新宿区の油そば専門店「麺爺」コロナ禍もあきら麺!売り上げ減食い止めへ早稲田から70キロ離れた熊谷市まで自前宅配

記者も調理してみた

 新型コロナウイルスの感染拡大は、飲食業界に甚大な影響を与えている。売り上げ減を少しでも食い止めるため、東京・新宿区の早稲田大学近くの油そば専門店「麺爺(めんじい)」では、店主の石田正徳さん(47)が自らバイクのハンドルを握り、自前宅配に活路を見いだしている。

店主自らバイクに乗って油そばを届ける石田正徳さん

 石田さんは原付と小型バイク計3台を駆使し、1人で宅配している。午前4時ごろ店舗で仕込み始め、午前6時半ごろには第1便が出発する。当初は新宿区周辺のみだったが、都内近郊まで拡大。埼玉県限定で注文を受けた際は、約70キロ離れた熊谷市まで届けた。「それ以来バイクの調子があんまり良くない」と笑う。

宅配された自宅で作る油そばのセット「おうち麺爺」

 「麺爺」は2011年に早大近くで創業。キャンパス近くに全4店舗を展開する人気店だった。しかし、コロナ禍で4月1日の入学式が中止となり前期の授業もオンライン化。学生が姿を消したため、全店舗を休業し、宅配に移行。先の見通しが立たず、5月22日にはやむなく1店舗をたたんだ。

 一般的な食品の宅配と違い、油そばは完成品を届けるわけにはいかなかった。「1時間たつと麺が固まって無残な状態になる。ベストな状態で食べてもらうには、家で作ってもらうしかない」。生麺、タレと愛知県の工場に発注した特製のチャーシューをセットで届けるが、レシピを付けて調理は利用者に任せる。

 今月3日、早大がサークル活動などで使用する学生会館を開放し、学生が再び通い始めたことを受け、早稲田店と馬場下店の2店舗で営業を再開。店内に飛沫(ひまつ)防止シートを立てるなど感染防止策を徹底して客を待つが、家賃の減額交渉をするなど、苦しい状態が続いている。それでも「負けても笑っていたい。後悔ないように全力で」と石田さん。今日もバイクに乗り込み、都内近郊を走り回っている。(北川 龍世)

すべての写真を見る 3枚

最新一覧