【2019年7月7日】石川遼が日本プロ選手権で約3年ぶりの復活優勝「エベレストに登ってやるという気持ちが大事」

プレーオフを制し優勝を決め、優勝杯を掲げる石川遼(2019年7月7日)

 2019年7月7日。鹿児島・いぶすきGCでの日本男子プロゴルフツアーの最古のメジャー、日本プロ選手権最終日。九州南部の豪雨の影響で順延されていた第3、最終ラウンド36ホールを行われ、石川遼(カシオ)が通算13アンダーで並んだ黄重坤(韓国)とのプレーオフを1ホール目で劇的なイーグルを奪って制し、約3年ぶりの復活優勝。ツアー史上最年少27歳での15勝目に歓喜の涙を流した。

 真夏日の七夕に、日本ゴルフ史に新たな夢物語が刻まれた。夕暮れの開聞岳に石川の魂の叫びがこだました。この日37ホール目となった18番パー5でのプレーオフ。ピン奥4メートルからの石川のイーグルパットがカップに消えると、まるでサッカーのC・ロナウド(ユベントス)のような感情むき出しのド派手なガッツポーズ。約3年間の苦悩と喜びの大きさが凝縮されていた。

 「最後のパットは今までの優勝の中でも一番興奮したかもしれない。信じられない。今週、この地方は(豪雨で)大変な1週間でしたし、試合をやるからには盛り上げないといけない。諦めずに自分と向き合ってきて良かった」とうれし涙で振り返った。

 初日から首位を走って選手会長として、新元号「令和」となって初勝利だった。09年には4勝を挙げて18歳で日本ツアー史上最年少賞金王に輝き、13年から計5年間、世界最高峰の米ツアーに参戦した。平均300ヤードを越える海外選手に対抗すべく、ドライバーショットで試行錯誤も、16年に腰を痛めて半年間戦線離脱。17年秋から主戦場を国内に戻していた。

 19年4月にも腰痛で離脱し、5月には腰痛が再発してプロ12年目で初の棄権した。その後、「体・技・心」をテーマにバーベルなど器具を使ったトレーニングを導入。責任感の強い男は「選手会長としてファンの皆さんに申し訳ない。サッカーならポジションがなくなっている。勝てる体にして戻って、自分が勝つことでツアーを盛り上げたい」と、週3日90分間のハードなトレーニングを継続。泥臭く努力を積み重ねて、徐々に輝きを取り戻した。昨季の平均飛距離は、自己最高の300・92ヤードでツアー9位まで伸びた。

 日本プロ初制覇で世界ランクは300位から183位へ急浮上。その勢いで年間3勝を挙げ、世界ランクは昨年末で80位まで戻した。「体を作ることで、求めている技術やスイングができるようになる。今までは痛みが出て体力的にできなかった。現役でいるうちは世界基準を目指してやりたい」。意識は高く、米ツアー再挑戦への志も持ち続けている。

 5日付の世界ランクは日本勢3番手の96位。15年全英オープン以来の海外メジャーとなる、9月の全米オープン(17~20日・米ニューヨーク州ウイングフットGC)出場権を獲得した。8月の全米プロ選手権(6~9日・米カリフォルニア州TPCハーディングパーク)も、世界ランクでの出場権獲得が濃厚だ。

 世界ランクへのポイントの大きなメジャーでの活躍はおのずと、来年に1年延期された東京五輪日本代表入りへもつながっていく。「富士山より高い山に登りたい。エベレストに登ってやるという気持ちが大事。体もそうですし、そのための装備が足りなかった」―。1年前の日本プロ優勝会見で、力強く口にした言葉だ。苦楽を知り、身も心も一回り大きくなった石川の世界一への挑戦が再び始まる。(榎本 友一)

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