【巨人】阿部、10年ぶり日本シリーズ弾!…引退年のチーム日本Sアーチは中畑清以来30年ぶり

2回1死、千賀(手前)から右中間へ先制ソロ本塁打を放つ阿部(カメラ・生澤 英里香)

◆SMBC日本シリーズ2019 第1戦 ソフトバンク7―2巨人(19日・ヤフオクドーム)

 「SMBC日本シリーズ2019」が開幕。巨人はソフトバンクに完敗し、初戦を落とした。0―0の2回には、今季限りで引退する阿部が千賀から右越えソロ。今シリーズの初得点をマークした。しかしその裏、先発・山口がグラシアルに逆転2ランを被弾。2点差とされた7回には2番手のマシソン、つないだ田口が打ち込まれ、致命的な4点を失った。ソフトバンクは本拠地ヤフオクDで日本シリーズ13連勝。20日の第2ラウンドで勢いを止める。

 闘魂を注入するかのようだった。あっという間にダイヤモンドを一周した阿部は、バンバンと強く手をたたきながらベンチに戻った。ナインを押し倒さんばかりに、ハイタッチにも力がこもる。0―0の2回1死。千賀の初球、高め152キロを捉えた打球は、乾いた音を残して右中間席に飛び込んだ。「先取点が取れてよかった」。日本シリーズでは09年11月5日の日本ハム戦(東京D)以来10年ぶり、通算4本目となる本塁打だ。アーチをかけても普段は淡々としている男から、気迫があふれ出た。

 今季限りでユニホームを脱ぐ背番号10にとって、この頂上決戦が現役最後の戦いとなる。リーグ優勝決定後に引退を表明したが、「泣きそうになることもあるけど、涙は日本一になった時に流す」ときっぱり。CS、日本シリーズを勝ち抜き、有終の美を飾ることだけに集中してきた。レギュラーシーズン終盤からすべての休日を返上して練習に打ち込み、1か月以上も無休で突っ走ってきた。また、「体調を万全に整えることがまずは一番」と、食事も炭水化物を抜いて体重をコントロールするなど、グラウンド外でも常に気を張って過ごしてきた。

 阪神とのCS最終Sを制し、日本シリーズ進出を決めた直後の15日には、東京Dでの全体練習後に選手、裏方が集まって決起集会が開かれた。会の終盤であいさつに立った阿部は、「特別なことはないし、普段通りにやろう。みんな今までやってきたことを、悔いの残らないように出し切ろう」と呼びかけた。少しお酒が入っていたためか“ろれつ”が怪しく、声のトーンもいつもより半オクターブほど高かったため一斉に笑いが起き、「状態イイネ!」とヤジまで飛んだという。日本一に向け、雰囲気も結束力も最高潮に達した。

 阿部にとって6度目となる日本シリーズ。過去5度の通算打率は2割2分2厘ながら、09年や12年にはここぞの場面で先制打や決勝打を放つなど、大舞台でも変わらぬ勝負強さを見せてきた。試合終了直後は相手ナインのハイタッチをベンチから目に焼き付けていたが「今日のことは忘れて、また明日。先頭がなんとか塁に出たり、そういうことを心がけていければ」とすぐに前を向いた。19年間の集大成となる戦いは、まだ始まったばかりだ。(尾形 圭亮)

 ◆引退した年に放った巨人選手の日本Sでの本塁打 1981年に松原誠が日本ハムとの初戦に代打で江夏豊から、89年に中畑清が近鉄との第7戦に代打で吉井理人から放ち、ともに日本一になった。他球団では86年に広島・山本浩二が西武との初戦で東尾修から、西武・大田卓司が第6戦で大野豊から、03年に阪神・広沢克実がダイエー戦との第7戦に代打で和田毅からマークした例がある。

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