【札幌】キャプテン宮沢裕樹、給与返上に「クラブ存続のため」…野々村社長は他のクラブに配慮「これをスタンダードにしたくない」

 クラブに対して今季の給与減額を申し入れたJ1札幌の選手が6日、決断に至った真意を明かした。新型コロナウイルスの感染拡大で公式戦再開の時期が定まらない状況に、3日に全選手でミーティングを実施。MF宮沢裕樹主将(30)らの「第一はクラブの存続」という声を受け、総額1億円弱に上る一律カットを申し出た。この日、急きょ会見した野々村芳和社長(47)は、改めて全28選手に感謝の意を示した。

 外国籍8人を含む全28選手による一律の給与減額申し入れが判明したこの日、札幌の公式HPで選手一同のメッセージが発表された。

 「新型コロナウイルスによるクラブへの影響も大きくなる現在の状況を鑑み、我々北海道コンサドーレ札幌の選手一同は、クラブに対して支援することを全選手合意のもと、決めました。その先にある北海道への支援につながると考えたからです」

 4~9月の6か月間、給与やプレミアム給の一部を返納するという申し入れの総額は1億円弱。自ら身を切る決断は、クラブへの強い思いがあったからだ。

 チームの8連休が明けた3日、全選手が札幌・宮の沢のクラブハウス内に集まった。主将の宮沢、選手会長のMF荒野拓馬(26)らがオフ中に話し合ってまとめた方針をチームメートに伝えた。

 宮沢は「クラブがなくなったら給料うんぬんという問題ではなくなる。少しでも存続に役立てるなら、減額も考えないと」と思いを口にし、荒野は「つらい時はみんなで助け合わないと」と言った。皆の思いが一つとなり、Jクラブで初となる返納に踏み切った。

 5日に申し出を受けた野々村社長はこの日、「一緒に乗り越えていこうという、クラブにも勇気をくれた提案。コロナの前の体制以上にいいクラブになるよう、やっていかないといけない」と決意を口にした。現時点で5億円以上の損失が見込まれるが、経費削減などで縮小を図り、選手の給与カットは避けたい方針を改めて固めた。

 元Jリーガーの野々村社長は「身を削るのは簡単じゃない。これをスタンダードにはしたくない」と強調した。異例の申し出は、選手から自発的に声が上がらないと意味がなかったことを理解しているからこそ、他クラブへの“押しつけ”にならないようにも配慮した。(砂田 秀人)

 〇…6日に報じられた給与返納の試みに対し、札幌市内のクラブ事務所には多くの声が寄せられた。スポンサーからの金銭協力の申し入れが2件あったほか、ボランティアスタッフからの電話も複数あった。広報は「ほとんどが『感動した』など賛同したものだった」と話した。午前11時に公式サイトに掲載された選手のメッセージに対し、公式ツイッターで約6時間の間に、勝利した試合の約1・5倍の11万件近くの反応があった。

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