【プチ鹿島のプチ時評】「ちくちく」なしの五輪実現を

滝川クリステル

 先日テレビを見ていた5歳の娘が「あ、ちくちく言葉」とつぶやいた。番組出演者が「キモい」という言葉を使っていた。

 「ちくちく言葉って何?」と娘に尋ねたら「お友達が言われたらイヤだと思う言葉だよ」。幼稚園の先生の教えだという。妻曰(いわ)く「他にはバカとかアホとかブスとか」。相手が嫌な気持ちになる言葉はやめましょうという心掛けのことらしい。

 ああ、園児どころか大人こそちくちく言葉をやめないと…。5歳の背中を見ながら思ってしまった。今や政治家が率先してちくちく言葉を発信する日々。「戦争するしかない」とか「恥を知りなさい」とか「ぶっ壊す」とか。その刺激が強い言葉は一定の支持者にはウケている。だから確信的に言い放っているのだろう。強烈な言葉に慣れてしまったあとには何があるのか。考えただけでもちくちくする。

 最近は「旭日旗」の話題にちくちくする。韓国側はパラ五輪のメダルデザインが旭日旗を連想させると抗議した。あれは「扇」をモチーフにデザインしたのでこちらは困惑するしかない。しかし今度は日本側が旭日旗の持ち込みを容認するという方針を示した。

 来年の東京五輪の「目標」は何か? 国がつくった「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を読むと、「共生社会を実現する必要がある」と書いている。障害のある人もない人と同じように能力を生かすことができる社会。共生というなら障害の他にも国籍や性別、年齢の違いなどあっても他者を認め合う社会のことだろう。それは心の広い世界。

 旭日旗は日本では広く使われていると言ってもアジアでは過去の戦争を思い出して嫌な気持ちになる人もいる。本来は融和にあたるべき政治家たちがちくちくし合っているなら、せめて民間レベルでは「相手が嫌がるものは持ち込まない」という態度も必要ではないだろうか。だって共生社会を目標にした大会なのだから。そもそも滝川クリステルさんは「おもてなし」と言っていた。それならちくちく言葉や態度をお互いに減らしていくしかない。

 そういうレガシーでもいいと思います。

(お笑いタレント、コラムニスト)

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