藤井聡太七段 「封じ手」初体験 署名忘れるも木村王位がそっとアシスト

署名後、封筒を木村一基王位に手渡す藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)

 将棋の藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に挑む第61期王位戦7番勝負第2局が13日、札幌市で1日目を終えた。第1局を制した史上最年少タイトル挑戦者が史上最年長初タイトル獲得者に挑む30歳差対決の第2ラウンド。藤井七段は2日制ならではの慣習「封じ手」で封じる側を初経験。封筒への署名をし忘れる初々しさも見せたが、無事に終えた。

 封じ手時刻の午後6時。赤ペン、スティックのり、封筒の3点セットを手にした藤井は自室へと向かう。5分後、対局室に戻る。封じ手を記入した図面を入れた封筒を木村に手渡したが、割り印になる「藤井」の署名を記し忘れていた。木村にそっと促され、封筒を再び渡された17歳はペンを走らせ、儀式を終えた。

 藤井の封じ手はファンがひそかな楽しみにしていたシーンだった。午後5時を過ぎ、中盤の難所を迎えた40手目の局面で手番を迎えた藤井が、自ら手を封じることに。前局では木村が封じる側だったため、初めて自らの主導で封じ手を体験することになった。

 封じ手は2日制のタイトル戦における独特の慣習。1日目の最後の手番側が指し手を確定させ、誰にも明かさずに紙に記入して封をする。2日目の対局再開時に指し手が明かされ、対局が再開される。消費時間の有利不利が生じるのを避けるために行われる儀式。藤井は第1局でも、左肘を支える脇息(きょうそく)の上に封筒を置いて署名する初々しい姿が話題になった。

 2010年度の王位戦以来、数々の封じ手を経験している広瀬章人八段(33)は「自分も最初の時は封筒を誰に渡していいか戸惑った記憶があります。藤井七段の若さが珍しく表れた場面でしたけど、誰に教わるものでもないですからね。すぐ慣れますよ」とエール。駆け引きのひとつとも言われるが、実際の対局者心理を「戦略として激しい展開になる直前に封じるケースもありますし、駆け引きはあると思います」と明かす。

 この日は封じ手まで、両者とも細心の注意を要する展開が続いた。先手の木村の誘導で戦型は定跡が整備されていない「相掛かり」に。序盤から形勢が動きやすい展開になり、藤井は1時間25分の長考に沈む局面もあったが、形勢は揺るがず。互角のまま1日目を終えた。

 14日午前9時、対局再開時に藤井の封じ手が開封される。本命視される一手(△8六歩)か、意表を突く一手か。駆け引きの答えから再び勝負は始まる。(北野 新太)

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