カズに最年長出場記録を更新された土屋征夫が明かした、カズからの心に刺さった言葉

15年甲府所属時の土屋征夫

 J1横浜CのFW三浦知良(53)が5日のルヴァン杯・鳥栖戦に先発出場し、2017年に土屋征夫(当時甲府)がマークした42歳10か月0日を更新し、53歳5か月10日の同大会(ナビスコ杯を含む)最年長出場記録を作った。関東サッカーリーグ1部・東京23FCを指揮する土屋征夫監督(46)は「本当にうれしいです」と記録更新を喜び、心に刺さったカズからの言葉を明かした。

 バウル(土屋の愛称)はどう思っているのかな。土屋にとって、カズは新人時代のV川崎(現東京V)と神戸、計6年共にプレーした尊敬する大先輩。しかも、土屋本人は45歳の昨年まで現役を続けた。カズの偉業をどう見たのか。試合後に電話すると、興奮した声が聞こえてきた。「どんぴしゃだったよね。惜しかったよね」。カズが低い右クロスに頭を合わせた前半30分のシュートを悔しそうに振り返り、続けた。

 「半端ない。すごすぎる」。湿度が高い日本の夏。ナイターとはいえ、63分プレーすることが、どれほど大変かはよく知っている。それが53歳。想像を絶する。「何がすごいかって、体力的にもそうだけど、やっぱりメンタル。若い時以上にサッカーが好きでないとできないし、(現役を)続けられないよ。そこがすごいと思う」。こう言うのには訳があった。3年ほど前、カズから忘れられない言葉をかけられた。

 J2京都に移籍して3か月ほどたった2017年10月28日、ホームの西京極に横浜Cを迎えた。試合前アップを終えたカズをピッチ脇で待った。

 「おーっバウル! サッカー楽しんでるか?」。

 ドキッとした。救われた。「京都に入って、最初は試合に出ていたけど、出られなくなった頃でした。43歳。体もきついなと思っていたし、そろそろ潮時かなと。でも、50歳の人が『サッカー楽しんでいるか?』って言ってきた。本当にサッカー好きなんだなと思った。肉体的なものは、ほかの人が見て分かるけど、メンタルは見えないでしょ。自分でしっかり持っていないといけないからね。楽しむって、サッカーの基本だけど、難しいことでもある。あの言葉聞いて、頑張らないといけないって思った。生き返ったような気持ちなりました」

 土屋は18年、19年と東京23FCでプレーし、ユニホームを脱いだ。今年から同チームを指揮する。監督1年目。いきなりのコロナ禍でもある。4月、5月は活動を自粛。前期リーグ戦は中止になり、7月に後期がスタートした。現在、1分け1敗。自前のグラウンドもなく、奮闘の日々が続く。「選手は仕事を持っているし、大変だと思う。でも、フロントが作ってくれた行動規範に基づいて生活してくれている。自覚を持ってやってくれている。指導者として、今、いろんなことを学んでいます。選手から教わりながらね」。

 「カズさんの活躍はほんと刺激になる。カズさんだけじゃなく、今まで一緒にプレーしてきた選手が頑張っているのを見ると、うれしくなるよね」。ルヴァン杯の最年長得点記録(42歳9か月10日)も土屋が持つ。「ゴールも塗り替えて欲しいし、リーグ戦でも記録作って欲しい」。田無工(東京)を卒業し、ブラジルにサッカー留学したのは、カズに影響されて。実際、高校時代に静岡でカズと話す機会もあった。練習参加から入団したV川崎にカズはいた。だからこそ、人一倍、記録更新を楽しみにしている。

 最後に聞いてみた。「サッカー楽しんでますか?」

 「めちゃくちゃ楽しんでます。指導者として。楽しませてもらっている、かな」。そう声を弾ませ、練習メニュー作成に取りかかっていった。(羽田 智之)

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