ケラリーノ・サンドロヴィッチ、配信公演開催で「演劇の自由さ改めて感じた」

舞台配信に挑むケラリーノ・サンドロヴィッチ氏

 「KERA」こと劇作家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(57)が作・演出の劇場公演「PRE AFTER CORONA SHOW」が12日に東京・下北沢の本多劇場で無観客上演される。新型コロナウイルスの感染防止のために「新しい生活様式」が叫ばれる中、話題作を世に送り出して来た人気劇作家が「今、自分がやれること」と出した”答え”となる公演。不自由さの中で改めて感じたのは「演劇の自由さ」だったという。(高柳 哲人)

 演劇の世界で度々使われる「ショー・マスト・ゴー・オン」という言葉。何があっても舞台は続けなければならないという意味だが、今回の新型コロナは演劇界を一時、完全にストップさせてしまった。

 「4年前、インフルエンザのために『キネマと恋人』という舞台が一部中止となったことがありました。『もう、あの時以上のことはないだろう』と思っていたら、このコロナ騒動。しかも、今回は僕らだけでなくて、演劇全体が止まってしまった訳ですから」

 その状況の中で、一部の演劇人たちは配信での公演などを模索し始めた。ただ、「桜の園」「欲望のみ」の2公演が中止になったKERAは、すぐに行動を起こすことを躊躇(ちゅうちょ)したという。

 「舞台人というのは、生にこだわるから演劇をやるんです。だから、配信というのは演劇を続けているという動機と相いれないもの。だから『何もやらない』という選択肢もありました。それに、自分が面白がることができなければ、やっても仕方ないと」

 その中で、今回の公演が実現したのは「やってみたいこと」が見付かったからにほかならない。「PRE―」は、コントのオムニバス映像作品とリーディングアクト(動きを入れた朗読劇)「プラン変更~名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険~」の2作からなる公演。両作品とも俳優・古田新太(54)をはじめ、KERA作品の常連の役者が出演する。

 「毒気が強過ぎてテレビでは放送できないようなナンセンスコントの映像作品と、本来コメディーには合わないリーディングの舞台。”最大公約数”ではないものであれば、やる意義があるのかな、と思って」

 新型コロナにより、従来の常識が通用しない、ナンセンス極まりない世の中だからこそ、伝えたいものが完成。同時に、今回の経験を通じて、演劇の魅力を再確認したという。

 「あくまでも今回の作品は、演劇『のようなもの』。やってみることで、『やっぱり演劇は自由だ、素晴らしい』と思えました。この感覚を今後も、大切にしていきたいと思えましたし、ファンの方も今回の公演を見ることで、同じことを感じてほしいですね」

 公演は12日午後3時から「PIA LIVE STREAM」で配信。19日までアーカイブ販売される。

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