐ史上2番目の早さ。来年8月15日の「桜嵐記」「Dream Chaser」の東京宝塚劇場千秋楽をもって、トップ娘役・美園さくらと同時退団する。身長172センチ。愛称「りょう」「たまき」。

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